写真はきのうから紹介の青山家本邸の台所です。
どうもこういう写真を撮るのが、好きみたいなんですね。
というか、こういう写真からは、具体的な食生活のことが浮かび上がってくるから
いろいろな想念がふくらんできます。
右側のステンレス製の流し。
住宅としての建築年代は明治初期にさかのぼる建物ながら、
ステンレスで造作されているということは
ごく近年まで、この家が実際の住まいとして使われていたことを
想起させてくれます。
やはりすぐそばに海が迫っている立地なのですが、
こういう流しを見ていると、食生活の基本は魚料理だったんだろうな、と
思えてきますね。そういう耐久性を考えてステンレスにしたのだろうし。
窓側一面には調味料の瓶が整然と並べられ、
左側にはかまどが二つ、配置されています。
なかなか、合理的な配置で、作業性は高かったように思えますね。
流しは作業面が大きくて、魚をさばくのにも
相当の大型の魚まで、料理していたのでしょうね。
床も、磨き込んだようになっていますから、
流しと、かまどを往復しながら、
瓶や桶に汲まれた水を大量に使いながら、
忙しく立ち居振る舞いしながら、料理する様子も浮かんできます。
こういう人間生活の様子が、やっぱり面白い。
今日のシステムキッチンの変化のありようとかと、考え合わせながら
むかしの合理的な台所のことを見ていると、
日本的な食文化も、いろいろにふくらんだ思いで考えられると思います。
こういう中から、伝えられてきている郷土料理なんかは、
作られ続けてきたんですね。
しばし、そういう雑感に浸っていた暮らしのたたずまいでした。