ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

東直己『半端者-はんぱもん-』2011・ハヤカワ文庫-ススキノ探偵シリーズの前日譚です

2024年12月24日 | 北海道を読む

 2019年のブログです

     *

 東直己さんの『半端者ーはんぱもんー』(2011・ハヤカワ文庫)を再読しました。

 東さんは札幌在住の小説家。

 『探偵はバーにいる』や『バーにかかってきた電話』などが有名で、映画化もされています。

 本作は、そのススキノの探偵が、まだ北大在学中の前日譚のできごとを描いた小説です。

 主人公は後日譚を想像させるようなお酒とギャンブルの生活を送りながらも、どこか一本、筋のとおった生き方をしていて、そこが魅力。

 まだ北大哲学科を中退する前で、一応、勉強もしている身であり、親友の高田(続編にも登場します)に誘われて、ミルトンさんの『失楽園』(!)の抄読会などにも真面目に参加しています。

 そして、家庭教師のアルバイトも複数、こなしています。

 しかし、生活の基本はお酒であり、おつまみです(なんだか今のじーじみたい)。

 その主人公が、ちょっとしたことからフィリピンダンサーがらみの事件に巻き込まれ、大変なことになります。

 最後は、……読んでのお楽しみ。

 まだ若き日の桐原というヤクザも登場し、物語に深みを与えます。

 本書はなぜか、しばらく息子のところにあったらしいのですが、今回、戻ってきて、再読をしました。

 久しぶりに読みましたが、やはりいい小説です。

 いい小説が読めて幸せです。             (2019.12 記)

 

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クリスマスツリーを楽しみながらの訪問カウンセリングは、こころもキラキラ明るくなります

2024年12月23日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が訪問カウンセリングや公園カウンセリング,海岸カウンセリング,里山カウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)で時々やっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助もたまにやっています。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は,1回,50分,3,000円で,2週間に1回,あるいは,月1回などの間隔で行ないます。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。 

 料金・時間・間隔などは,訪問ウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回,50分,3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回,60分,6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも,土・日・祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時に行やっています(すみません、年寄りなもので、夕方や週末のお仕事が難しくなってきました)。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。

 そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

     *

 駅の近くに部屋を借りて本格的にカウンセリングルームを運営するような臨床心理士さんとは違って、じーじは近くの公園や海岸、河川敷などでカウンセリングをしています。

 子どもさんを遊ばせながら、ちょっとだけ悩みごとを聞いてもらえればいいんですー、というお母さんや悩み多き若者(?)などがじーじのクライエントさんには多いです(じいじいやばあばあのみなさんもお断りはしませんが(?)、尊敬すべき先輩たちのみなさんですから、できるだけご自分で解決しましょうね)。

 おこづかいを貯めて(?)、お気軽に、遠慮せずに、ご利用ください。

     *

 クリスマスツリーを楽しみながらの訪問カウンセリングは、こころもキラキラ明るくなりますよ。

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道生まれ  

    1977年、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

    2014年、放送大学大学院修了(臨床心理学プログラム・修士) 

    2017年、臨床心理士

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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沢木耕太郎『旅する力-深夜特急ノート』2008・新潮社-『深夜特急』の魅力

2024年12月23日 | 沢木耕太郎さんを読む

 2018年のブログです

     *   

 沢木耕太郎さんの『旅する力-深夜特急ノート』(2008・新潮社)を再読しました。

 2008年の本ですから、ちょうど10年ぶりです(いい本なのに、沢木さん、ごめんなさい)。

 このところ、沢木さんの『深夜特急』を読んできたのですが、先日、本棚を眺めていると、下のほうの段にこの本を見つけてしまいました。

 こういう偶然があるから読書はやめられません(といっても、単に整理整頓が苦手なだけなのですが…。今も沢木さんの本はあちこちの本棚に潜んでいて(?)、時々探している始末です)。

 本書は、沢木さんの旅の記憶や体験、文章を書くことの経験やそれについて考えること、そして、『深夜特急』に繋がる旅とその文章化について、などなどが述べられていて、とても刺激的で、面白く読めます。

