上砂理佳のうぐいす日記

3月31日(月)から4月6日(日)まで銀座中央ギャラリーの「10×10版画展」に銅版画小品を出品します★

長野まゆみ・「銀河鉄道」な世界

2005-07-21 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
私、完璧に夏バテかな~~~。
なんだかダルくって、仕事も遅々として進まない。一緒にランチしてた友人に「目の下クマクマやん~」と指摘される(クマはトシのせいさ)。リフォーム疲れかしら。
「これはいかん」と、昨夜は奮発して○○○○円もするウナギ蒲焼を買ってしまった。ジョニーもカバ焼き食べないかな。送ろかな。精つきまっせ(おっとっと)。皆さまは大丈夫でございますかしら。
世間は夏休みスタートなんですよね。学生さんとかね。いいね。7月中ってまだ「希望と余裕でウキウキ」だもんね。お盆過ぎたあたりから、「宿題」の存在がアレ、胸を締め付けるんですよね(笑)。
ということで、しばらくは「この夏にオススメの本・映画の話」を織り交ぜていこうと、ボンヤリ考えてたんですが、ちょっと今日は映画話を変更して「長野まゆみさん」のお話を。

私は、ジョニーのお誕生日の7月2日が「半夏生(はんげしょう)」であると前に書きましたが、これってどこかで聞いた言葉だな…と記憶の糸を辿っていくと、長野まゆみさんの「夏至祭(げしまつり)」という本を前に読んでいて、その中に「半夏生」が出てきたんですね。「ああ、なんて綺麗な言葉なんだろう」…と、ずっとずっと記憶の玉手箱の中にしまっていたのでした。
長野まゆみさんは、好きな人は果てしなくハマる…イメージの宝庫。おとぎ話。鏡の中の別世界のような、キラキラした叙情的な物語を書く人です。かなり熱狂的ファンを獲得してる有名作家ではないでしょうか。
少し少年愛なムードも漂ってて(12歳くらいの美少年二人連れがよく出てくる)、不思議な異世界へ冒険するお話が多いんですが、結構スピーディなのに古き良き時代の日本語が連綿と連なっている。少し、さわりを引用すると。

 路面電車は藤紫(ふじむらさき)の薄闇の中を走っていた。窓越しにミシン工場の夜間照明がぽつぽつ点(とも)っているのが見える。紅玉(ルビー)のように点滅して、上空を飛来する航空機に障害物のあることを知らせていた。工場の屋上には車窓からも時刻が読めるほどの大時計が豆洋燈(ランプ)に照らされて浮かびあがっていた。
 …土星と金星のあいだに切先の鋭い月がある。あと一週間もしないうちに夏至だ。路面電車を降りた月彦(つきひこ)は、いつものように電話局裏の路地を曲がってゆく。水銀燈の白光色が手首に巻きついた時計の文字盤を照らした。表面を覆った硝子(ガラス)は、澄んだ水の中を泳ぐ魚の目のように、きらり、と光る。
 (「夏至祭」冒頭より)

こんな感じ。もうもう、言葉のひとつひとつが美しい。まるで硝子(ガラス)で出来ているかのような透き通った美しさです。「赤ランプが点滅する」よりも「紅玉(ルビー)のようにぽつぽつ点る」…と書くほうが、ロマンチックで幻想的。長野さんは夜の描写が上手くて、少し宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思わせます(私のブログでは、( )書きしてるので雰囲気出ませんが、本の中ではモチロン、漢字にルビがふってあります)。
私は以前、絵描きの仕事が煮詰まっていた時、長野さんの世界に偶然出会いました。「わーっ!」という感じで、イメージが次から次へ湧いてきて…しばらくずっと「長野本」を持ち歩き、いつでもどこでも読んでいたほどです(今はちと落ち着いてる)。
「硝子(がらす)」「瑠璃(るり)」「山葵(わさび)」「羊歯(しだ)」「水浅葱(みずあさぎ)」「飛沫(しぶき)」…と、微妙な日本語の美しさ。狂おしい位。英語ではこの感覚は出てこない。「ライトピンク」より「桜貝の色」と書くほうが、数倍胸を打つ。長野さんの繊細な文章は、欧米文化が日本に丁度いい濃度で浸透していた、大正浪漫期や昭和初期の懐かしい感覚を呼び覚ましてくれます。
河出文庫から出てる長野さんのシリーズが、お手軽で推奨します(今現在の出版状況は知らないんだけど)。アッという間に読めるのに、いつまでも胸に響くのです。
ちょっとタイトルを並べてみただけでも…「遊覧飛行」「カンパネルラ」「三日月少年漂流記」「聖月夜」「螺子式少年」…と、わくわくしてきます。
私も全部読んでるワケではありませんが、短編集「綺羅星波止場」は読みやすく、繰り返し読んでます(「耳猫風信社」はこの中に入ってる1編)。「夏至祭」「夜間飛行」もファンタジックな中篇で、夏の暑い夜にはピッタリ。
えー。私の下手なBOOKレビューを読むより(笑)折あらば、長野さん御一読をどうぞ。銀河鉄道で旅したくなりますよ★
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夢で逢いましょう | トップ | 日本に足りないもの? »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
この夏は・・・ (てけてけ)
2005-07-22 10:29:28
うぐいすさん、夏バテですか?!

