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田舎暮らしを夢見て、こつこつとお金を貯めています。

袈裟丸山から小法師尾根へ

2012-09-30 22:53:55 | 山歩き・山の写真
2週間前に鋸山から見た袈裟丸山から小法師岳へと続く尾根を日帰りで歩くことにします。
車で塔ノ沢登山口まで行き、袈裟丸山から小法師尾根を下り車道を塔ノ沢登山口まで歩いて戻ることにします。
登山口から唐風呂の集落まで12時間、車道歩き3時間の合計15時間はかかることを覚悟で歩きます。
とにかく車道まで出られれば、あとはどうにでもなると言う開き直りの気持ちで歩くことにします。

塔ノ沢登山口に5時10分に到着し、いそいで朝飯(ジャムアンドマーガリン)を胃袋に詰め込み、5時20分にスタートです。
6時前に寝釈迦を通過し6時45分に賽の河原到着
昨日降った雨で笹の中に続く登山道では下半身はビッショリになってしまいます。
前袈裟丸山までも笹の斜面は続くので濡れたまま進みます。


小丸山の手前、前橋方面でしょうか関東平野がきれいに見えます。さらに富士山までも!
まずまずのお天気ですが、さて何時まで持ちますかな?


7時20分小丸山山頂到着、
これから辿る前袈裟丸山から奥袈裟丸山までの稜線がよく見えます。
中央に見える三つの主だったピークが左から後袈裟丸山、中袈裟丸山そして二つの小ピークが奥袈裟丸山と最高点1961mのピークです。


さらに東に目を向ければ、遠く皇海山、錫ヶ岳、日光白根そして男体山が見えます。
そしてそれらの手前には2週間前に辿った庚申山から鋸山が見えます。
さて本日は袈裟丸山の県境尾根から東に延びる小法師尾根を辿るわけですが、庚申山から鋸山の尾根の手前に見える長大なこの小法師尾根を目に焼き付けておきます。
低い雲が出始めています。県境尾根から小法師尾根に下りるときにガスっていると厳しいな、明るいうちに集落に着くかな?心配は尽きません。


先を考えるとのんびりもできません。前袈裟丸山に向けて急ぎます。
前袈裟丸山山頂の手前で東から南にかけて雲が湧き出して来ました。
雲海の向こうに富士山が見えます。


しばらく写真を撮っていると、先ほどまで見えていた赤城山も雲に隠れ始めています。


8時18分、前袈裟丸山頂に到着、登山口からここまでちょうど3時間です。
後袈裟丸山とのコルの八反張は「危険、通行禁止」なるものが書かれた看板がありますが、さてさて?


山頂は通過して休憩はとりません。先の長いことを考え極力歩き続け、写真撮影の時に休憩を兼ねることにし先を急ぎます。
山頂北側の縦走路からこれから辿る県境尾根が見えますが、東側から雲が湧き出しました。


群馬県側はお天気もまずまず、遠望が利きます。
左側から雲に隠れる谷川岳、三角ピークの武能岳、白髪門から朝日岳、手前上州武尊山、遠く小沢岳、手前尾瀬の笠ヶ岳、至仏山を確認できます。


さて先を急ぎます。
八反張は全く問題なく通過できます。これが通過禁止なら鋸山は一体どうなの?よほど危険だと思うよ!
八反張付近から東側、唐風呂川の谷を見ておきます。紅葉したらさぞ美しいだろうな~。


後袈裟丸山の登り返しから八反張付近と前袈裟丸山


8時45分、後袈裟丸山山頂到着。


展望が利くのはここまで。エサを詰め込み先を急ぎます。
ここからはこれまでと違い、石楠花とコメツガの藪が濃くなってきます。
この先を行く人はかなり少数だと思われます。それだけに静かな山歩きもできます。


9時10分、中袈裟丸山山頂到着。
ところどころ部分的には展望はあるものの、ほとんどが樹林の中での藪漕ぎになりますが、踏み跡はしっかりしています。


中袈裟丸山山頂を少しだけ北に向かったところからは奥袈裟丸山(1958m)と袈裟丸山の最高点(1961m、現在ではこれを袈裟丸山と呼ぶようです。)が見えます。


細い尾根の上は石楠花とコメツガの藪、踏み跡はしっかり付いているので忠実に辿っていきます。
いったん急斜面をコルまで下り深い樹林の笹のなかに踏み跡を見つけながら、奥袈裟丸山1958mの三角点ピークに向けて登っていきます。
コル付近からは部分的には踏み跡が全く分からなくなるところもありますが、東側の高みに向かって進めば薄いながらも踏み跡に行き当たります。


笹の斜面を登りきりしっかりした踏み跡を進むと奥袈裟丸山山頂、尾根上に三角点はあります。これが1958m地点、展望はなく尾根の一角です。
よく踏まれた踏み跡をさらに進むと、目の前に袈裟丸山最高点1961mが見えてきます。
ここからいったん急下降し小さなコルへ下り、登り返せば袈裟丸山山頂です。
コル付近からは東側の沢上部の岸壁が見えます。


