> 山椒魚は悲しんだ。
井伏鱒二の短編小説「山椒魚」の最初の文章です。
この小説は、おれの中学生のときの現代国語の教科書で読んだ。
日曜日に図書館に行き、新聞か雑誌を読んだときにこの小説のことが書いてあった。
井伏がこの小説の最後を書き換えたことを、悩んでいたと書いてあった。
それでおれは、「山椒魚」が読みたくなり図書館で借りた。
平成二年二月二十日六十七刷と奥付に書いてあった、薄汚れた新潮文庫です。
昔の文庫本の文字は、こんなに小さく読みずらかったんだね。
小説を読み、この山椒魚は今のおれだと思った。
別におれは、頭が大きくなって岩屋を出られなくなったわけではないが、
おれは現在の暮らしから出られない。
いや、この山椒魚ほど岩屋から出たいとは思っていないが、
出来るならもっと日の当たるところに出たいとおれは考えている。
山椒魚は、目高を「なんという不自由千万な奴らであろう!」と嘲笑する。
岩屋にまぎれこんだ小蝦(コエビ)に彼はいう
「くったくしたり物思いに耽ったりするやつは、莫迦だよ」
> 彼はどうしても岩屋の出口に突進した。けれど彼の頭は出口穴につかえて、
> そこに厳しくコロップの栓をつめる結果に終わってしまった。
(コロップとは、コルクのことだそうです)
山椒魚が他人事とは思えない。
これはおれのことです。
おれはこの現在の生活から抜け出せない。
おれの場合、頭がデカクなったことではない。
おれの頭がちょっと足りなくてここから出られないと思う。
おれはバカだからしょうがねぇい。
ここんところずーっと小説を書こうと思っているのだが、おれは書けない。
いや、書いちゃえばいいんだが、書けない。
考え過ぎちゃうんだよな。
こんなの書いてもしょうがねぇ、と思っちゃうともう書けない。
そんなこと思わずに書き始めればいいと思うのだが、書けない。
これから小説と自分の距離をいや、奥さんとの距離を測って暮らそうと思う。
………………………………………………………………………………………………………………………
2/1 ふたりの名前
2/2 アジア王者ならず
2/2 昭和歌謡カヴァー作品集
2/3 骨伝導イヤフォーン
2/5 松田宣浩
2/7 結婚して40年
2/9 老人、カラオケで遊ぶ
2/10 テロリストのパラソル
2/10 小さな春
2/11 大恋愛~僕を忘れる君と
2/12 大坂なおみ、コーチと契約解消
2/12 池江璃花子が白血病
2/13 浅草のおんな
2/14 薬が欲しい
2/15 病院話
2/16 MINYO CRUSADERS
2/18 花が咲く
2/18 フェブラリーステークス
2/19 スマホ脳過労
2/20 美丘
2/21 通院
2/22 恋の確定申告
2/23 倦怠
2/24 早春のよろこび
2/24 老老医療
2/25 日本の基地問題
2/26 龍彦の弟の訃報
2/27 勤務して半年
2/28 山椒魚