らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

嘘も方便

2017-08-14 | 季節

昨日から月遅れのお盆に入りました。
お盆は明治6年からの新暦で7月15日(7月13日~16日)を中心に行われるようになりましたが、現代の日本では、その新暦のお盆から一ヶ月後の8月15日を中心(8月13日~8月16日)に月遅れのお盆を迎えて先祖供養をする地域が多いようです。
お盆は祖先の霊を祀るために行われる行事で、仏教行事のひとつと位置付けられており、各ご家庭ではご先祖様をお迎えしてご供養されている事と思います。
今日は、皆さまもよくご存知で、仏教が教えている言葉「嘘も方便」についてその由来をご紹介します。

「嘘も方便」とは、広辞苑によると、嘘をつくのはもちろん悪いことだが、時と場合によっては物事を円滑に運ぶための手段として必要な事もあるということ。
注釈として、「方便」は便宜的な手段の意。本来は仏教の教えで、一般大衆を救って悟りの世界へ導くためには、仏も嘘を用いたと言うことから。
と説明しています。
つまり、人を正しい道に導くためには嘘をつくこともいたしかたない、ということで嘘を認めているのです。
ところが、今日では少しニュアンスが違って、都合良く嘘をつくことを「嘘も方便」だと思っている人がいます。

それでは、仏教ではどのように「嘘も方便」を使っていたのでしょうか?
仏教界に伝わる「嘘も方便」を調べてみると次のように書かれています。

「嘘も方便」
・法華経で説いている「法華七喩(ほっけしちゆ)」の中に、「三車火宅(さんしゃかたく)・譬喩品(ひゆぼん)」のお話があります。
ある時、長者の家が火事になりました。家の中には子供達がいたのですが、夢中で遊んでいて火事に気が付きません。長者が呼んでも一向に外に出てこないのです。
困った長者は、子供達に向かって「お前達が欲しがっていた車が、家の外にあるぞ」と叫びました。
この言葉で子どもたちは次々に外へ出て来て、皆無事に逃げることができました。
この譬え話では、車など外にはなかったのに子供たちを助けるために嘘をついたのです。
しかし、こうして嘘をつくことによって、子供たちの命が助かったのです。
このように、人を救うために嘘をつくことを「嘘も方便」といいます。

・また、「長老尼の譬喩(ひゆ)」の中の「キサーゴータミーの譬喩」というお話もあります。
あるところに、キサーゴータミーという女性がいました。
キサーゴータミーは裕福な夫と結婚して子宝にも恵まれたのですが、その子供は早くに亡くなってしまいました。
どうしても子供の死を受け入れられないゴータミーさんは、偶然出会ったお釈迦さまに、「どうか子供を生き返らせてください」と懇願しました。
するとお釈迦様は、「誰も死者を出していない家から、芥子(けし)の実を貰ってきなさい」とキサーゴータミーに言います。
お釈迦さまに言われた通り、キサーゴータミーはあちこちの家を回って、死者を出したことがない家の芥子の実をもらおうとします。
しかし、どの家も家族を亡くしたことがって、誰も死者を出したことがない家などないのです。
そこでキサーゴータミーは悟りました。
愛する人との別離は、自分だけではなく、誰もがその苦しみを経験しているのだと。
お釈迦様は、このようにして「嘘も方便」を実行したのです。

このように「嘘も方便」と言う言葉は、本来は仏教の教えなのです。
衆生が自分から悟ることができなかったり、時間がかかり過ぎたりする場合は、その恩恵に早く浴させるために、仏すら嘘を用いたのです。
そのためには嘘をつく目的が済度(さいど:救済)というような崇高な条件が必要なのです。

しかし、今日では一般に嘘をつくための方便として用いられ、本来の意味から外れて使用されているようです。
嘘は罪悪です。
使用には十分注意したいですね。