残暑が厳しかった関西地方もすっかり秋となり、一昨日は十五夜に次いで美しいと言われる十三夜でした。
昔から十五夜、十三夜、十日夜(とおかんや)の3日間が晴れてお月見ができると縁起が良いとされています。
関西地方の今年は9月の十五夜、一昨日の十三夜は共に曇り空でお月見ができませんでした。
11月9日の十日夜(とおかんや)は果たして晴れてくれるのでしょうか。
せめて一日だけでも晴れてもらって、少しでも縁起がよくなるよう願いたいものです。
さて、秋の夜に飲む酒は美味しいようですね。
無類の酒好きと言われている若山牧水は秋の夜に飲む酒を次のように詠んでいます。
『白玉の 歯にしみほとる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり』
この歌は明治43年、牧水が信州小諸滞在中の作で、牧水の酒の歌の中でも最も広く愛誦(あいしょう)されているものです。
この歌には、結句が『飲むべかりけり』となっているものと『飲むべかりけれ』となっているものとの二つがあってよく問題になることがあるようです。
明治43年秋に初めて雑誌に発表された時は『飲むべかりけれ』であったそうですが、大正5年に出た自選歌集『若山牧水集』では『飲むべかりけり』と改められ、それ以後牧水の書いた文章の中でも、短冊・色紙・半折・等でも常に『けり』になっているそうです。
従って、原作は『けれ』で、後に『けり』と改められたことから、『けり』とすべきだろうと言うことです。
お酒の好きな読者の皆さん、今夜は全国的に晴れて夜空の星が美しく輝くようです。
秋の夜空を眺めながら、一人静かに飲むもよし、夫婦差し向かいで飲むも又よし、秋の一夜をお酒と共にお過ごしされては如何でしょうか。