谷町9丁目近くに、初代の天皇である神武天皇が自ら大神をお祀りし、国土平安を祈請されたとされる生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)があります。
今日は地元で生玉(いくたま)さんとして親しまれているこの神社をご紹介します。
「生國魂神社」
生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)は「難波大社(なにわのおおやしろ)」の尊称をもって広く朝野の信仰を集め、明治には官幣に列せられるなど、国土の守護神、そして大阪の総鎮守として崇敬されている神社です。
社伝によれば、
初代神武天皇が九州より東征の旅に発たれ、瀬戸内海を通り、航海の終着地点である難波津(後の石山碕=現在の大阪城付近)に着岸された際、その地に国土の平安を願い天皇自ら「大八洲國の国魂(日本列島のそのものの御神霊)」である生島(いくしま)大神・足島(たるしま)大神をお祀りされたのが創祀と伝わっています。
本殿の高さが20mもある生國魂神社(難波大社)は、平安時代には出雲大社、熊野大社と並ぶ3大社のひとつとして崇敬されたそうです。
「生國魂造」
本殿は、「生國魂造」という他に類を見ない建築様式になっています。
本殿と幣殿を一つの流造りでふきおろし、正面の屋上に千鳥破風・すがり唐破風・千鳥破風の3破風をすえているものです。
なお破風(写真で金色のマークがついているように見える部分)とは、屋根が強風で飛ばないように抑える役目を果たしているもので、「生國魂造」では屋根があまりに大きいために3つあるそうです。
・生國魂神社HPより
「生国魂神社拝殿」
社殿は明治45年の『南の大火』、1945年(昭和20年)の戦災による消失、1950年(昭和25年)の『ジェ―ン台風』による倒壊など幾度も被災と造営を繰り返しています。
現在の社殿は1956年(昭和31年)に建立されたもので、生島大神・足島大神を主祭神とし、相殿に大物主大神を祀っています。
「皇大神宮」
天照皇大御神をお祀りしています。
本殿の脇には11社の境内社がありますので、その内の一部をご紹介します。
「浄瑠璃神社」
浄瑠璃神社は、近松門左衛門を始め、文楽関係諸霊をお祀りする文楽の守護神として信仰されています。
近松門左衛門の「曽根崎心中」はこの神社が舞台となっているそうです。
「鞴(ふいご)神社」
鞴神社は、鞴(ふいご)の神・鍛治の神を祀り、製鉄、機械工具などを扱う金物業界の守護神として篤く崇敬されています。
「家造祖神社」
家造祖(やつくりみおや)神社は、家造の祖神をお祀りする全国唯一の神社です。
大阪城築城の際にも御神徳を発揚され、現代では特に建築関係者に篤く崇敬されているようです。
「井原西鶴像」
「好色一代男」等を著した井原西鶴は俳人としても有名で、当社の境内で一昼夜をかけて矢数俳諧を行い、一人で4000句を詠みあげたそうで、その偉業をたたえ、南坊跡に西鶴の座像が建てられました。
・西鶴は1680年(延宝8年)5月、「生玉神社南坊」で一昼夜独吟四千句を興行したそうです。後ろの碑は「南坊」の所在跡を示す石碑です。