10時30分、袈裟丸山山頂(1961m)到着。
東側の展望は利きますが、ガスが立ち込めているため小法師尾根を確認することは出来ません。


袈裟丸山山頂からさらに踏み跡を小法師尾根分岐に向けて下ります。
先の1931m(法師岳?)の山頂の西側を巻くように、快適な踏み跡が続いています。
シラビソの樹林の中に続く笹原に薄いながらも踏み跡を辿れば、やがて広いコルに着きます。

10時52分、小法師尾根分岐到着。
確か小法師尾根の分岐を示す看板があるはずと周りを見渡すと、シラビソの大きな幹に打ち付けてありました。
これで安心、11時までに最高点(袈裟丸山)到着を目指していたのが、11時前に分岐まで来れました。
これならば明るいうちに集落に出ることが可能なはずです。
小法師尾根方向は相変わらずのガスですが、遠くまで視界が利くうちに下降することにします。
これが今回最も不安な点、今日一番の要です。はたして間違えなく下降できるかどうか?


北東方向にはっきりと尾根とわかる地形が確認できますが、これは違います。
地図を見てもコルから沢形の地形を下ると、やがて尾根になっていくことが読み取れます。
たしかに看板の示す方向がそのような地形になっていますが、さてどうでしょうか?踏み跡もはっきりしません、少し心配です。
しばらく前からいつもの痛みが右膝に出始めたので、あまり無駄な動きもしたくはありません。
さて、どうしようかなと迷ってもいられません。
ここは素直に前方(画面中央)にある根元から枝分かれした木にピンクのテープが付いているので、
その木の幹元まで行ってその先を幹越しに見てみることにします。
なんとなく踏み跡というか腰ほどの高さの笹原に真直ぐ下に向かって筋が確認できます。
ためしにその踏み跡らしきものに分け入ってみると、意外にもしっかりとした踏み跡になっていました。

昔に購入した昭和54年修正の5万分の1の地図には、小滝洞坑跡辺りから登り小法師岳経由でこの峠を越え根利へと通じる道が記されています。
昔は六林班峠のように、足尾と追貝方面を結ぶ要所だったのでしょうかね?なんてことを考えながらしっかりと踏まれた踏み跡を進んでいきます。

しばらく進むと尾根の形もはっきりとしてきます。
ガスが立ち込めていると幻想的で美しくなります。


さらに進むと笹も消え、尾根も瘠せて道ははっきりしてきます。


しばらくは低い笹が出てきたり、笹が消えたりの道が続きます。
県境の尾根から離れ標高が下がってくるとガスも消えてきました。
尾根ではたくさんのきのこを見つけることが出来ます。昨日紹介したヒラタケもこの尾根にある白樺の林で見つけました。


12時20分、1690mピークへ到着しハナイグチの写真を撮ったり、エサを詰め込んだりとしばし小休止、ここまで順調です。
次なる不安地点の笹平に向けて先を急ぎます。遠目にはのどかな草原に見える笹平は実は深い笹原です。
その深い笹原の中で右へ派生する主尾根に出られるかが今回二つ目の要となります。
先のピークからしっかりした登山道を進んでしばらくすると、立派な木があり思わず記念撮影、ミズナラでしょうかね?。


笹平の登り返しまでは笹の深い尾根もほとんどが、北側の笹の薄いところに踏み跡は付けられているので藪をこぐほどではありません。
部分的には尾根が広がって笹が深くなるところもありますが、注意すれば踏み跡を見失うことはないと思います。

なおも尾根の北側に付けられている踏み跡をたどって笹平を目指します。

1時、笹平山頂付近通過。
ここまで続いた尾根北側に付けられた踏み跡をこのまま辿ってしまうと、そのまま北東に派生する尾根を下ってしまう恐れがあるだろうと判断し、
踏み跡が不明慮になった地点で尾根上部に向け背丈ほどもある笹薮に突入し、進むべく方向を確かめてみることにします。
なんとなく誰かが分け入ったような跡がたくさん付いています。さて誰でしょうね?熊かな?鹿かな?それとも人かな?

だだっ広い尾根の最上部付近を必死になって薮こぎしますが、笹原周辺の木々が視界を遮り、小法師岳をはっきりと確認できません。
そのまま南東に派生している尾根をしばらく進んでみますが、さらに東側にこの尾根よりもはっきりした尾根が見えます。
地図とコンパスとで確認してみると、どうやら進むべき尾根は東側に見えるその尾根のようです。
泳ぐように深い笹原の中を東の尾根に向けてトラバースしていきます。
するとやっと笹の丈が腰ほどになってきた辺りで、薄い踏み跡にぶつかりました。
けっきょく北側の踏み跡をそのまま根気よく拾っていれば、ここにたどり着いたのだと思います。この間30分程度時間をロスしてしまいました。
どなたかの前情報で「全く踏み跡もないので、コンパス頼りに深い笹を漕いだ云々」を覚悟していましたが、深い藪漕ぎもなく笹平は通過できます。
尾根北側の踏み跡を丹念に拾いながら進むべきですね。

