五輪前って、みんなこぞって本やらDVDやら出しますねえ~。
だって「カーリング女子」のDVDまであるんだよ(!)
やや話題になってるモロゾフの本を、立ち読みしてきました。大ちゃんや美姫ちゃんに関するところをパラパラ。
暴露本!というわけではなく、選手一人一人の性格を把握してどのように対処してきたか、コーチングの技術・裏話がメイン?やっぱり彼は、コーチとしても相当の腕前なのでしょう。なるほどね~。
大ちゃんとのお付き合いで、ヒップホップ・スワンを作った07-08シーズン~「決別」にいたるまでの流れも、当然モロゾフの視点から書いてあります。
行き違いというかカン違いというか、ほんの少しのズレが段々と雪ダルマ的に大きくなり、信頼を取り戻せないところまで来た…恋愛でも、人と人との別れってそういうものだし、まさしく「潮時」だったのかも。
勿論、モロゾフは自分に都合の悪い事は一字一句たりとも書いていないので(笑)、あまりフィギュア事情を知らない人がこれを読んだら、全て信じこんじゃうかな~と思いますが。
でも、ファンは大体解ってるし、大ちゃんが自分の観点から書いた本を読んでますからね。
双方の思いの食い違いで象徴的に思えたのが、やはりイエテボリ世界選手権。
モロゾフは当然、調子の悪い大ちゃんに「FSでは4回転1本でまとめよう」と勧めますが、大ちゃんは「もともと4回転2本の構成なのに、1本でいい、という気持ちで臨んだら、絶対にその1本すら跳べなくなってしまう」と譲らない。
このあたりを、普段の練習から綿密に打ち合わせておけば…と思わなくもないのですが、多分、大ちゃんの性格をモロゾフもトコトンまで把握しきれてなかったのでは。
それに、モロゾフは「勝つため」を最優先してきた。
大ちゃんも、一線級に自分が上がるまでは、「勝つ」為の練習で盲目的にモロゾフについていったのかもしれない。
でも、自分の本当の滑る喜びは「勝つ」ことだけではない。「魅せる」ことと「勝つ」ことが共存してないと嫌だ。その事に気付き始めたんじゃないかな。
それに、WFSのスケカナ直後のインタビューで「オペラ座の怪人からロミオ~のシーズン、スケートが滑らなくなっていた。スケート技術としては落ちていた」…という記事を読み、私はショックを受けてたんですが。
これって、創造系の仕事をしてる人が、売れっ子になる程「手が荒れる」状態と似てませんか。「勝つために滑る」は、「売れる物を作る」に良く似ています。
成績が上がり「勝つ」快感の虜になるものの、それは、本来の自分が望んでいたことであろうか…こうなると、何のために自分はこれをやっているのか、解らなくなる。
選手を勝たせる事が使命のモロゾフと、迷いが生じてきた大ちゃん…で、二人三脚がギクシャクしても当然だし、モロゾフも大ちゃんと「別れそうだ」という予感がしたから、織田君と組むことを決めたのかもしれない。
ともあれお互いに「君のお陰で成長出来た。有難う」と言える別れで良かった。
もっともこの本もターゲットが日本人なので、モロゾフも日本選手の批判などあからさまに書いたりしないでしょうけど。その辺は計算してるだろから(笑)。
それを差し引いても、やっぱりモロゾフと出会って3年間共に歩んで別れて、それで得たものは大きかったんだな、と思います。それは互いに真剣に仕事をしたからこそ、得られた貴重なもの。
フィギュアスケートは、他の競技に比べて活躍する期間が短いので、どんなコーチ・振付師と巡り合えるか、で大きく運命が変わる。
そんな「運」も含めたものが、その選手の魅力なんだろけど、人間って自分の「望む方向に望む方向に」自然と道を選んでいってるらしいんですよ。
だから今、大ちゃんはちゃんと、自分の望むところへ進んでいる最中なんだと思います★