ほんとに毎日、“暑い”を通り越して“熱い!”ですもんね~。今朝も起きた途端耳に入ってきたセミの大合唱。夏!ですね~。

お大事になさってくださいね。



「銀河鉄道」な世界の紹介、興味深く読ませていただきました

しかも何度も!



「夏至祭」の冒頭。

どうしてこんな綺麗な言葉が自然に続くんでしょう!違和感とか、全く無いですもんね。尊敬・・・。

うぐいすさんのおっしゃるように、“絶妙な日本語の美しさ”。日本に生まれて良かった、なんて思う瞬間です。

あと、和食味わってるときも(by食いしん坊・アハ!)。



綺麗な言葉って、ほんとに心が満たされるように感じます。

こういった言葉を耳にしたり、目にした時に、ふと心に響く感覚。普段はせわしなく毎日を過ごしていても、懐かしく感じたり、胸に響いたりするのは、やっぱり根底にある魂が、ルーツのようなものが、私の中にも生きていて感じているのかな??

うーん、うまく言えないです

長野まゆみさんなら、どんな言葉で表してくれるのかしらん?



この夏は、長野まゆみさんの本で決まり~

もちろん、ジョニー部活動も!



うぐいすさん、楽しい興味深いBOOKレビュー、ありがとうございました!

本を読み終わったあと、報告させてもらっていいですか~?



<追伸>

ヤグディン、さすがデートコースも月並みじゃないですね!次、デートに誘われる時のために、うぐいすさん、鍛えなくっちゃ!夏バテしてる場合じゃないですよ(笑)



<追伸2>

うぐいすさんのブログ、両端も竹なんですね~。今日やっと気づきました。お茶目な竹ですね・長いよ~!竹馬作ったらすごそうです。
返信する
すごい竹馬だ(笑) (うぐいす)
2005-07-22 18:01:54
てけてけてけ…と、どうぞこの竹馬を乗りこなして下さい(笑)。

ヤグディンはデート中、全然優しくなかったのよ。

「お腹すいた」「疲れた」とか言っても、「もう!日本人って体力ないなあ!」と、ズンズン先に行っちゃうの(笑)。関西で言う「イラチ」なんですよね…。

ジョニーならもっと優しいだろうになあ~^^;

(いや、実はイラチかも…)



長野さんのシリーズ、ハードカバーはこれまた装丁も凝ってて、「一生の宝」と言えるのも多いのよ。

ちょっと、ブームが10年くらい前なのかな?

私の文ではとても魅力が伝えられないので、申し訳ないです。絵描きの仲間は、長野ファン多し、なんですよ。

ほんと、日本の言葉は美しいね。英語では無いような微妙なニュアンスですよね。

四季の移り変わりがこれほどはっきりしてて、それぞれの季節の味わいを、こと細やかに表現する民族って、世界広しと言えども日本だけではないかしら。

なんか、その辺りを、フィギュアでも生かせたらいいんですけどね。

織田君、やってくれるかなあ。家柄的にも(笑)。



てけてけさんみたいに、ウサギを飼ってみたいんですが、(またはワーニャちゃんみたいな犬・もしくは猫)夏場は毛が暑いかなあ~。

関西は、日本一蒸し暑いような気がする…?お若い(笑)てけてけさんも、バテないように部活動に励むのじゃー★
返信する
ゲット☆「綺羅星波止場」 (てけてけ)
2005-07-23 20:35:53
今日、本屋さんで見つけて、買ってきました~♪何件か回って、「綺羅星波止場」を見つけました。

明日、電車でちょこっと遠出をするので、その時にお供として持っていこうと思ってます!