笹平から小法師岳への踏み跡を再度見つけた辺りの笹の尾根は、丈も低く踏み跡もしっかり付いています。


1時35分、小法師岳山頂到着。
展望を期待していましたが全くありません。あれ?  そうか自分の見たことのある写真はすべて葉っぱのない時期の物。
落葉樹に覆われている山頂は、落葉していれば枝越しに県境尾根や庚申山方面がよく見えるはずです。残念。
左の膝も痛み出したので、ここで小休止。


1526mのピークまで尾根北側の笹の薄いところに付けられた踏み跡をたどります。
笹にワラビやススキが混じりだすとやがて広いピークになり、ここで踏み跡は進行右方向へ90度曲がります。
1425mのピークへ上り返すとあとは巣神山まで防火帯の中の踏み跡を辿ります。両膝の痛みが激しく、全くピッチが上がりません。


2時50分、ようやく巣神山山頂到着。
踏み跡は2つに別れます。左は地図にある登山道で庚申ダムへ続き、右は地図には出ていない踏み跡ですが下の林道に通じています。
ここははっきりしている右の踏み跡をたどり林道に出ることにします。


踏み跡上にはたくさんの山栗のイガが折られた枝といっしょに落ちています。こんなところまで栗拾いに来るんだな~、とこの時は思いました。
3時5分、やっと林道へ出ることができました。
さてこの林道を右に進むとやがて唐風呂川沿いの餅ヶ瀬林道ですが、それでは塔ノ沢登山口までがあまりにも遠くなってしまいます。
ここは左に進んで林道の終点まで行き、尾根に付けられた踏み跡を辿って唐風呂の集落へ下りることにします。
そうする事で塔ノ沢登山口までの車道歩きも10kmくらいに短くなります。


林道を終点に向けて歩き出してまもなく、斜面下のほうでバキバキと枝の折れる音がします。
人が何か作業でもしているのか?と下を見ると、写真中央付近の木に登っている真っ黒な人がじゃなくて熊が・・・自分との距離はおおよそ20m。
こっちに気づきあわてて木を下り斜面を下ろうとしたのですが、張り巡らせた獣避けネットに拒まれ下れず左の方へ逃げていってしまいました。
そうだったのか!もしかして山栗は熊が食べていたのか???
ちょっとまって、そっちはこれから自分が行く方角、おまけに林道に沿うようにネットは張られています。
林道終点より尾根に再び踏み込んだときに、熊に遭遇したらどうすんだよ!おおいに不安になります。


体力的にも餅ヶ瀬林道へ向かう体力はもうありませんし、そっちへ向かったとしても熊は間違いなくそっちにもいるでしょう。
ここは明るいうちに是が非でも唐風呂集落へ降りねばなりません。
左の尾根が林道と交わるところで終点となります。問題はその終点で集落への下り口が見つかるかです。

林道終点で方角的に見ても、どうにか下り口らしきものは見つかりました。ほかに下れそうなところもないのでここを下りることにします。
あとは熊に遭遇することの無いよう祈るだけです。ではなくて遭遇しないよう手を叩いたり、奇声を上げたりしながら歩くことにします。
杉植林地の中下り始めてしばらくすると、踏み跡もしっかりわかるようになります。これは山仕事の作業道のようです。
歩きながらなんとなく獣の気配を感じます。前方左にがさがさと音がするので、もしや熊か?と奇声を上げると猪突猛進、
大きなイノシシが猛ダッシュで斜面を左へ逃げていきました。30mと離れていない位置です。この時間にここはもうヤバイのか・・・。

やっと民家の屋根が見えてきました。
4時ちょうどに唐風呂集落へ到着。
民家裏の竹やぶに出ましたが、どこから公道に出てよいのは分からずしばらくうろうろしていましたが、
民家の庭先に出てみるとお墓の向こうに道が見えたのでそこから公道に出ました。


歩き出してここまでおおよそ10時間40分かかりました。
あとはおおよそ10kmの車道を塔ノ沢登山口まで戻れば終了です。
ここから沢入まではR122をひたすら歩きます。沢入から車までは林道で標高差300mくらいをひたすら登ります。
林道の後半でヘッドランプを出しました。もうすっかり暗くなってしまいました。
やっと前方にヘッドランプに照らされて赤くテールランプが見えてきました。
6時、やっと長い柴刈りが終了しました。
本日、柴刈り中は熊1頭、イノシシ1頭以外は誰とも会いませんでした。

2012年9月29日
コースタイム:
塔ノ沢登山口(5:20)→前袈裟丸山(8:18)→奥袈裟丸山(10:30)→小法師尾根入り口(10:52)→小法師岳(13:35)→巣神山(14:50)
→唐風呂集落(16:00)→塔ノ沢登山口(18:00)