さて本日は、本誌Replan東北記事からのご紹介。
新住協代表理事・鎌田紀彦先生に連載でお願いしている
「Q1.0住宅デザイン論」であります。
住宅の進化というのは、ただ熱環境的追求では収まらないだろう、
そういう目に見えない部分の進化が、やがて目に見える進化を促すのでは?
というわたしどもの、ユーザー的立場からの探求希望に対して
鎌田先生が、住宅のデザイン的な部分で追求していただいている企画。
この4月末の号で第4回「シンプルな家~平屋」が発表されました。
この連載記事の要旨というか、
先生からの日本の住宅への現状革新の具体的提案が、表題の通りです。
北海道の住宅においては、高断熱高気密を発展させた結果、
外皮面積を少なくするという合理的方向が選択され
その内部空間での要求床面積スペースとの兼ね合いから
「総2階建て」プランが、採用されるようになりました。
このことは、熱環境性能の追求の必然的結果として、
先生も積極的に唱導され、地域の作り手たちによって発展してきた。
高断熱化で、必要床面積の関係から1部2階建てで外皮を増やすよりも
むしろ内部空間に吹き抜けを持つ方が熱環境的に合理的になった。
しかし、先生も文中で語られているように、総2階建ては
「カーポートやアプローチ、物置・塀などの外構デザインを上手に
組み合わせれば、十分格好よく仕上げられる」けれど、
必ずしもそうした組み合わせが出来ず、外観が整わない例も多い。
そういったなかで「家族も多くはないし、コンパクトで良いから平屋の家を」
希望するユーザーも増えてきた。
コストや熱環境的には難しさがある平屋ですが、しかし先生も
以下のように認められるご意見。
「平屋が格好良いのは、水平線を強調できシャープなかたちに見えるから」。
このような現代の与条件を踏まえて、先生から出されてきた答が
「中2階のある平屋住宅」。
「中2階は天井高が1.4m以下ならば階数や床面積に算定されません。」
「こうした住宅は、もう少し工事費がかかることになりますが、
全体をシンプルなかたちにまとめることで、工事費アップは
最小限に抑えられますし、暖房費もそれほど変わりません。」
「夏には、中2階に設けた窓から効率よく排熱でき、
とても涼しい家になります。そしてほどよい高さの吹き抜けが
豊かな室内空間を作ってくれるでしょう。」
というように、提案されています。
この記事執筆に当たっては、札幌の設計事務所・フーム空間工房
宮島豊さんの設計のプランを事例としてご紹介しています。
「性能とデザイン」の探求が生み出してくる住宅の進化。
「高さのある天井がとても気持ちの良い空間を形成し、
きれいに暮らすために中2階が役に立っている気がします。
外観も総2階建てよりもはるかに低いプロポーションが美しく、
この設計を参考に、Q1.0住宅の一つのプロトタイプができるのではないか」
と、考えられているということ。
本誌としても、大いにこの動きを注目していきたいと考えています。
なお、〆切の関係もあって(笑)ややページにゆとりの少ない誌面でした。
6月発売の北海道版掲載では、レイアウトに手を加えるかも知れません。
興味を持たれた方は、いま発売中のReplan東北をご覧ください。
こちらでWEB販売中
<下の写真は中2階イメージ~飛騨高山の町家建築軒側>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます