ふと、当たり前のことに思いが至ったのですが、
日本のエネルギーのことを最近、多くのひとが発言するようになっています。
原発の危機が現実のものになった2番目の国として、
いや、チェルノブイリを引き起こしたのは旧ソ連であって、
後継国家であるロシアは、その破綻の上に成立したと考えれば、
エネルギーの本当の危機を経験しつつある唯一の国になったわけですから、
当然のことであると思います。
で、その論点のなかで、あんまり語られていないと思うのが、
現状の日本のエネルギー政策とはなんなのか、という点。
多くの発言に、そんなものはなにもなかったという無意識の認識がある。
はたしてそうなのか、ということです。
で、気付いたのが、わたしたち日本は国際世界の中で、
やはり「日米同盟」の枠の中に存在している、と認識されているだろうということ。
日本は中東からの石油に依存しているのが基本であって、
それは、基本的にアメリカの軍事力による恩恵である、
というふうに考えられると思うのです。
ヨーロッパ(特にドイツ)はなぜ、自然エネルギーに対してかくも必死であるのか?
そしてアメリカはなぜ、それほどでもないのか、
この違いは、中東の利権に対するプレゼンスの違いに寄ることが大きい。
アメリカは自国民の血を流しても、
この利権から絶対に離れない、という対外戦略を展開している。
チェルノブイリ以降のロシアが、自国での天然資源採掘に狂奔したように、
アメリカは、スリーマイルの経験を踏まえて
より一層、中東への関与を強化していった。
日本は、自立的にこうしたエネルギー戦略を考えては来なかったけれど、
アメリカの世界戦略の中で、地政学的に言って相当に枢要な位置にあることから、
日米同盟という枠の維持強化という受動的な選択をし、
主にその利益としての安定的なエネルギー供給を可能にしてきた。
中国のような潜在的な日米同盟への敵対性国家にしてみれば、
現状としては、軍事的なアメリカの覇権は認めながら、
自国の軍事増強を密かに図っていく、という選択になるだろう。
中国の外交白書で、尖閣諸島問題で日本に打撃を与えた、という
挑発的な発表があったけれど、
かれらにしてみれば、長大な不沈空母のような日本の地政的位置~
南北に長く、アジア大陸を監視するかのように枢要な海域を占拠している~は、
潜在的脅威そのものだと思います。
現実にあの海域には天然ガスの鉱床も発見されているのだから、
中国の本音は、鋭く「反日」的な方向を志向せざるを得ない・・・。
こんなような大枠の認識の上に、
今後の日本のエネルギー戦略ということを考える必要がある。
そんな思いが、強くしてきたのです。
たいへん微妙なバランスの上での論議なのだと言うことですね。
しかし日本は、ドイツのようなロシアによるエネルギー支配構造という
圧迫を受ける地政学的位置に置かれてもいないのだという、
そういう現実の中から、そしてより大きくは日米(軍事を含めた)同盟は
いまのところ、大きく変更は出来ないだろうという現実の中から、
今後の方向を考えていかなければならない、と思います。
戦後の日本は、戦争を放棄し、
自ら核兵器を持つことも国際公約として放棄している。
しかし、アメリカの軍事支配基地として、その核世界戦略の枢要な位置にあることで、
事実として、国際的な安全も確保されている。
これは好むと好まざるとに関わらず、
大枠としての第2次世界大戦の結果の国際関係なので
受認していかなければ、前提に立てないだろうと思います。
さて、フクシマ以降、その上でどう考えるべきなのか?