毎週日曜日のMBSテレビ(毎日放送)の番組にサンデーモーニングがあります。
この番組のスポ―ツコーナーではコメンテーターとして出演者している張本勲さんがよく「喝!」と叫んでその神髄を話してくれます。
ここで言われる「喝!」はその人の「気力が足りない」とか「もっと頑張れる筈」などから励ましの意味を込めて「カツを入れている」のです。
ところが、「カツを入れる」場合の「カツ」は「喝」と言う字ではなく、「活」になるのです。
そこで今日は「喝」と「活」について調べました。
最近では、サンデーモーニングの番組の影響で「活を入れる」と書く場合に「喝」と誤用されていることが多いそうです。
広辞苑には、「活を入れる」として、(柔道などで)気絶した人を蘇生させる術を施す。転じて、元気づける。気力を起こさせる。
そして「活」は、いきること。勢いよく動くこと。「死中にに活を求める」と説明しています。
一方、「喝」は大声を出すこと。大声で叱ること。特に、禅宗で励まし叱る時の叫び声。また、大声で脅すこと。と説明しています。
辞書が示すように、「カツを入れる」を「喝」と書くのは誤りで「活を入れる」が正しい使用になります。
「喝」は大声で叫ぶことなのです。
「喝と活」
「喝」自体は、大声そのものなのですが、この「喝」を文字通り「かーつ!」と言って発する人もいれば「ワッ!」とか「ハッ!」とか、いわゆる言葉にならない叫びの場合もあります。
それは、「喝」という言葉が「大声を出す、大声で叱る」という意味だからなのです。
「喝!」は禅の世界でよく用いられてきた言葉です。
禅における「喝」には4種類あるとされています。
(1)相手の迷いや執着を断ち切ってしまう、剣のような「喝!」
(2)相手の思い上がりを粉砕してしまう、ライオンの咆吼(ほうこう:獣が吠える)のような「喝!」
(3)相手の力量を測るために発する、探るような「喝!」
(4)上の3つを包括する、大きな「喝!」
従って、上の4種類にキチンと沿っているなら、「ニャー!」という叫びであっても理屈の上では喝になるのです。
一方「活」は、気絶した人の急所を突いたりもんだりして生き返らすことで、転じて、元気を失った人に元気をつけることです。
そして「活を入れる」は、柔道などの格闘技の世界に由来する言葉で、落ちる(失神・気絶)ことの多い柔道の世界では、絞め技と同時に覚醒させる術も学びますが、そこから、気力を入れて起こす、それが次第に気合いを入れるというニュアンスでも使われるようになり「活を入れる」となったようです。
「結論」
「喝」と「活」は、 禅なら「喝」、
気合なら「活」と覚えましょう。
気絶した人の意識を取り戻させる術のことを「活」ということから、刺激を与えて、気力を起こさせることを「活を入れる」いい、「喝」は禅宗の僧侶が、座禅を組んでいるとき迷いがみられたり、きちんとした姿勢が保たれていないときなどに、警策(きょうさく)と呼ばれる平たな木の板で肩をぴちゃりと叩きますがこれが「喝」です。
しかし、その事を「喝を入れる」とは言いません。
「喝!」という大声で「活を入れる」のは間違いないのですが、入るのは「活」です。
使い分けに注意したいですね。