 テレビの大沢たかおさん主演の『深夜特急』についても書かれていて、興味深いものもあります。

 ひとつ、発見をしたのは、『深夜特急』において、沢木さんが写真を載せていない点。

 沢木さんは、写真でなく、文章で勝負をしたかった、と書きます。

 ここは、じーじのブログと全く同じです(?)(じーじの場合は、単にカメラがないというだけなのですが…)。

 表現力に大きな差がありますが、文章の力を信じている点だけは同じなのかもしれません(ちょっとおおげさですかね?)。

 しかし、じーじが、『深夜特急』以外にも、沢木さんのエッセイを好んで読んでいる理由は、この辺にもあるのかもしれません。

 学ぶことも多くあります。

 あまり意識はしていませんでしたが、家裁調査官時代にも実はこっそり文章を真似していたかもしれません(?)。

 その割に、お粗末な文章ばかり書いていますが…。

 これからも、沢木さんを見習って、じーじのひとり旅や孫娘シリーズをせっせと書いていきたい(?)と思っています。               (2018. 12 記)

 

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サンタさんとトナカイくんを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもシャンシャン元気になります

2024年12月22日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングと訪問カウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)で時々やっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助もたまにやっています。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は,1回,50分,3,000円で,隔週1回か月1回などの間隔で行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間・間隔は,公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回,50分,3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回,60分,6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています(すみません、年寄りなもので、夕方や週末のお仕事が難しくなってきました)。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。

 そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 駅の近くに部屋を借りて本格的にカウンセリングルームを運営するような臨床心理士さんとは違って、じーじは近くの公園や海岸、河川敷などでカウンセリングをしています。 

 子どもさんを遊ばせながら、ちょっとだけ悩みごとを聞いてもらえればいいんですー、というお母さんや悩み多き若者(?)などがじーじのクライエントさんには多いです(じいじいやばあばあのみなさんもお断りはしませんが(?)、尊敬すべき先輩たちのみなさんですから、できるだけご自分で解決しましょうね)。

 おこづかいを貯めて(?)、お気軽に、遠慮せずに、ご利用ください。

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 サンタさんとトナカイくんを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもシャンシャン元気になりますよ。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道生まれ  

    1977年、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

    2014年、放送大学大学院修了(臨床心理学プログラム・修士) 

    2017年、臨床心理士

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

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NHK・Eテレ「日曜美術館・相原求一朗」-北海道の山々を描いた画家に想う

2024年12月22日 | 北海道を読む

 2018年のブログです

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 たまたま、NHKのEテレを観ていたところ、今日の日曜美術館の特集が画家の「相原求一朗」さん。

 絵のことには全く疎いじーじですが、相原さんのことは知っています。

 まだひとり旅を始めたばかりの頃、じーじはどさんこの画家さんである坂本直行さん(六花亭の包装紙の絵の画家さんです)の絵が見たくて、帯広近郊の中札内村にある六花亭の美術村に行きました。

 そこで、坂本さんの絵を十分に堪能したあと、美術村の中をぶらぶらしていたら、相原求一朗美術館というのがあって(知らなかったとはいえ、相原さん、ごめんなさい)、入ってみました。

 すると、そこには、北海道の山々の絵がたくさん。

 どれもが、北海道の山らしい雄大な絵ばかりで、すっかりお気に入りになってしまった記憶があります。

 じーじにしては珍しく、椅子に座ったりして、見入ってしまったことを思い出します。

 じーじが知っている山だけでなく、知らない山も、なんとなく北海道らしくて(それがなぜかは、うまく言葉にできませんが)、すごいな、と思いました。

 帰りには坂本直行さんの絵はがきだけでなく、相原さんの絵はがきも買い求めるほどでした。

 今日のテレビを観ていると、相原さんは戦争中に満州にいたことがあり、戦後、それと似ている北海道を訪れるようになったとのことでした。

 満州では戦友が亡くなったりと辛い思い出があったようで、それが北海道の山の絵を描くなかに投影されているようです。

 確かに、重苦しいような印象もありますし、しかし、雄大な、爽快さみたいなものも感じられますし、ひと言では言い表せない深みみたいなものが感じられます。

 番組のゲストのかたが、見る人によって、いろいろな想いが湧いてくるのでしょうね、とおっしゃっていましたが、同感です。

 偶然でしたが、朝からいい番組を観れて、とても幸せな気分でスタートした日曜日です。        (2018. 12 記)