図書館で探していた時、ハードカバーのものだったので、きれいだな~と思って見てました。

そしたら、うぐいすさんもそう言ってくださってたから「オッ!やっぱりそうなんだ!」ととても嬉しくなりました。

「三日月少年漂流記」のシリーズになってる本、静かな青色で、とてもきれいでした。

うぐいすさんの紹介で、長野まゆみさんの本の魅力、とても伝わってきましたよ~!じゃなきゃ、読もうと思いませんもん。うぐいすさんのおかげで世界が広がりそうなので、感謝感謝なんですよ~



ヤグディン、イラチ説?!ほんと笑ってしまいました。

ジョニーも実は・・・??ひょえ~~!でもなんか人間くささがあるから、それはそれでオッケイです(笑)!



うさぎは暑さが苦手なので、ぐで~~~っとライオン座り(=アフリカのライオンがよくしてる座り方)してのびてます。

この前、うちのうさぎは、あまりの暑さに水入れにあごを乗せ、あごを水にひたしてました!

うぐいすさんも何か飼われたら、またそれ関係のおもしろい話が聞けるのになぁ~と、期待してしまう私です。ニマ



ジョニー部、部活動。

うぐいすさんは月曜日のCN8見れそうですか?!請求書がうちだけに来たら、うぐいすさんと折半させていただきますので、ご協力お願いしま~す(笑)。
返信する
綺羅★少年かな (うぐいす)
2005-07-25 12:34:41
…長野さん流に表現すると、ジョニーは「綺羅星少年」。

本、よかったですね。古いから無いかな、と思ってた。じんわり味わってくださいませ。

文庫版のほうは、どうも表紙イラストがいまひとつな感じするんですよね…。



アメリカTVにお金を払いましたが(笑)、お客さんが来てて途中からになってしまった~~(泣)。

つけたら、キャサリーンちゃん(と読むのかな)の演技の途中からで、「送り出す」ところは見られませんでした。

ちょっと冒頭のルッツで転倒しちゃって、全体的に精彩を欠いていたような。

「キス&クラ」シーンってどの選手も無かったですよね。

(無愛想な板のベンチがあるだけ)

ジョニーも、余り生徒さんの演技が良くなかったせいなのか、すぐに彼女を抱え込むようにして(?)向こうを向いて行ってしまった~。

その直後が、優勝したエミリー・ヒューズでした。

てけてけさんがご覧になったのは、この、サラの妹のヒューズちゃんの優勝インタビューと思います。

一応、最後まで見たけどその後ジョニーは登場しなかったね。

最初から見てた方の感想を待っております。

返信する
ひたりましたよ~ (てけてけ)
2005-07-25 16:04:56
うぐいすさんの日記、進んでらっしゃるのに、ここのコメント欄ばかり使用させてもらっててスミマセン。

(タジオ話も気になってるんですが・・・



読みました!「綺羅星ジョニー」じゃなくって「綺羅星波止場」!!

とてもとてもよかったです。ほんとこの作品との出会いは、うぐいすさんのおかげです。ありがとうございました!

で、ちょっとお伝えしたいことがあるので、うぐいすさんのgooメールアドレスに、メールさせてもらっていいでしょうか??



ほんと、せっかくのCN8祭だったのに、見逃して大アホでした。

キス&クラがないのは、ちょっと寂しい感じですね~。

「無愛想な板のベンチ」、私も見ました。アメリカではスケートはメジャーで気軽だから?だから板のベンチ?!

あと、何気に、(何言ってるかさっぱりわかんないけど)いろいろアメリカのCM見れておもしろかったです。プチ・海外旅行気分でした(そう、ここはNYのホテルの一室なのよごっこ)
返信する
NYのホテルで (うぐいす)
2005-07-25 21:20:13
「送り出すジョニー」も見られましたか?(私も見る事が出来ました)

なかなか素敵な少女でしたね。「白鳥の湖」かな。ジョニー的で綺麗な滑りでした。



綺羅星波止場、良かったですか!

ご紹介した甲斐がありました(笑)。本は時間もかかるので、またゆっくりお楽しみくださいませ



メールですが、jujuさんフォーラムの「世界ジュニア(雑談の中)のスレッド」の、私の最後の書き込みにあるフォームから、送ってもらえますか(uguisuをクリックで)。

ブログ、勝手に進んでますが(笑)、気にしないでどうぞ~。

ではでは
返信する

コメントを投稿