鍋という鍋を
とっくの昔に
みんな焦がしてしまったので
もう料理を作ることは不可能
「夏の扉」という
復讐のために書かれたSFの中の猫は
遠い日の水色のアルバムの中で
もうずっと長いあいだ迷子
かっての旅人は
かっての恋人に
もう二度と出会えないというのに
舳先から
指の先から
したたる滴のような朝がまたやってくる
夢色に滲んだ蝶が
海霧を渡ってゆく夢だったのだと
呟いてる暇もなく
つぎつぎと
同じような時代がまた
同じような相貌でめぐり廻ってくる
とっくの昔に
みんな焦がしてしまったので
もう料理を作ることは不可能
「夏の扉」という
復讐のために書かれたSFの中の猫は
遠い日の水色のアルバムの中で
もうずっと長いあいだ迷子
かっての旅人は
かっての恋人に
もう二度と出会えないというのに
舳先から
指の先から
したたる滴のような朝がまたやってくる
夢色に滲んだ蝶が
海霧を渡ってゆく夢だったのだと
呟いてる暇もなく
つぎつぎと
同じような時代がまた
同じような相貌でめぐり廻ってくる