三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

人間の安定的優良居住条件

2009年07月22日 07時55分26秒 | Weblog



写真は、道東標津町の湿原を流れているポー川。
湿原の中とあってか、大変水量が豊かで、
たっぷりとした流れが、いかにも自然の営みを感じさせてくれる様子。
ここの湿原に対して台地上になった端部に
太古からの人間の営み痕跡があるのです。
旧石器から、アイヌ期まで、ここでは遺跡痕跡が積層しています。
人間の暮らしに不可欠なものは、
現代人のほうが長い歴史の中では特殊だと思われます。
人間の歴史は、何万年ということになるのか知りませんが、
少なくとも、旧石器の1万年前後から考えれば、
ほんの1千年前くらいまでの北海道地域では
こういう「自然条件」のほうが人間生活の基本条件を形成していた。
海が迫っていて、後背には豊かな森が広がっていて
河川がすぐ近くを流れている。
やや高台になっていて、水害の恐れが少ない。
こういった条件が、人間の長い歴史の中では
より普遍性に近いような「安定的居住条件」なのではないだろうかと思う。
その後、農耕社会がはじまって条件が大きく変化していくけれど、
それまではほぼ一貫した条件で人間生活が営まれている。

長期優良住宅、という概念、
福田前総理が打ち出した政策でありますが、
かれが想定していたのは、アメリカの高級住宅地を見てのことだったといいます。
しかし、人間の居住条件って、
その依って立つ経済的条件から無縁ではないと思う。
アメリカの高級住宅街は、近代工業社会での生産活動が一方に成立し、
そういう都市経済基盤というものがあって、その居住ゾーン
というのに過ぎない。
まぁ、そのような居住条件はそれなりの歴史的検証を経てのことだから、
当然のように前提と考えていい、とも言えるのかも知れません。
しかし、どうも納得はしかねる部分があります。
どうも、ああいう長期住宅イメージというものを前提として
本当に考えていっていいものかどうか、
イマイチ、承服しかねる部分があるワケなんですね。
どうなんでしょうか?





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