 

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田中康裕『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』2017・創元社-個別から普遍へ

2024年12月21日 | ユング心理学に学ぶ

 2018年のブログです

     *     

 田中康裕さんの『心理療法の未来-その自己展開と終焉について』(2017・創元社)を読みました。

 田中さんはユング派の分析家ですが、じっくりと読むのは初めて。

 かなり刺激的でいい本でした。

 田中さんは、心理療法はその対象によって常に改定される、といいます。

 神経症が対象だったフロイトさんの時代は精神分析、その後、精神分析は統合失調症や境界例にも適応されて発展しますが、解離性障害ではなかなか難しくなった、と指摘されます。

 それは、解離性障害では、それまで当然とされた「人格」の存在があやうくなった(?)ため、といいます(雑な要約で、間違っていなければいいのですが…)。

 そのために、それまでの、意識と無意識からなる「人格」を当然のものとしていたそれまでの心理療法では手に負えなくなったのではないか、と考察されます。

 そして、その後に出てきた発達障碍。

 ここでは、「心的未成」という状態が考えられ、まずは「心的誕生」が必要と考えられ、これまでの神経症、境界例、統合失調症という病態水準ではなく、それとは別の発達スペクトラムの視点での関わりが必要になる、と述べられます。

 当然、そのために必要な心理療法の技法も違ったものとなるようで、本書では、これまで常識とされていた中立性などの概念の再検討がていねいになされていて、とても参考になります。 

 そして、なにより刺激的だったのは、やはり、心理療法家は眼前のものへの個別性を大切にしたコミットメントが重要との指摘で、事例検討を重視し、個別から普遍へと進むことで事例研究に至るという考え方を徹底されています。

 ここらへんは、先日の遊戯療法学会のシンポジウムでも取り上げられていた点であり、真のエヴィデンスとは何か、を考えるうえで大切な視点になると思います。

 とても面白く、刺激的な本で、さらに読み込んでいきたいと思いました。         (2018.7 記)

     *

 2021年9月の追記です

 このブログを改めて読んでいると、精神分析のビオンさんの、記憶なく、欲望なく、理解なく、というフレーズがふと浮かびました。

 毎回毎回のカウンセリングが新鮮なことの大切さを強く感じますし、そこでしかカウンセリングの真の勝負はないのかな、と思ったりします。       (2021.9 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 1954年、北海道生まれ  

 1977年、家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

 2014年、放送大学大学院(臨床心理学プログラム)修了  

 2017年、臨床心理士

 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の相談・援助などを研究

 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006、『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011、『遊戯療法学研究』)ほか 

 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 連絡先 メール  yuwa0421family@gmail.com    

 

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沢木耕太郎『深夜特急1-香港・マカオ』1994・新潮文庫-ひとり旅を読む

2024年12月21日 | 沢木耕太郎さんを読む

 2018年のブログです

     *    

 沢木耕太郎さんの『深夜特急1-香港・マカオ』(1994・新潮文庫)を再読しました。

 ようやく全6巻読破です。パチパチパチ(?)。

 それも年末の大掃除前にできてしまいました。エッヘン(!)。

 行方不明の第1巻を大掃除の時に見つけようという計画(?)だったのですが、なぜか、先日、本屋さんで文庫本の棚を眺めていたところ、奇跡的に『深夜特急』の第1巻を見つけてしまったのです。

 値段も比較的安かったので(なんと490円です)、清水の舞台から飛び降りる覚悟で(ちょっと大げさですか)、大掃除の前に買ってしまいました(これはうちの奥さんには内緒です)。

 さっそく読んでみると、後の巻に比べて、文章がなんとなく初々しく、旅の出発にふさわしい印象を受けました。

 紀行文というのは、書いているうちに、少しずつ文章が変わってくるのかもしれません(おそらく、書き手の人間も変わっていくのでしょうね)。

 沢木さんの場合は、旅をした年齢のせいもあって、なんとなく大人になっていく青年を見ているような感じになります。

 しかも第1巻、最初はインドのデリーから書き始められています。

 デリーのお話から、そして、香港とマカオでのお話になるという展開で、旅のお話というのは、必ずしも時系列的でなくてもいいのかもしれません(これはじーじのでたらめな読み方の弁解をしているだけかもしれませんが…)。

 旅の思い出は螺旋的に出てきたり、その間にいろいろなお話が挟まったり、昔の思い出が語られたりして、重層的に豊かに語られるほどいいのかもしれません。

 じーじが買った第1巻は2018年8月20日発行の61刷。

 今でも読まれているのですね。

 沢木さんの『深夜特急』は、若者の自由な貧乏旅ですが、若い人たちにはもちろん、中年や老年のようなこころの旅が必要な人たちにも大切な本ではないかと思います。

 年末年始にゆっくりと味わうことをおすすめします。        (2018. 12 記)
 
     *

 2024年12月の追記です

 6年前の感想文です。

 沢木さんは今も素敵で、ダンディーですね。

 何が違うんだろう?

 うらやましいです!         (2024.12 記)

 

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河合俊雄・田中康裕編『大人の発達障害の見立てと心理療法』2013・創元社-ユング派の発達障碍の理解に学ぶ

2024年12月20日 | ユング心理学に学ぶ

 2018年のブログです

     *

 河合俊雄さんと田中康裕さんが編集をした『大人の発達障害の見立てと心理療法』(2013・創元社)を読みました。

 なかなか難しい本でしたが、かなり刺激的な本で、勉強になりました。

 お二人ともユング派の分析家ですが、ユング心理学だけにこだわらずに、精神分析や心理療法全般にも目配りがなされており、バランスのいい本です。

 発達障碍、と聞くと、空気を読めない、とか、自己流とか、マイペース、とかいったイメージが湧いてきますが、河合さんは、それらよりも、主体のなさや主体の未成立がその本質ではないか、という仮説を持っていらっしゃいます。

 主体が未成立だからこそ、状況に関係なく、刺激に流されてしまい、状況と関われないのではないか、とおっしゃっているように思います(間違っていないと思うのですが…)。

 したがって、主体を確立することが大切なことになるようです。

 そして、分離、発生、誕生などといった言葉や概念がキーワードになるといいます。

 そのうえで、発達障碍の人の心理療法においては、まず、周りとのずれの気づきが重要で、それも内省としてではなく、具体的なことがらからを通しての気づきや実感が重要になるようであり、そういう点で従来の心理療法と少し違う工夫が大切にだろうといいます。

 主体のなさの例証として、風景構成法という心理テストで、普通は10歳くらいの子どもに見られる、川が立つ、という描き方が、発達障碍の人では遅くに出現するという現象が挙げられていて、とても示唆的でした。

 いずれまた、近いうちに再読をして、さらに深く読み込んでいきたいなと思う本でした。           (2018. 10記)

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 2019年11月の追記です   

 発達障碍のかたは、悪気がないだけに、とても傷ついている人が多いと思います。

 まずはその怒りやうらみの受けとめが大切になりそうです。

 そのうえで、周囲とのずれの明確化や直面化を一緒に考えていくことになるのでしょうか。          (2019. 11記)

 

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ジェイ・ルービン『村上春樹と私-日本の文学と文化に心を奪われた理由』2016・東洋経済新報社-村上さんを翻訳する(?)

