昨年のN杯のあと、何故か無性にこの映画が見たくなりました。
レンタル屋に走りました。あったあった!私の中では「大トロ」のネタ(笑)。
「ヴェニスに死す」
…ジョニー賛美の掲示板で、このネタはもはや語り尽くされてるでしょうが。そして余りにも有名な映画でナンですが。もしかして、ひょっとして…「まだ見てない!」という方にオススメ。
「ヴェニスに死す」を見ずして、ジョニーを語るべからず…んなゴーマンなこたあ言いません。あたし(言っとるがな)。でもこれを見ずして死んではいけないよ。きっと(笑)。
高名なドイツの作曲家、アッシェンバッハが病気療養の為に訪れたヴェネチアのリド島。そこで出会ったポーランド人一家の中の少年、14才のタジオ。その完璧な美しさに驚嘆し、目も心も奪われてしまったアッシェンバッハは、年齢も立場も省みず、少年を昼も夜も追いかけ気も狂わんばかりになる。しかし、ヴェニスにはコレラが蔓延し、アッシェンバッハも次第に病に蝕まれていくのであった…。
ストーリーはこんな感じで、ただひたすらに「アッシェンバッハのタジオ少年への愛」で貫かれているのですが、もう、この「タジオ少年」を演じているビョルン・アンドレセンの美しいこと。目も眩みそう。美少年か美少女か。この世のものとは思えません。映画公開当時は来日キャンペーンもあったそうなので、さぞかし日本でも騒がれたことでしょう。私も「ヴェニス」の後、様々な美少年俳優(?)を見てきましたが、この時のアンドレセンにかなう少年は、一人とておりません(断言)。
私流にタジオを書こっと…。
明るい長めの金髪がやわらかく顔をふちどり、陶器のように白い肌の小さい顔が、まだ華奢な肩の上に乗っている。首はすんなりと細く、鼻筋は通り、桜色の唇は薄く形良く引き締まっている。印象的なのは透き通るような大きな瞳で、時に鋭く、眉はりりしい。真正面から見てもどこの角度から見てもまさしくギリシャ彫刻の如く、完璧な美だけがそこにある。
原作のト-マス・マンも、岩波文庫でかったるいんだけど(笑)、一応読みましたよ。その中のタジオ少年の描写もまたこれ美しい…長いので書きませんが、まあこの部分だけでも立ち読みする価値はあり(立ち読みかい~)。
作曲家のアッシェンバッハをダーク・ボガードが演じているんですが、なんと上手いんでしょか。孫みたいな年の美少年に恋してる自分の困惑…押さえた演技なのに、しっかり心情が伝わってくる。タジオと目が合うと、慌てて何事もなかったフリをしてまた、そ~っと見る。海で遊ぶタジオを、一番良い位置で鑑賞すべく、デッキチェアを陣取る。「いいぞ。いいぞ。美しい」と一人満足してうなずく。
芸術至上主義で哲学や概念に凝り固まってた自分が、目の前の「完璧な美」に翻弄されて、なすすべもない。ストーカーまがいな行為で「タジオに恋心を気付かれたくないけど、振り向いてもほしい」と願う、老いて愚かな自分をあざ笑う悲しさ。タジオが美しく輝けば輝くほど、このアッシェンバッハの「悲哀」が色濃くなっていくところが、なんとも切なく痛く泣けます。
私はこの映画、計8回見ました(笑)。最初に見たのは17才。大阪のボロイ2番館でした。高校生にはかなりテーマが深遠すぎて、ただただ「美しいタジオ」を鑑賞してるだけだったけど(あとは寝てた)、トシを重ねる毎にこのアッシェンバッハの心情が理解出来るようになった。そうするとまた面白い。映画そのものもヴィスコンティの美意識が完璧に貫かれていて、ヨーロッパ・退廃美の極み、という感じです。
バックに流れるマーラーの交響曲がまたこれ深遠です。ヴェニスのゴンドラの重~くギコギコ揺れるリズムとマーラーが重なり、中世の面影そのままの灰色の石畳が、若いタジオの美を一層引き立てます。リゾート地の貴族達の、クラシカルな衣装も見物です。
滞在したホテルに余興でやってきた辻音楽師(道化師)の、白塗りの不気味な顔。コレラ蔓延のため街中に散布された白い消毒液の汚さ。タジオを追う道中で、息が続かず崩れ落ちるアッシェンバッハのみじめな姿。美しいものと醜いものの対比が、迫力で迫ってきます。私は「途方もなく美しい」ものも大好きだけど、「途方もなく醜い」ものも大好き。ベジャールが「醜いものの中にも美しさはあるのだ」…と自分のバレエ振付で言ってた、まさにあの感じ。
ビョルン・アンドレセン少年は、スウェーデンは1955年生まれで、この映画の撮影当時15、6才でした。もうあと1年、いや半年遅かったらこの役は出来なかったかもしれません。お年頃の男の子は、3ヶ月くらいで顔や骨格が変わってしまう。大人になる前、「少年時代の終わり」を告げる直前に撮影されたことは奇蹟とも言えますわな。そしてヴィスコンティ監督よ、よくぞアンドレセンに巡り合いましたね…感謝。感謝。
ジョニーは「タジオ少年」が演れるわ。あと一年くらいは(笑)。
ヒゲも綺麗に剃って…メイクして黙ってりゃ…演れる!
