三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

原発危機の現実

2011年08月04日 05時31分20秒 | Weblog






コメの放射線量調査が実施されることになりましたね。
わが社のスタッフも、実家でコメを生産しており、
関係機関からその調査方法を指示され、
「もし、放射線が検出されたら・・・」という不安を話しています。

一昨日は、福島県いわき市での取材ということで、
ほぼ一年ぶりくらいで、いわきに行って参りました。
常磐道・いわき中央ICで下りたのですが、
そこから北側に向かってはICが1つだけしか通れなくなっている。
福島市でも小学校のグランドに土が運び込まれて
野積みされた状態になっていました。
既存の土面の上から重ねて土を敷き込むものと思われました。
放射線量の発表でも福島県は他県とは段違いの数値を示している。
会津の方はやや距離感があるけれど、
しかし、言いようのない閉塞感のなかに県全体が包まれていると感じられます。

しかしそういうなかで、人々の暮らしがあって
そういう現実を受け入れながら、
どうすべきかを、みんなが考えて行動している。
食品の問題も、こどもたちと大人では別に考えて摂取したりしているとか。
コメの問題はこれからの調査に待たなければならないけれど、
「たぶんもうすでに一定量、被爆は現実に受け止めざるを得ない」
という、問わず語りの雰囲気があります。
そういうなかでも、日々の暮らしを努めて明るく、
そして、冷静に判断力を働かせて、いまなすべきことに
多くのみなさんが立ち向かっている。
そういう現実を知れば知るほど、思いは募らざるを得ません。
とくに住宅の問題で言えば、
今回震災の対応でもっとも革新したこととして、
木造の応急仮設住宅という動きが顕在化し、
政府の財政出動の直接的な恩恵が
具体的なかたちで現地にもたらされている。
1戸あたり、直接的人件費が150万円程度の経済循環を産み、
被災された大工関連職のみなさんにはそういう雇用機会も提供されている。
働く場が提供された、ということの有形無形の力というのは
きわめて大きいことだと思います。
原発危機の現場から、ほんの30数キロの地域で
できる限り、人間的に豊かな生活環境を提供したい、という
多くのみなさんの力の結集は、ある思いを致させてくれることでもある。
そんな数々のひとの思いに触れれば、
いま、少しでも自分たちに可能なことに向き合っていくしかない。
福島がいま直面している危機は
しかしながら、まだまだ、継続していることがらです。
コメント
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