2024年12月20日 | 随筆を読む

 2019年のブログです 

     *

 ジェイ・ルービンさんの『村上春樹と私-日本の文学と文化に心を奪われた理由』(2016・東洋経済新報社)を読みました。

 ルービンさんはハーバード大学の名誉教授、村上さんの『ノルウェイの森』や『ねじまき鳥クロニクル』などの翻訳で知られます。

 そのルービンさんの、村上さんとの出会いから最近の交流までを描いたエッセイです。

 面白いです。

 いろんな村上さんらしい逸話が出てきて、飽きません。

 例えば、ルービンさんのクラスで村上さんの『パン屋再襲撃』を取り上げた際、ルービンさんが、海底火山は何の象徴か?と学生にきくと、ゲストで来ていた村上さんが、火山は象徴ではない、ただの火山だ、あなたがたはお腹がすくと火山が思い浮かびませんか?僕は浮かぶんです、空腹だったから、と述べる場面が出てきて、象徴よりも物語を大切にする村上さんを描きます。

 また、村上さんが、夏目漱石の作品の中で『坑夫』が一番好きなこと、そして、『海辺のカフカ』の中で、カフカくんが、『坑夫』は何を書いたのかわからないという部分が不思議にこころに残る、と話す場面を挙げて、村上さんがやはり物語を大切にしていることを述べられていて、そういう村上さんを信頼している姿が印象的です。

 村上さんの小説の英訳についても、細かいことよりも、英文で読んで面白いかどうかを重視するという村上さんの姿勢に、同じようなものが感じられます。

 他にも、ルービンさんの『三四郎』の翻訳にまつわる村上さんとのできことや芥川龍之介の翻訳にまつわる村上さんとのエピソードなど、興味深い逸話が紹介されています。

 村上さんのエッセイと同じくらい、村上さんの世界が楽しめるいい本だと思います。         (2019.3 記)

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 2023年10月の追記です

 ルービンさんの挙げたカフカくんの言葉が気になって、その箇所を読んでみました。

 カフカくんが大島さんという青年と『坑夫』について話していて、この小説には体験からの教訓などが書かれていないことを挙げて、この小説はいったい何を言いたいんだろうって、でもなんていうのかな、そういう、なにを言いたいのかわからない、という部分が、不思議にこころに残るんだ、うまく説明できないけど、と述べています。

 また、次のところでは、彼にとって、自分で判断したとか選択したとか、そういうことってほとんどなにもないんです、なんていうのかな、すごく受け身です、でも僕は思うんだけど、人間というのはじっさいには、そんなに簡単に自分の力でものごとを選択したりできないんじゃないかな、とも述べています。

 不思議さを大切にして、人間の力には謙虚であるという村上ワールドが全開ですね。       (2023.10 記)

     *

 2024年12月の追記です

 じーじは、努力をすれば、夢は必ずかなう、という言葉が嫌いです(?)。

 他にもそう言っている方がいらっしゃいますし、じーじもそんな趣旨のブログを書いたことがあります。

 漱石さんの『坑夫』の主人公のように、夢に向かわない人生も拙いとは思うけれど、夢の向かいすぎるのも拙いような気がします。

 夢多き若者にはまことに申しわけないとは思いますが、人生、どんなに努力をしても、夢がかなわないことのほうが多いのではないかなあ、と考えています。

 しかし、夢は大切だと思いますし、それに向かっての努力も大切だ、と思っています。

 大事なことは、夢がかなわなかった時に、どうするかではないのかな、と思うのです。

 夢に固執してしまうのか、新たな夢に向かえるのか、そこが大きなポイントのような気がします。

 夢に押しつぶされずに、自由に頑張ってほしいと思います。        (2024.12 記)

 

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神田橋條治『精神科講義』2012・創元社-患者さんを大切にする精神科医に学ぶ

2024年12月19日 | 精神科臨床に学ぶ

 たぶん2017年ころのブログです

     *

 精神科医で精神療法家の神田橋條治さんの『精神科講義』(2012・創元社)を再読しました。

 神田橋さんは、じーじが若い頃、名著といわれている『精神科診断面接のコツ』(1984・岩崎学術出版社)や『精神療法面接のコツ』(1990・岩崎学術出版社)などという面接技法の本を読ませていただいて、心理療法の勉強をさせていただいたかたで、じーじにとっては、土居健郎さんや河合隼雄さんなどとともに重要な先生です。

