上砂理佳のうぐいす日記

巨匠漫画家、楳図かずおさん逝去。あべのハルカスで私も見た「楳図展」は金沢21世紀美術館で9月に開催されていました★

こどもの「目」★

2018-07-12 | うぐいすよもやま日記
話題の映画「万引き家族」を見てきました。
真っ先に思い出したのは「誰も知らない」。
もう、15年は前?の是枝監督の代表作です。
育児放棄=ネグレクトの問題を扱った実話に基づく映画でした。
母に見放されて兄妹たちを面倒みなければならない長男を、まだ女の子みたいに可愛かった柳楽優弥君が演じていました。
多分小6か?中1くらいの少年でしたが、無言で大人たちを見つめる「目」が、とても印象的でした。
少年は、こどもは、ペラペラ喋らないのです。
心に何かを抱えていても、それを言葉にして訴える能力は、まだ追い付いてない。
でも。
大人と同じように、深く考えて感じているのです。
万引き家族に出てくる男の子、「ネに羊」の「祥太」。
祥太の大きな目も、柳楽君の鋭い目と、同じものを感じました(多分、それで監督はこの男の子をキャスティングした?)。
「子供は何もわかっちゃいないと思ってるだろうけど、わかってるんだよ」。
そんな「目」です。
彼の目が雄弁に語っていて、地味な内容でもグイグイ惹き付けられます。

祥太の指の動き。
万引き前のおまじないのような指の動きは、「誰も知らない」の長男が、死んだ妹を入れたスーツケースをなでる指を思い出させます。
抜けた歯を屋根の上に放り投げる(なつかしの)おまじないとか、是枝監督って繊細な演出が多い。
リリー・フランキーは「そして父になる」を匂わせるし、樹木希林は「定番」とも言える怪老女っぷりです。
私の姉は「安藤サクラがいい!」と言ってましたが同感。
あの、やるせなさとどうしようもなさのリアリティ。
でも、幼い女の子を抱き締めるシーンは素晴らしかった。
「体温」が伝わる役者さんだと思いました。

誰が悪いとか何が正しいとか、そんなことではなく、人間の「有り様」について、考えさせられる映画です。
「そして父になる」がどうしても受け入れられなかった私は(多分、福山雅治のリアリティの無さが苦手)、こちらの方が断然好き。
小綺麗な高層マンションに囲まれた「昭和のボロ家」で、こんな人たちがひっそりと生きている。
絵本「ちいさなおうち」のようなイメージも良かった。
リリーフランキーのお父さん、しっかり働いてください!★
コメント
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