「もとの木阿弥」という諺があります。
意味はよくご存知だと思いますが、その語源についてはどうでしょうか?
そこで調べてみました。
「もとの木阿弥」とは、折角一度よくなったものが、また元の悪い状態に戻ってしまうことの例えに使われる諺です。
語源については諸説あるようですが、その一つに、大和郡山城主の筒井順昭に纏わる説があります。
戦国時代、筒井順慶が未だ幼少だった頃、大和郡山の城主で父の筒井順昭が臨終に際し、自分の死を隠しておくように遺言をしました。
家臣たちは順昭とよく声の似た木阿弥という盲人をにわか仕立ての殿様にし、薄暗い寝所に寝かせて病臥に見せかけたのです。
そして三年後、順慶の成長を待って、盛大に順昭の葬儀が営まれました。
丁度そのころ、ひょっこり死んだはずの木阿弥が城下に姿を現したのです。
いぶかしがる知り合いに「俺は元の木阿弥だよ」と言ったことが語源とする説です。
他の説としては、ある人が妻を離縁して出家し、木食(もくじき:木の実や若芽だけを食べて修行すること)をして仏道に励み、京の人々から木食上人(もくじきしょうにん)または木阿弥などと呼ばれて敬われていました。
ところが歳をとるにつれて妻が恋しくなり、修行も止めて元の暮らしに戻ってしまったことから、世間の人はこの老人をあざけって「元の木阿弥」と言うようになったと言う説です。
他にもいろいろな説があるようですが、いずれにしても、これらの故事から転じて、一度は身に余る栄華を掴んだ者が、失敗して元の素寒貧(すかんぴん)にもどること。また、元どおりのつまらない状態に戻ることを例えて言われる諺です。
意味は知っていても、その謂れや由来までは知らない場合も多いと思います。
参考になれば幸甚です。