 その神田橋先生の精神科医療についての本で、この本もじーじにとっては中井久夫さんの精神病についての何冊かの本と並んで大切な本です。

 今回がたぶん3回目の再読ではないかと思うのですが、アンダーラインでにぎやかなだけでなく、付箋があちこちにあって、本がだんだんと膨らんできてしまいました。

 それでも、今回、初めて気づいた箇所もあったりして、あいかわらず自分の読みの甘さを反省させられましたし、何回読んでもいい刺激になる大切な箇所もいっぱいあって、勉強になりました。

 今回、印象に残ったことのひとつは、他の大家もよく言われていることですが、心理療法において、わからないところをきくことの大切さ。

 すぐにわかった気にならないで、不思議なところ、よくわからないところをていねいにきくことの重要性を指摘されています。

 そして、共感というのは、わからないところをきいて、双方がわかるからこそ共感が生じる、と述べています。

 また、治療者が、ああでもない、こうでもない、といろいろきいているうちに、患者さんもそういうやりとりの中で気づきを得るからこそ、患者さん自身の気づきになる、ともおしゃっています。

 さらに、この時に、治療者の理解はできるだけがまんをして言わずにいて待つと、それが患者さんの気づきを得られやすくする、とも述べられています。

 このあたりは、治療者が事態を理解するだけでなく、患者さんも事態を理解できる道筋が示されていて、たいへん勉強になりました。

 他にも、相手を大切にすることが即自分を大切にすることになること、看護においては意見の統一より個性をいかすことが重要、パワーポイントの功罪と双方向の議論の大切さについて、などなど、勉強になることが多くありました。 

 なにより読んだ後にすがすがしい気分になれて、本当にいい本だと思います。

 いつかまた読んでみたいなと思いました。           (2017?記)

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 2024年3月の追記です

 今ごろ気がついたのですが、神田橋さんも、わからないことに耐えることの大切さ、を述べておられました。       (2024.3 記)

 

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村上春樹『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』2012・文春文庫-その2・インタビューの楽しみ

2024年12月19日 | 村上春樹さんを読む

 2019年のブログです

     *

 久しぶりに村上さんの『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです-村上春樹インタビュー集1997-2011』(2012・文春文庫)を再読しました。

 村上さんが夏目漱石さんの『坑夫』が好きだ、というお話をどこかで読んだ気がしていて、それでじーじも60を過ぎてから『坑夫』を読んだくらいなのですが、どこで読んだのかはっきりしなかったのですが、やはり本書だったようです(先日、ご紹介をしたジェイ・ルービンさんの本でもそのようなお話が出てきます)。

 本書はインタビュー集ですが(副題が『村上春樹インタビュー集1997-2011』)、じーじは島森路子さんと古川日出男さんのインタビューが個人的には好きです。

 お二人とも、村上さんのことや村上さんの作品をよく理解されたうえで、お話をお聞きしている様子が見えて、読んでいてとても心地いいです。

 村上さんも比較的リラックスをされてお話をしている感じがします。

 いいインタビューだと思います(じーじもこういうインタビュー、面接が目標なのですが…)。

 前回も書いたように、いろいろと大切なことが述べられていますが、あまり堅苦しく考えずに、楽しみながら読むことが一番良さそうに思いました。

 大切なことは自然にこころに入ってくる感じがします。

 いつかまた読みたいと思いました。        (2019.3 記)

     *

 2024年12月の追記です

 その後、漱石さんの『坑夫』を読みました。

 たしかに不思議な小説です。

 情けない男子の情けないお話なのですが、周りの登場人物がうまく書けているせいか、不思議と読ませます。

 意外といい小説なのかもしれません。        (2024.12 記)

 

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河合俊雄編著『ユング派心理療法』2013・ミネルヴァ書房-ユング派の臨床に学ぶ

