詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

原っぱ

2008年12月09日 | Weblog
夢のなかの原っぱに
たったひとり立っています
もう誰だったかわからなくなってしまった
きみの姿を待ちながら

どこへ通じているのか
どこからやってきたのか
わからない道が一本

その道のすぐ側には
青空を写す池がひとつあって
それはまるで
なんでも写す魔法の鏡だったから

気づかずに裏切ってしまった人を
思い浮かべています
池一面の水草よりも
頼りなげにゆれながら

どっちへの方へいくべきなのか
わからなくなってしまったので
風と一緒に
原っぱに立ちつくしています

群青 (推敲形)

2008年12月09日 | 日記
いままで誰にも
言ったことなかったけど
ぼくの大好きな色は群青

漆黒へと暮れてゆく空の青は
見飽きることがない
吹き飛ばされゆく群雲や
家路へ急ぐカラスさえもが
なんだか とても懐かしい

失明してゆくのは
こんな感じだろうか
誰でもいいから 誰かを
呼びとめられずにいられないこころとは

色んな青が
空を染めてゆきながら
そのどれもが
行き着く先は蒼ざめた群青

そして ついに
出会ったこともない群青の岸辺で
蒼ざめた波に出会ってしまう

溺れそうになり
色んな青に染まりながら
今日もまた
誰も待つ人がいない家へと帰ってゆく

もうすっかり
見飽きちまった
自分の影という分身を引きずりながら

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」米原万里(角川文庫)再読

2008年12月09日 | 日記
今年読んだ本の中で一番面白かったのは故米原氏のこの本かもしれない。(再再読だけど)彼女の本はどれも、読み始めると途中でやめることが出来なくなってしまって困るな。

『本書がもうひとつ優れているのは、著者と同世代の女友達のみならず、彼女らの家族、とりわけ父母の世代の歴史にまで視野が及んでいることです。娘の世代が60年代の各国共産党事情に振り回されたのだとしたら、父の世代にはそれぞれの国で非合法じだいの反政府運動を戦った歴史がある。マルクス・レーニン主義はいまでこそ「時代遅れ」と蔑まれていますけど、もとはといえば貧困を救済し、平等を実現するための理想主義からはじまったことを忘れるべきではありません。』(斎藤美奈子氏の解説より)

そういえばこの本の背景になってる68年の「プラハの春」を扱った映画(題名はちと失念)を少し前に観たことがある。

チェコは宮沢賢治と同じくらい大好きなSF&童話作家のチャペック兄弟が生まれた国だ。gooのHP時代に毎日のように行き来してた世界一可愛い猫チャンのHPも懐かしく思い出す。美しいプラハの街の写真と一緒に。

《「それで、ドイツ人やドイツでの生活には満足しているの」
「ぜんぜん。もちろん、病気じゃないかと思うほど街も公共施設も清潔なのは気持ちいいけれど、ここはお金が万能の社会よ。文化がないのよ。チェコで暮らしていた頃は、三日に一度は当たり前のように芝居やオペラやコンサートに足を運んだし、週末には美術館や博物館の展覧会が楽しみだった。日用品のように安くて、普通の人々の毎日の生活に空気のように文化が息づいていた。ところが、ここでは、それは高価な贅沢。》(「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」より)

ドイツという国やドイツ人はやっぱり、とても、明治以降の日本や日本人に似てるんだなと感じる。ユダヤ人を数多く受け入れてきた過去の歴史でも・・