スケートも勿論いいんだけど。私の中ではやはり「ジョニー≒タジオ」なの。
レンタル屋に走りました。あったあった!私の中では「大トロ」のネタ(笑)。
「ヴェニスに死す」
…ジョニー賛美の掲示板で、このネタはもはや語り尽くされてるでしょうが。そして余りにも有名な映画でナンですが。もしかして、ひょっとして…「まだ見てない!」という方にオススメ。
「ヴェニスに死す」を見ずして、ジョニーを語るべからず…んなゴーマンなこたあ言いません。あたし(言っとるがな)。でもこれを見ずして死んではいけないよ。きっと(笑)。
高名なドイツの作曲家、アッシェンバッハが病気療養の為に訪れたヴェネチアのリド島。そこで出会ったポーランド人一家の中の少年、14才のタジオ。その完璧な美しさに驚嘆し、目も心も奪われてしまったアッシェンバッハは、年齢も立場も省みず、少年を昼も夜も追いかけ気も狂わんばかりになる。しかし、ヴェニスにはコレラが蔓延し、アッシェンバッハも次第に病に蝕まれていくのであった…。
ストーリーはこんな感じで、ただひたすらに「アッシェンバッハのタジオ少年への愛」で貫かれているのですが、もう、この「タジオ少年」を演じているビョルン・アンドレセンの美しいこと。目も眩みそう。美少年か美少女か。この世のものとは思えません。映画公開当時は来日キャンペーンもあったそうなので、さぞかし日本でも騒がれたことでしょう。私も「ヴェニス」の後、様々な美少年俳優(?)を見てきましたが、この時のアンドレセンにかなう少年は、一人とておりません(断言)。
私流にタジオを書こっと…。
明るい長めの金髪がやわらかく顔をふちどり、陶器のように白い肌の小さい顔が、まだ華奢な肩の上に乗っている。首はすんなりと細く、鼻筋は通り、桜色の唇は薄く形良く引き締まっている。印象的なのは透き通るような大きな瞳で、時に鋭く、眉はりりしい。真正面から見てもどこの角度から見てもまさしくギリシャ彫刻の如く、完璧な美だけがそこにある。
原作のト-マス・マンも、岩波文庫でかったるいんだけど(笑)、一応読みましたよ。その中のタジオ少年の描写もまたこれ美しい…長いので書きませんが、まあこの部分だけでも立ち読みする価値はあり(立ち読みかい~)。
作曲家のアッシェンバッハをダーク・ボガードが演じているんですが、なんと上手いんでしょか。孫みたいな年の美少年に恋してる自分の困惑…押さえた演技なのに、しっかり心情が伝わってくる。タジオと目が合うと、慌てて何事もなかったフリをしてまた、そ~っと見る。海で遊ぶタジオを、一番良い位置で鑑賞すべく、デッキチェアを陣取る。「いいぞ。いいぞ。美しい」と一人満足してうなずく。
芸術至上主義で哲学や概念に凝り固まってた自分が、目の前の「完璧な美」に翻弄されて、なすすべもない。ストーカーまがいな行為で「タジオに恋心を気付かれたくないけど、振り向いてもほしい」と願う、老いて愚かな自分をあざ笑う悲しさ。タジオが美しく輝けば輝くほど、このアッシェンバッハの「悲哀」が色濃くなっていくところが、なんとも切なく痛く泣けます。
私はこの映画、計8回見ました(笑)。最初に見たのは17才。大阪のボロイ2番館でした。高校生にはかなりテーマが深遠すぎて、ただただ「美しいタジオ」を鑑賞してるだけだったけど(あとは寝てた)、トシを重ねる毎にこのアッシェンバッハの心情が理解出来るようになった。そうするとまた面白い。映画そのものもヴィスコンティの美意識が完璧に貫かれていて、ヨーロッパ・退廃美の極み、という感じです。
バックに流れるマーラーの交響曲がまたこれ深遠です。ヴェニスのゴンドラの重~くギコギコ揺れるリズムとマーラーが重なり、中世の面影そのままの灰色の石畳が、若いタジオの美を一層引き立てます。リゾート地の貴族達の、クラシカルな衣装も見物です。
滞在したホテルに余興でやってきた辻音楽師(道化師)の、白塗りの不気味な顔。コレラ蔓延のため街中に散布された白い消毒液の汚さ。タジオを追う道中で、息が続かず崩れ落ちるアッシェンバッハのみじめな姿。美しいものと醜いものの対比が、迫力で迫ってきます。私は「途方もなく美しい」ものも大好きだけど、「途方もなく醜い」ものも大好き。ベジャールが「醜いものの中にも美しさはあるのだ」…と自分のバレエ振付で言ってた、まさにあの感じ。
ビョルン・アンドレセン少年は、スウェーデンは1955年生まれで、この映画の撮影当時15、6才でした。もうあと1年、いや半年遅かったらこの役は出来なかったかもしれません。お年頃の男の子は、3ヶ月くらいで顔や骨格が変わってしまう。大人になる前、「少年時代の終わり」を告げる直前に撮影されたことは奇蹟とも言えますわな。そしてヴィスコンティ監督よ、よくぞアンドレセンに巡り合いましたね…感謝。感謝。
ジョニーは「タジオ少年」が演れるわ。あと一年くらいは(笑)。
ヒゲも綺麗に剃って…メイクして黙ってりゃ…演れる!
