札幌という街は、不思議な街でして、
方位学的には千年の都、京都とちょうど正反対だといわれます。
南側を山地が囲んでいて、北側に平野が開いている、
川も南東から北西の方角に流れて行っている。
地盤面の傾斜も、山側から平野側になっているので、
基本的にはやや北傾斜した敷地だらけという、
人間生活で考えれば、まったくふさわしくない地相の街と言われます。
逆に言うと、京都という街は画に描いたほどの「千年の都」であって、
ほんとうに千年以上、日本の首都でありつづけ、
いまでも、京都の街にとっては、天皇さんは
「ちょっと、武蔵野の方に、行ってきている」状態なんだとか。
一方の札幌ですが、これほど風水的にはまったく正反対になると
それはそれで、吉兆ともいえるのだ、なんていう説もあるそうです、が。
ということで、世界のどの都市でも、って、もちろん全部行っているワケじゃありませんが
一般的に都市の風上・西側にあって、高台、それで、南斜面という土地に
高級住宅街が成立するケースが多いと言われています。
この家は、札幌では希有と言ってもいい、
こうした条件を満たした立地にある住宅です。
ただし、札幌の中心市街地に対して、ひとつ山を越した位置にあるという点は
ちょっと違いがあると思いますが。
こうした敷地って、札幌では得難いので、よく建築家の人が
このあたりに自宅を構えている人が多い。
訪問したのは、つい先日の夕方4時頃。
つるべ落としの秋の日が、夕焼けに変わるような時間だったのですが、
見事な自然の変化の様子が、室内から我がものにできます。
ずっと見渡す視界には、札幌の南部市街地が広がり、
また、右手には定山渓から中山峠に至る、山並みが眺望されます。
日中の陽光は、ほぼ一日中室内に取り込まれています。
南側には、眺望と日射取得の用をなす2階分の大開口が取られていますが、
日射の過取得を制御するために、屋根から張り出すように
遮光用のルーバーが設置されています。
夏至の日射角度に合わせて、室内への日射を制限させている工夫。
こうした好立地の建物なので、
室内の壁・天井とも白に彩色して、四季や一日の時間などの
外界の変化による色合いの変化も室内に取り込ませています。
見事な夕焼け時間には、その見事さが室内を染め上げていくわけですね。
いや、実にうらやましい、暮らしのイレモノですね。