2024年12月18日 | ユング心理学に学ぶ

 2018年のブログです

     * 

 河合俊雄さん編著の『ユング派心理療法』(2013・ミネルヴァ書房)を再読しました。

 たぶん2回目だと思うのですが(?)、例によってあまり自信はありません。

 以前読んだ時には当時のじーじの力不足のせいで、あまり理解できたとはいえなかったように思うのですが(河合さん、ごめんなさい)、今回は少しだけ以前より理解できた箇所もあったように思います。

 解説編と事例編の二部構成で、解説編では、心理療法における第三のもの、という論点に興味をひかれました。

 精神分析のウィニコットさんのいう中間領域やオグデンさんや藤山直樹さんのいう第三の主体、あるいは、クライン派の考えなどをめぐって、ユング派から見たイメージの考えなども含めて、考察がなされます。

 イメージから物語、象徴との関連など、考察は広がって、こちらの想像力も喚起される感じがしました。

 心理療法における、今、ここで、の重要性も指摘されており、今、ここでの、クライエントさんの気持ちより、今、ここでの、クライエントさんの事実が重要であって、さらには、今、ここでの、クライエントさんとカウンセラーの両者の事実が重要である、と述べられているように思いました。

 おそらく、その事実の理解や体感のために、第三のもの、が大切になるのだろうと思うのですが、まだまだじーじの力では理解が難しいところです。

 また、事例編でも、クライエントさんが内面を語るより事実を語る中で変化していく事例が紹介されています。

 ここでも、内面にアプローチするより、事実にアプローチをする中で治療的展開が起こっており、これまでの神経症を対象とした内省的な心理療法から発展をしている様子がうかがえます。

 もっとも、じーじのつたない理解では、精神分析でも同様のことが述べられているように思われ、神経症から境界例、統合失調症、そして、発達障碍へと心理療法の対象が広がるにつれて、心理療法のありかたも変わらざるをえないのかもしれません。

 あるいは、本書が主張していることも、そういうところにあるようにも思います。

 難しいですが、なかなか刺激的な、さらに勉強をしたくなる、いい本でした。           (2018 記)

 

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村上春樹『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』2012・文春文庫-その1・魂からの声をきく

2024年12月18日 | 村上春樹さんを読む

 たぶん2015年ころのブログです

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 村上春樹さんの『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです-村上春樹インタビュー集1997-2011』(2012・文春文庫)を再読しました。

 文庫本では2回目、単行本も含めると、たぶん3回目だと思います。

 今回も、小説の力や物語の力などについて語られているところに共感して、うなずくところが多くありました。

 表題は、村上さんにとって、小説を書くことは夢を見ることと同じで、自分の無意識からの声に耳を傾けるための作業である、という意味のようです。

 村上さんは、あらすじから小説を展開するという意識的な書き方ではなく、無意識からのメッセージを大切にして小説を書くという書き方をされているようで、ご自分でも先の展開はわからないといいます。

 いわば、生命全体からの訴えや叫びに丁寧に寄り添っているかのような印象を受けます。

 だからこそ、村上さんの小説からは、深い感動や大きな喜び、生きる勇気などが感じられるのではないでしょうか。

 また、村上さんは、物語の力についても述べられています。

 魂の力や物語の力、というと、河合隼雄さんを思い浮かべます。

 村上さんはユングさんやフロイトさんの本はあえて読まないようにしている、といいますが、河合さんに関しては、河合さんの生前に対談をされていますし、ご自身、河合先生、と本の中でも書くほど、河合さんを尊敬されており、村上さんにとってはとても大切な存在のように思われます(ちなみに、村上さんの奥さんはユングさんがお好きらしいです)。

 さらに、無意識の力といえば、じーじはフロイトさんも連想します。

 フロイトさんも無意識の力を重視していたわけですが、想像になりますが、物語の力をも大切にしていたのではないかと思います。

 自由連想や夢分析から、無意識に耳を傾け、なんらかの原因でゆがんだ物語を生きて苦しんでいる人たちに、無意識の声を大切にした力強い物語を生きていけるような手助けの方法を模索したのがフロイトだったのではないかと考えています。