スケートも勿論いいんだけど。私の中ではやはり「ジョニー≒タジオ」なの。
この作品に対するうぐいすさんの考察が読めてうれしい
砂浜で戯れるタジオ少年、心臓がバクバクさせながらそれを見つめるアッシェンバッハさんって…このように私のつまらない言葉で書くと、単にあぶないおっさんがいるよ…って場面になってしまうのだが、しかし、ヴィスコンティの手にかかかる胸が痛くなるくらいの美しいシーンになるのよ~
ヴィスコンティ映画に登場する多くの美形達。映像から愛憎を発しまくるヘルムート・バーガーの美しさもよいけれども、やはりビョルン・アンドレセン君のこの時でなくてはあり得ない美しさが一番好きです。
おおきに(笑)。
ヘルムートさんも、陰鬱でいがったねえ。でも、あの時のアンドレセンは別格でしたよね。
海辺で砂に汚れた金髪をタオルでふいてもらってる所なんか、「ヨダレじゅるじゅる~」ものでしたわ(笑)。
最後のシーンが、また切なくて美しすぎ…(これから映画を見る人の為に、余り書かないでおきましょー)。
ヴィスコンティ、結構、日本でブームだったけど今のお若い方はどうなんかな?
そうそう、「オッサンが美少年に惚れるストーカー物語」なのに(笑)、彼の映像マジックにかかると「至高の芸術」になっちゃう所が凄いですよね
このおっさん、なにモタモタしてるんだ?はよ逃げな! あ~死んでもーた…。
感想はそれだけでした。不覚です。
見たのは中学ぐらいでしょうか? まだ美少年の魅力なんてカケラほども理解していなかったのです~。
すびばせん。
あの後、タジオもコレラにかかっちゃったらどうしよ~、なんて、自分も乙女な頃はハラハラ心配してました。確か、少女漫画雑誌で「アンドレセン・ファンクラブ会員募集!」なんてのも目にしましたが、モト会員の方はいらっしゃらないのだろうか。(いたら、返事してほすい~)
歳を重ねたせいか、アッシェンバッハ先生の気持ちが理解できちゃいました。
ちなみに、アンドレセン君の顔の造作ってドブリン君系?
不思議な世界にちょぴり浸れた夏のひと時でした。
マーラーは…いいんだけど、ひたすら眠い(笑)。
アッシェンバッハ先生は、最後なんか悲しく切ないですよね。
ドブリンは金髪が綺麗だわ。北欧系だし、整った顔立ちはタジオもじゅうぶんいけそう。でも、ジョニーは鼻の形が綺麗だと思うのよね(笑)。
「タジオを探して」というタイトルで、ヴィスコンティ監督がタジオ役の少年を、ヨーロッパじゅう探し回るドキュメンタリー映画もあったそうです。
きっと、美少年が山のように出てくるんでしょうね。見てみたかったー。
もっともココ→http://www.helmut-b.com/salon/j_ich.html
を見るとバーガー氏がヴィスコンティと出会ったのは20歳ぐらいなので約束が実際にあったのなら、信じてしまう彼も微妙なところなんですが…。
ヘルムート・バーガーは、ヴィスコンティ映画以外はサッパリでしたね。でも代表作3本の中で永遠に輝いていたら、それで充分なのかな。美青年でしたね。