三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

反「既得権益」の底流拡大

2012年07月23日 05時37分45秒 | Weblog


最近の30代以下世代では、新聞はまったく講読されていないと
先日聞いた瀬戸内寂聴さんの講演で話されていました。
若い世代向けに書かれたマスメディア新聞の夕刊小説が
掲載されている間には全然若い世代から反響がなく、
掲載が終わって単行本になって書店で売られ始めたらようやく、
瀬戸内さんが想定していた若い年代の女性たちからの反響が
顕著に出てきたのだそうです。
新聞という情報独占体に、市民からの愛想づかしが始まっているのでしょうか。
新聞の講読率の低下は当初、ちょっとした景気低迷によっての
経済的要因と見なされていましたが、どうもその様相は根源的になってきている。
既存大手マスコミ新聞メディアは、記者クラブ制度によって、
あたかも当然のように「報道の自由」の「権利主体」として社会的に固定化され、
権力側からのサービスをも独占的に受け続けてきている。
わたしのような零細出版社では、
国からの住宅行政についての「報道許可」を得るのに
なんども固いお役所とやり取りをしなければならないのが実態ですが、
大手メディアというのは、容易にオフィシャルで高度な情報を得ていく実態がある。
さらに一方、最近よく話題にされているのが、
電波の「放送免許」についての改革が「報道の自由」の壁に遮られて
まったく棚上げされ、国民の資産たる電波枠が
どのような正統性を持って既存テレビ局に「払い下げられた」か不透明なまま、
既存の情報ビジネス独占体制が、維持され続けていること。
あれって、まぁほとんどタダのような原価費用負担で
巨額のビジネスとして成立し続けているのですね。
このように権力による既得権益大手マスメディアへの利益供与は、
まさに目に余るようなものがあると思います。

さて、こういった既存メディアを顕著な例とする「既得権益構造」総体が、
若い世代のインターネット利用、その発展をきっかけにして、
徐々に体制的なきしみが生じてきて、
そのゆがみがどんどんあぶり出されていく傾向にあるのではないかと思います。
大津のいじめ自殺事件へのインターネット掲示板などでの
若い世代のホンネの声を見ていると、
鬱積した社会システム・既得権益構造に対する怒りが
いまやかなり巨大化しているのではないかという印象がしてきます。
そこで展開されているプライバシーの暴露なども含んだ
勇み足も多い情報の拡散ぶりに対して、「報道の自由」を謳うマスコミは
依然として、既存体制維持的な抑制を働かせている。
新興インターネット世論に対して、
後追いするのかどうするのか、いまや焦燥感にも駆られているのではないか。
インターネットで無料で大量に流れる「情報」に慣れ親しんでいる若い世代は、
既存の価値観に対して、旺盛に非難の言葉を浴びせている。

若い世代は、安定的な現在の社会から疎外されていると感じ続けていると思います。
住宅の業界で見ていても、
これから30代、20代がどれだけ住宅を建築できるのか、
そういった懸念を抱かせるような実質所得の低下、就業の不安定化が進んでいる。
そういうなかで、今回の自殺事件が起きて
当事者としての責任能力に疑問を感じざるを得ず、
ひたすら情報隠蔽に向かおうとする「既得権益層」の
露わな実態が見えてくる。それに対して若い世代の底流にあるマグマが着火する。
東日本大震災以降、否応なく、既得権益構造の
いろいろな部分と接触をするようになって、わたし自身も
遅々とした復興の歩みに、社会制度としてのきしみを実感させられています。
こういったきしみが
どうも、だんだんと若い世代からの既得権益層総体への異議申し立てに
昇華していく可能性が出てきたのではないかと思わされています。
さてみなさん、どのように感じられているでしょうか?

<写真はまったく無関係。住宅街で「図書室」に再利用されている古電車車体>
コメント
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