いや、久しぶりに面白い建築を見させていただきました。
中山眞琴さんは、建築家としてのスタートの頃から
Replanとしてはずっと関わってきた建築家。
最初期の「建築家自邸」シリーズでも、たしか2人目くらいで紹介した。
ですからもう25年くらいの長いお付き合いになっている。
建築家という存在は
ビジネスとしてみたら、あまりにも個人的な才能に依存する仕事ですが、
そういった難しさのなかで、ビジネス的な成長も遂げられている。
今回は外観写真を撮影するのを失念していましたが、
すばらしい写真を今、発売中のReplan北海道で発表していますので
ぜひお買い求めください。
http://www.replan.ne.jp/content/bookcart/b1hok/h110/index.php
なんですが、わたし自身は先日のアース21の見学会で
はじめて実物を見学して来た次第であります。
内部にいると若干揺れも感じられる。
鉄骨造なんですが、外周部には「本棚」として利用している
ロの字型の構造壁として機能するものがあり、
それによって、構造が奇跡的に成立しているのだそうであります。
前記のようなことで外観写真がないのですが、
こうした「構造壁」部分の外皮にはワインの栓に利用されたコルクが
リサイクル再生品素材として使われていて、
その部分には重厚な断熱も施されている。
内側から望む「スケスケ」な開口部は、硝子が3枚入った窓になっている。
ちょっと異質感ただよう空間美があって、面白い。
錆びた鉄板が建材として使われていて、
ワビサビに通じるような、独特の花鳥風月感がある。
そういえば、2階のオープンスペースには、茶の道具も置かれていて
実際に来客をもてなしている。
建築家スピリットがたいへんストレートに伝わってくる。
こういう直球のような建築づくりを、
そこそこ年を重ねてきた人が追求しているのを見るのは
たいへん清々しい思いを抱かせられます。
とうとうと建築を語る、っていうタイプではないのですが、
作った建築それ自身が、雄弁にオリジナリティを語っている。
そんな建築家としてのスタイルに、生き様も感じました。