The Joy Luck Club 価格:¥ 1,639(税込) 発売日:2006-09-21 |
その夏、長雨で汾河が氾濫してうちの畑をダメにしたわ。家も住めなくなった。周辺の家も皆根こそぎの木や壊れた壁や死んだ鶏が散乱する状況。父は上海の南のWushiに家族で移る事を決意。しかし私は、Hunag家に嫁がされた。
父は家に残った家具で嫁入り道具として十分だと言う。しかし母は赤翡翠のネックレスをくれたの。この時母は悲しんでいると察したわ。そして「新しい家族に従いなさい。幸せな顔をするのよ。あんたは幸運なんだから。」
Huang家も川の傍だけれど、高台だったので、うちとは違い、洪水の被害は全く受けてなかったの。そしてうちより遙かにお金持ちと初めて知ったわ。彼らはうちを見下していたの。それでHuang Taitaiの鼻が長い理由がわかったわ。
Huang家には大きな庭と使用人の家、そして彼らの住処。世代別の家族が住む4階建てで、何代にも渡って使われた、複雑な家よ。家自体は急いで建てられたもののようだけど、後からいろいろな飾り付けがそれぞれの階にされていたわ。見栄えよくするために正面のベランダに2本の赤い丸柱が付けられていた。そしてTaitaiが付けた龍の頭。
家の中にはいろいろ余計な飾りだらけ。唯一良かったのは、客間だけね。他は20人もいる親類で狭くて騒々しかったわ。
私がHuang家に着いた時、Taitaiは何もしてくれなかったし、Tyan-yuも出て来なかった。それどころか、2階の召使い用の台所に追い立てられ、自分の立場がわかったの。
初日は私の1番のドレスで、台所仕事をする事になった。すぐに家族が恋しくなり、お腹の具合も悪くなった。でも両親の顔を立てると誓ったの。Taitaiが決して母に面汚しとは言えないようにしたの。
考え事をしていたらテーブルの向こうで魚をさばいていた召使いと目が合ったわ。泣いているのを見られたら告げ口されると思って、思い切り微笑んだの。
で、私って何てラッキーなの?!と言いながらついついナイフをその女性の前で振り過ぎたので、何てバカな奴?!と言われたわ。
Tyan-yuは小さいくせにわがままで何とか私を泣かせようと努力する奴。スープがぬるいと言ってわざとこぼし、私が座れば早速おかわりを要求する。なぜそんないやな顔をするんだと文句を言う。
数年間Taitaiは召使いに、私に枕の縫い方やHuang家の名前の刺繍の仕方を教えるよう指示。妻は手を汚さなきゃ旦那様の家族を支えられないよと新しい仕事を与える、Taitaiは手を汚したとは思えないね。
しかしTaitaiはさらに、正しい米の研ぎ方を教えろ、旦那様に泥付きの飯を食わせるわけには行かない、携帯トイレがきれいになっている事を確認する為に、中に鼻を突っ込め、と言う。おかげで私は従順な妻として、臭いだけで肉に塩が入り過ぎてるとわかるようになり、刺繍は絵の如くに指せるようになり、Huang Taitaiがブラウスを掃除前の床に投げてもまた着れる位になった(おかげで彼女は毎日同じ服)
やがてこの暮らしは悪くないと思うようになったわ。最初に傷ついたので違いはわからなかった。皆が私が用意したピカピカのキノコや筍を見ているのを眺める以上の幸せな生活ってあるのかってね。Huang Taitaiの髪の毛を100回梳いて誉められ、Tyan-yuが文句も言わずに麺を食べきって、これ以上何を望むかって。
やがてTyan-yuは神、Taitaiは本当の母のように思えてきたわ。16になった時、Taitaiは次の春までに孫が欲しいと言った。とても他へ行くことなんて考えられなかったわ。日本人が来るまでは。
Tyan-yuの祖母は、日本兵が招かざる客としてやってきたから誰も来なかったのだと言う。
