三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

東北の津波対策~道路整備

2012年07月01日 06時28分23秒 | Weblog




きのうご紹介した「東北のすまい再生3号」での記事から
その一部を取り上げます。
今回の東日本大震災では、被災地域が広域にわたっているので
その復興対策でもこれまでよりも広域な、
たとえば「県」という単位では対応しきれない部分も発生してきます。
とくに、津波対策では道路整備が欠かせない要件になっているので、
高速道路や国道整備については、国の現地窓口
国交省の東北整備局などの動向が不可欠な要素になってきます。
よく「多重防災」という考え方が紹介されてきましたが
これは一次的な防潮堤にその多くの議論が費やされますが、
2次的整備としての沿岸地域の主要道路、
あるいは3次としての「最終防災ライン」としての高速道路整備については
あんまり知られていないと思います。
そのことについて、この「東北のすまい再生3号」では取り上げてみました。
前述の国交省東北整備局に寄稿をお願いしたのですが、
おおむね編集意図に添った記事が掲載できたと思っています。

高速道路の「最終防災ライン」としての機能性については
仙台平野が広域にわたって津波被害を受けたのに対して、
たとえば大都市・仙台市街地が大きな被害を免れたのは
仙台東部道路の存在がきわめて大きかったことが端的に表しています。
沿岸地域でも、釜石近郊で中学校と小学校の児童生徒が避難場所を求めて
最後は高速道路にまで駆け上がって、それづたいに安全な地域まで逃げおおせた
というような事実などが挙げられると思います。
そして国の「復興事業」では、基本になるこの高速道路整備が
毎年度6000億円以上の規模で大急ぎで整備されていく計画になっています。
リアス式沿岸地域においては、かなり決定的な「復興対策」だと思います。
しかし、こうした情報は通常の県単位の生活情報の範囲には
あまり見えてこない動きになります。
しかしただでさえ、土地の少ないリアス式沿岸地域においては、
この高速道路のICがどこに整備されるのか、ということは、
その周辺が「新たな都市機能の中核的位置」を占める可能性が高い、
という意味でも、かなり重要な動きということになるでしょう。
そのことは次には、被災地の都市計画の最重要項目になって行くでしょうから
そういった都市機能の中での日常生活の構築を考えていく被災者のみなさん、
その生活基盤の基本である、「住む場所」選択の大きな要素になると考える次第。

このような意味で重要と考えて記事掲載したのですが、
ずっと、こういう情報を政治家、あるいは「復興省」という組織は
どうして明確に意思表示しないのか、
ちょっと不思議な気持ちを持ち続けていました。
官僚機構は、東北の3つの省庁組織ともこうした認識は共有しているので、
その方向で国の施策は運営されて行っていることは間違いがない。
そしてそのための財政支出として、
これまでの東北の「高速道路整備費用」が4倍以上になって、
しかも時間的に急いで施行されている現実があります。
そのことは経済の動きで見ても大きな需要が生み出され、活性化していくことを
明確に表しているのですから、
「復興」全体にとって、きわめて大きなメッセージだと思うのです。
ちょっと前の政治センスを持った政治家であれば、
こうした発表を行うについてのメンタリティは高いものがあったと思います。
ところがなぜか、こうしたメッセージを今の政権与党は明確にしてきていない。
景気、というのはひとびとの心が占めている心理的要素が大きいのですから
この辺の政治運営の稚拙さには、驚かされます。
ものすごい大金の国費が費やされるのに、ちっとも前向きな世論形成がされない。
景気対策について、その要諦をわきまえていないのではないか。
そんな大きな疑問を感じ続けています。みなさん、いかがお考えでしょうか?

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