現在、深夜。
安酒を飲みながら束の間の休息に浸っているところだ。
やや酔いの回った頭を抱え、散歩中に写した画像を見ていたら、
「今日の一枚」が目に留まり、キーボードを叩き始める。
…写っているのは、何て事のない住宅街。
かつてこの一角には小さな酒屋があった。
幼い僕は、生家から歩いて1分とかからないこの辺りへ、
父の使いで日本酒を買いに出かけたものである。
求めた銘柄は「兼六」。
茶色い一升瓶を抱えて歩いた自分を妙に覚えている。
その酒屋の店内には立ち飲みのカウンターがあって、
赤ら顔の大人達が集っていた。
子供が足を運ぶくらいだから
それほど夜の更けていない時間帯だったと思うが、
裸電球の下では、既に酒宴の真っ最中。
アルコール臭。
肴のサバ缶や牛肉の大和煮、竹輪などの匂い。
のしイカの甘い香り。
店内は、人いきれと雑多な喧噪が混ざり合っていた。
記憶の中の店のオヤジさんは、常に爪楊枝を咥え、
座を取り仕切る陽気な人である。
僕が酒を買いに行くと、空の一升瓶と引き換えに、
新しい「兼六」を渡してくれ、笑顔で頭を撫でてくれた。
思えば、当時のご近所は随分とオープンだった。
酒屋の入口をはじめ、家々の扉はお粗末なカギしかない引き戸。
それも鍵をかける事など、滅多にない。
台風が来たときくらいである。
帰宅するなり厳重にロックする今とは大違い。
つまり、心もオープンだったのだ。
安酒を飲みながら束の間の休息に浸っているところだ。
やや酔いの回った頭を抱え、散歩中に写した画像を見ていたら、
「今日の一枚」が目に留まり、キーボードを叩き始める。
…写っているのは、何て事のない住宅街。
かつてこの一角には小さな酒屋があった。
幼い僕は、生家から歩いて1分とかからないこの辺りへ、
父の使いで日本酒を買いに出かけたものである。
求めた銘柄は「兼六」。
茶色い一升瓶を抱えて歩いた自分を妙に覚えている。
その酒屋の店内には立ち飲みのカウンターがあって、
赤ら顔の大人達が集っていた。
子供が足を運ぶくらいだから
それほど夜の更けていない時間帯だったと思うが、
裸電球の下では、既に酒宴の真っ最中。
アルコール臭。
肴のサバ缶や牛肉の大和煮、竹輪などの匂い。
のしイカの甘い香り。
店内は、人いきれと雑多な喧噪が混ざり合っていた。
記憶の中の店のオヤジさんは、常に爪楊枝を咥え、
座を取り仕切る陽気な人である。
僕が酒を買いに行くと、空の一升瓶と引き換えに、
新しい「兼六」を渡してくれ、笑顔で頭を撫でてくれた。
思えば、当時のご近所は随分とオープンだった。
酒屋の入口をはじめ、家々の扉はお粗末なカギしかない引き戸。
それも鍵をかける事など、滅多にない。
台風が来たときくらいである。
帰宅するなり厳重にロックする今とは大違い。
つまり、心もオープンだったのだ。