ライブ

2000年05月12日 | 音楽

 5月6日、ジャズのライブを聴きに行った。
 場所は、川越の SWEET CADILLAC というジャズ喫茶だった。
 ライブをやったのは、Lovesick というバンドだ。このバンドのキーボードプ
レイヤーでリーダーが、何の因果かうちの会社で働いている。
 去年の行きたくなかった会社の慰安旅行、その夜の宴会で、私はケーナを吹
いた。しょせんサラリーマン、その場の雰囲気を盛り上げることに精一杯私は
努力してしまうんです。ケーナの2曲でやめときゃいいものを、そのあと一升
瓶をあやつって「よかちん節」を踊るという馬鹿をしてしまった。
 そのとき、ふだんあまり話すこともないKが私のところに来て、「ケーナい
いですね」といってきた。「おれも楽器やってるんですよ」という。
 その夜、二人でいろいろ音楽のことを話した。そのときKが、バンドをやっ
ていることを知った。昔は、音楽だけで生活していたが、今はやってけなくて
就職した、という。
 いつかライブをやるとき連絡するよ、といってくれたがなかなかその知らせ
がなかった。それがGW前に、私のタイムカードのところにライブのチラシが
挟んであった。くわしく話を訊きたかったが、彼は3勤(午前1時から9時)
の勤務で会えなかった。
 ライブに女房も行くといってたので、6日の土曜日、彼女が会社から帰って
くるのを待ってたが、7時過ぎ帰ってきた女房は「疲れちゃったから行きたく
ない」という。その朝、「世間はGWだというのに、なんでうちの会社は仕事
なんだ」とプンプンして出勤したのだった。それならそうと電話してくれれば、
もっと早く川越に行けたのに、と8時から始まるライブに遅れないかと心配し
て私は出かけた。
 8時10分前に、ジャズ喫茶に着いた。本川越駅のすぐ近くだったので助か
った。行ったことのない場所なので、どのくらいで行けるか心配だった。
 8時きっかりにライブは始まった。最初の曲は「マシュケナダ」だった。私
の高校生の頃、「セルジオメンデスとブラジル’66」で流行った曲だ。ギタ
ー2人とベースにKのキーボード。それに女性ヴォーカル2人だ。ドラムとパ
カッションは、パソコンに打ち込んであるものの演奏だった。Kは、装置類の
レバーを操作し、キーボードを自在に操って演奏していた。Kのキーボードは、
ちょっとリズムが甘い。いまいち乗れない。ギターも、素人だった。しかし、
奥さんのヴォーカルはなかなかのものだった。やっぱりドラムがいたほうがい
い。私が入ってやろうか、なんてことちょびっと思った。これでも私は、20
代にバンドでドラムをやってたんです。
 演奏の合間のトークで、Kには小学3年の女の子がいることを知った。さっ
きから気になっていた小さな女の子がいたが、その子がそうらしい。
 最初は、彼のキーボードと奥さんのヴォーカルということで始まったバンド
だったが、そのうちギター、ベースが増えた。子供も産まれ生活のためにサラ
リーマンをやってるK。 私は、Kに近いものを感じた。
 ジャズのスタンダードを何曲かやって、オリジナル曲になった。もうそれは
ジャズという感じではなかった。高橋真梨子が歌う曲のようだった。奥さんの
歌唱力だったら、いい曲CDにすれば売れるんだろうな、と思った。で、また
私は、ビールが回った頭で考えた。「おれが、曲を書こう」と。これでも20
代の頃は歌を作っていたのです。
 Kのライブを聴き、私はなんか甘酸っぱい気持ちになった。音楽で生きたい
のに、会社で成型機を相手に作業服汚して働いているK。小学3年の女の子の
いるK。粋なジャケットを羽織りキーボードを弾くK。
 ジャズ喫茶を出て本川越駅まで歩きながら、まんざら悪くないGWだと思っ
た。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする