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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

墨攻(ネタバレです)

2007-02-12 01:34:57 | 映画
どこかの週刊誌のインタビューに,アンディ・ラウが,「ハリウッドは因果応報というアジア的感性を永遠に理解しないだろう」というような事を言ったとか,そんな話を聞いてから,ずっと気にいた映画です。

因果応報という言葉の意味。私自身も多分正確に理解してないと思います。「悪い事を続けているとそのうちバチが当る」「悪い人でも反省して善い行いを続ければやがて報われる」というのは,わかり易い例です。でも,本来は仏教用語。善いも悪いも関係ないはず。「塞翁が馬」,のような話も,因果応報の立派な一例なんですよね。

墨攻とは,戦国時代の中国の話ですが,原作は日本人の書いた小説と漫画です。墨家とは,中国の思想家墨子が築いた思想で,主な考え方は,一切の差別が無い愛(兼愛)と,、「人一人を殺せば死刑なのに、百万人を殺せば英雄というのはおかしい」という非攻。大国が小国を攻める事に反発し,攻撃を受けた城に行って、防衛の指導をしていたのだそうです。この映画の主人公,革離は,物語上は,腐敗した墨家教団の命に逆らい、単身で梁城の防衛にやってきた,のだそうです。

映画は,LOTR(とりわけTTTのローハンとアイゼンガルドの戦い(^^;))と,トロイと,007を全部合せたような感じでした。でも,アンディ・ラウが言ったように,ハリウッド映画とは違う因果応報の考え方が取り入れられていて,せっかく10万の兵を4000人で追い払ったのに,残虐な事をしたり,元々の支配者が革離,というより,墨家を理解せず(そもそも墨家は庶民的で支配階級の考えとは合わず,中国が統一されると消えて行ったといわれています),追い払ってしまい,彼に賛同した民衆や将校をないがしろにした為,後々禍が起きるという事になってます。

作りはやや雑?大味?かなあという部分もありましたかねぇ?(汗) 普段は英語の小説を読んだり,ハリウッド映画を観る事が多い為,すっかり西洋の道徳観に浸っていますが,やっぱりこういうアジア的な話を見ると,何故かほっとします。去年,SPIRITという映画を観た時も,似たような事を感じました。アジア人に生まれてよかったかな,と,思った映画でございました。


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