国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシア極東旅行記:ブラゴベッシェンスク編

2007年09月12日 | ロシア・北方領土
●ブラゴベッシェンスク到着 今回のロシア旅行ではダブルエントリービザを準備した。ブラゴベッシェンスク訪問中に対岸の中国黒竜江省黒河(ヘイヘ)を日帰りで訪れるのが目的である。スケジュールの関係上、黒河滞在が約2時間と非常に短くなってしまったが、中露国境を訪れるという旅行の目的は達成できた。 夜行列車でブラゴベッシェンスクに到着した後、トロリーバスでアムール川沿いのレーニン広場まで移動した。英語は . . . 本文を読む
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中露国境の町ブラゴベッシェンスクからアジアを眺める

2007年09月11日 | ロシア・北方領土
●双子都市、ブラゴベッシェンスクと黒河 ブラゴベッシェンスクは人口100万人弱のアムール州の州都である。人口約22万人だから日本で言うと山梨県の甲府市か、あるいは福井県の福井市ぐらいの規模だろうか。ただ、街は道路が非常に広く、一区画も縦横共に100-200m程度あって土地を非常に贅沢に使っている。この点は北海道の町と少し似ている。冬場の雪対策なのかもしれない。 この町の最大の特徴は、アムール川 . . . 本文を読む
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ロシア極東旅行記:ウラジオストク編

2007年09月07日 | ロシア・北方領土
ウラジオストクで考えたことだが、現在の東アジアは19世紀後半の西欧と比較的似通った面がある。アジア大陸では北側のロシアと南側の中国という二つの超大国が対立し、中国の成長にロシアは大きな脅威を感じている。また、中露と日本の間には緩衝国の朝鮮半島国家、中露間には緩衝国モンゴルが存在する。中国をドイツ帝国、ロシアをフランスに例えるなら、緩衝国の朝鮮半島国家はベネルクス三国に対応することになる。また、モンゴルはルクセンブルグかあるいはスイスに対応することになる。 このような対応関係を考えれば、日本の今後採るべき外交政策も自ずと明らかになる。大英帝国=国際金融資本が欧州大陸の主要国を分裂・対立させて漁夫の利を得ると共に欧州大陸を統一する超大国の出現を防止してきた歴史を日本は学び、実行すべきなのだ。英国外交史を専門とする慶応大学法学部の細谷雄一助教授が若年ながら外務省が関連する雑誌「外交フォーラム」に寄稿するなど、日本の外交政策に関与しているのも納得できる。英国の大学院で地政学を研究している奥山真司氏も、同様の認識を持っていることだろう。 ただし、大英帝国=国際金融資本が自己の利益だけを追求して欧州で悲惨な大戦争や革命による大虐殺を盛大に実行してきたことは日本は見習っては成らないだろう。日本は可能な限り戦争のない平和な東アジアを目指すべきである。また、日本国民の国益だけを追求するのではなく、東アジア全体の利益、あるいは全世界の利益をも追求すべきだ。その点で私は江田島孔明氏の主張する「新日英同盟」には賛成しない。日本に必要なのは大英帝国=国際金融資本の歴史の知恵だけであり、同盟国としての英国ではない。 欧州外交史をそのまま東アジアに当てはめるのは賢明でないと思われる。まず、独仏両国は中世のフランク王国を起源としており、現在は欧州統合によりその起源に戻りつつある。両国は白人・キリスト教・アルファベットという点で共通点が非常に多い。一方の中国とロシアはいずれも中世のモンゴル帝国を起源の一つとしているが、人種も文字も宗教も全く異なっている。人口規模も約10倍の格差がある。独仏のような対等の統合は考えられないという点で、独仏関係と中露関係は大きく異なっている。従って、この均衡が揺らぐとすれば、一方が他方を圧倒し併合するという形式になるはずだ。 . . . 本文を読む
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ロシア極東旅行記:ハバロフスク編

2007年09月05日 | ロシア・北方領土
現在、旅行でロシア極東に滞在している。最初に訪問したのはハバロフスクである。 出発は新潟空港から。ダリアビア航空のツポレフ214型の飛行機で移動した。ロシアの飛行機と言うことで老朽化した飛行機かと思っていたら、驚いたことに、機体の下半分の貨物室は小型のコンテナが使用されており、乗客の預けた荷物は飛行機はそこに収納されていたようである。 ビジネスクラス12人(2-2配列)+エコノミークラス1 . . . 本文を読む
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大英帝国=国際金融資本の世界覇権崩壊後の欧州世界

2007年09月02日 | 欧州
江田島孔明氏の主張するとおり、欧州大陸は英国=国際金融資本によって分裂・対立させられてきた。EUの統合はこの対立に終止符を打つものであり、英国に対する宣戦布告とも言える。そして、冷戦終了後にEUは東欧まで大きく拡大した。近い将来にはロシアもEUに加盟することになると私は想像している。ロシアと欧州諸国は現在対立しているように見えるがそれは冷戦と同様に単なる茶番劇なのではないか。 英国の歴史家ノーマン・デイビスが書いた英国史の大著「アイルズ」では、大英帝国の繁栄の過去だけでなく、欧州の一地方に転落してゆく近未来も描写されている。米国政府が英国=国際金融資本による支配からの脱出のためにイラク戦争を開始し、独仏露といった欧州大陸の大国が英国に対抗して統合を目指している現状は英国にとって無惨な敗北に他ならない。そして、永年英国=国際金融資本が支配してきた地中海も、「地中海連合」構想を提唱するサルコジ大統領を擁するフランスに支配権を奪われつつある。国際金融資本の残党がロンドンを捨ててランドパワーの一角であるフランスに移住しつつある様にも思われる。 このような現状を考えると、江田島孔明氏の主張する「新日英同盟」は敗北し急速に衰退する英国と同盟すべきと言う愚かな政策である。日本は勝ち組である独仏露と組んで北ユーラシアを支配すればよい。そして、北ユーラシアがポルトガルから日本まで軍事的に統合されるならば、その統合された地域は大西洋と太平洋という二つの大洋に広く接する地域となり、米国と同様に大陸国家でありながら一大シーパワーでもあるという状態になる。シーパワーとしての英国の地理的強みは決定的に失われる。未来の英国は現在のインド亜大陸に於けるセイロン島程度の地位に転落することだろう。 英国政府は2隻の大型航空母艦の建造を正式決定し、2014-16年頃に完成する見込みだという。また、2012年にはロンドンでの夏季五輪も予定されている。しかし、深刻な恐慌に見舞われ国際的地位が低下する英国にそれを実行する力が残されているだろうか?私は、英国は近い将来に経済的困難故に空母建設を断念するのではないかと想像する。更に、ロンドンでの夏季五輪すら断念せざるを得なくなるかもしれない。 . . . 本文を読む
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