Huang Taitaiは綿密な計画を立て、村中に招待状を出したの。戦争が人の心を変えるとは思ってなかったようだわ。私は隣家から輿入れする事になった。ところが雨が降り始めた。風も強まった。とても悪いサインよ。私は自分の不運を嘆いていたの。でも、赤いベールを被ったら不思議と力が湧いてきた。
式が始まり、輿が進むと、悪天候の中やってきた勇気ある僅かな人達が見えた。召使は家族も駆り出して精一杯パーティを大きく見せていたわ。Tyan-yuは誇らしげにベールを取ってお客さんに微笑んだけど私は見なかったわね。
両側に新郎新婦の名が書かれ、それぞれ芯のついた蝋燭が出されて、灯をともし、翌日仲人が、小さく残った燃えかすを指しながら、これで婚礼は整った。如何なる事があってもこの婚姻は破れる事はないと宣言。これで私はTyan-yuが死んでも再婚できない事が決定。
でも、本当は蝋燭がどうなったか知ってるわよ。一晩中泣いていたから。
式の後子供や夫の友人の祝福の後、夫は私にソファに寝ろと言った。これはラッキー、とても嬉しかった。夫が寝たのを見計らって外に出ると、仲人が黄色い明かりの部屋で眠そうに蝋燭の番をしていた。しばらく居眠りしていると、突然雷鳴。居眠りしていて日本軍と勘違いした仲人と彼女の召使が慌てて外へ逃げ出したの。私は大笑い。蝋燭の部屋に入って、こっそりと…、後は新居に戻ったわ。
翌日、仲人は誇らしげに、お役目を果たしたと報告。
私はTyan-yuがいつ上に乗って義務を果たすって考えただけで気分が悪かったけど、幸い最初の1ヶ月は彼はベッド、私はソファ。朝晩食事を作り、甲斐甲斐しく過ごしていたら、突然Taitaiにひっぱたかれた。「悪い嫁め!息子と寝るのを拒否したら許さないからな!」夫は母に嘘をついてたな。でも私は両親との約束のために黙っていた。
仕方なく義母に従い、まず自らTyan-yuのベッドに入りたいと言う、やがて添い寝するようになったが、彼は何もしない。ついに逃げ出す決意。ただし両親を裏切ってはいけない。Huang家が私を追い出すよう仕向けるようにしなくては。
計画の実行に選んだのは、ご先祖様のお参りの日。
夢の中でTyan-yuのお爺さんに会ったという話をでっちあげたの。この結婚は本当の結婚ではないという3つのサインがあると。1つは、Tyan-yuの背中のあざ。これが年々大きくなっていく(私はTyan-yuと添い寝するうちに見つけたのよ)そして私の歯。1本ずつ抜けていく。そして、Tyan-yuの本当の子供を身ごもっているのは、召使いの女の子で、彼女は貧しい家の出身のふりをしているけど実は高貴な生まれという事に。
彼らは、仲人の召使いを尋問して、仲人から赤い蝋燭に本当に起きた事を聞き出したわ。
そして召使いの女の子を呼びだしたの。実は、彼女はハンサムな郵便屋さんに恋をして、子供を身ごもり、困っていたの。だから彼女は高貴なご先祖様について聞かれて、とても喜んだわ。Tyan-yuの妻になってからは、毎日ご先祖様のお墓をきれいにしているそうよ。
これで話は終わり。Huang家の人達は私をそれほど非難もせず、北京行きの切符と、アメリカに行くのに十分なお金をくれた。ただこれは秘密にしておいて欲しいとだけ。
その後私は主人と出会い、2人の男の子と娘を生んだ。その度にブレスレットを買った。皆24金よ。でも思い出すのはあのPure Brightnessの日、私はその時していた全てのブレスレットを取り去った。元をただせば、結婚式の日に赤いスカーフを被った時に自分の運命を切り開く事を知ったのよね。あの日のあの少女に戻って、赤いスカーフをとったら明るい未来が開けていた事を見てみたいもんだわ。
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