 まだまだ勉強不足で、きちんとしたことが述べられず、歯がゆい思いもしますが、今後も思索を深め、力のあるカウンセラーになっていけたらと思います。          (2015?記)

     

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河合隼雄編『ユング派の心理療法』1998・日本評論社-ユング派の臨床に学ぶ

2024年12月17日 | ユング心理学に学ぶ

 2018年のブログです

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 河合隼雄さん編集の『ユング派の心理療法』(1998・日本評論社)を再読しました。

 このところ、なぜかユング派が気になっていて、この本も本棚の隅に見つけて、読みました。

 ちょうど20年前の本で、じーじも2~3回読んでいるはずで(?)、付箋も2種類の付箋があちこちに貼られ、アンダーラインも引かれているのですが、例によって、記憶はあいまいで、またまた新鮮な(?)気持ちで読んでしまいました。

 面白かったです。

 古い本なので、今は大家になった人達の中堅時代の論文が多いですが、みなさん、当時は日本に13人しかいなかったユング派の資格を取った人たちで、当時の熱意みたいなものが伝わってきます。

 もちろん、中身もそれぞれ多彩で、深く、今読んでも勉強になりますし、いろいろと刺激されるところが多いです。

 今回、印象に残った第一は、人と人が傷ついて出会う、という視点。

 今はユング派でも、その後の展開がありますし、精神分析でも議論されていますが(北山修さんなども述べられています)、やはり大切な視点だろうと思います。

 それと関連しますが、第二は、転移と逆転移。

 互いに傷つきながら、治癒に至るという考え方は、なかなか意味深いです。

 第三は、イメージの重要性。

 無意識からのイメージに重きを置くユング派らしい論点だと思います。

 総じてユング派は、私見では、人間の自然治癒力や無意識の治癒力に重きを置いているように思いますが(もちろん、一方で、無意識の破壊力についても警告をしています)、安易に陥らない、真摯で全体的な無意識との対話が大切になってくるように感じられます。

 そして、ここには、精神分析がいうところのエロスや攻撃性との統合も含まれてくるのだろうと思います。

 読んでいると、本当にいろいろな意味で刺激を受ける本で、さらに深く考えてみたいと思いました。          (2018 記)

 

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伊坂幸太郎『サブマリン』2016・講談社-陣内くん、主任家裁調査官になる

2024年12月17日 | 小説を読む

 2017年のブログです

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 伊坂幸太郎さんの『サブマリン』(2016・講談社)を読みました。

 名作『チルドレン』に続く、家裁調査官の陣内くんと武藤くんの物語です。

 2016年3月出版の小説ですが、家裁調査官をやめてしまって情報に疎くなっていたのか、つい最近になってようやく、このすばらしい小説の存在に気がついて、読むことができました。

 おもしろかったです。

 笑ったり、泣いたりで、忙しい小説でした。

 あらすじは書きません。

 書く能力がないせいもありますが(?)、この小説はぜひ、自分でじっくりと味わってほしいと思います。

 いろんな人物が出てきます。

 復讐に燃えていた少年、パソコンでしか世の中が見えなくなっていた少年、その家族、交通事故の加害少年だった青年、主任になったもののマイペースの陣内くん、結婚をして小さな子ども二人の父親になった武藤くん、一見冷めている女性調査官の木更津さん、さらには、盲目の永瀬さん、永瀬さんと結婚をした優子さん、などなど。

 人の憎しみと救い、助けと喜び、罪と罰、善と悪、苦しみと愛、などなど、声高ではないですが、触れられているテーマは深いです。

 家裁調査官、その組織は、じーじには少し窮屈で、在職中はやや息苦しい思いをしていましたが、しかし、この仕事はとても大変ですが、やはり素敵だと思います。

 陣内くんや武藤くんのような自由で自立した調査官が活躍できるようなおおらかな家庭裁判所であってほしいな、と外野からも応援したいなと思います。         (2017 記)

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 2020年12月の追記です

 同じく家裁調査官補ちゃんの活躍を描く柚月裕子さんの『あしたの君へ』(2019・文春文庫)も面白いですよ。       (2020.12 記)

 

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