ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

牛伏川階段工見学会

2018-06-12 | 自然観察

今年は「牛伏川階段工」完成100周年です。

その記念行事の第一弾として現地見学会があったので参加しました。

この川は記録の残る江戸時代より洪水を繰り返していて、その被害は信濃川を通して新潟港まで及んだとのことです。その対策が求められていて、明治になって内務省(国)の工事、県の工事が進められてきたそうです。完成は大正7年(1918年)です。フランスのサニエル渓の設計に倣って造られた石段水路で「フランス式階段工」と呼ばれています。重要文化財に指定されています。

 

完成真近い頃の写真(カードより)です。

 

ここの石積みは「空石積」(石だけで組んでいてコンクリートなどで固めていない)とされています。

 

 

 

第一号石堰堤は明治19年(1886年)に内務省施行となっています。

 

手前の大きな石積みは内務省のもの、向こうは後に県で作った(石が小型で揃っている)ものだそうです。

  

この工事に当たった方は地元の石工さんばかりでなく技術の高い富山からも来られたとのこと…

 

山の斜面には傾斜地を安定させるために「張石水路」が作られ、「積苗工」が施行されています。

 

 

 

第2号石堰堤は明治19年内務省施行です

 

丸みを帯びた造りも特徴です。

 

 

上流に行くと第3号石堰堤があります。

 

丸太の橋を渡ると第4号石堰堤です。

 

 

その先に二つの川の合流地点があり、一方の川に沿ってもっと上流まで行ってみました。

 

 

今も山や川の管理や修復が必要で、このような山の斜面を登る工事用トロッコも設置されていました。

 

橋を渡って上流を目指します。この橋、おそるおそる渡りました!

 

 

山の斜面にはいく筋もの「張石工」(導水路)があります。これは長年経過で土や植物に覆い尽くされていたのですが、この方、三沢明男さんが何年もかかって掘り出されたものです!ここまで毎日通い、手作業で掘り出された努力をお聞きし、驚きと称賛の拍手が参加者からわき起こりました!(許可を得て写真も…)

 

 

 

 

かなり上流まで石積み砂防水路が施行されています。

 

このあたりの水路には温泉成分が堆積されています。カルシウムだそうです。

 

 

山には明治、大正期の積苗工で植林がされましたが、「林相転換事業」で引き続きこのような木々を植えているそうです。

 

 

山の木々は青々と生い茂って、気持ちの良い空間になっています。

 

おまけは、この見学会で出会った花々…

まずは「クリンソウ」…川沿いのところどころにすてきな花を咲かせていました。

 

 

「タニウツギ」(ベニウツギ)はピンクの花をひっそりと咲かせていました。

 

「タツナミソウ」…花咲く様子が泡立って寄せ来る波にたとえられているとか、たくさん咲いている様子が見たい花です。

 

びっしりと花を付けた「ヤマボウシ」…見事に花盛りの様子です。

 

「カンボク」の花もたくさん咲いていました。

 

なごりの「キバナノヤマオダマキ」がひっそりと咲いていました。

 

 参加記念として「牛伏川砂防カード」の7枚セットを頂きました。

 

時々出かける牛伏川ですが、防災の観点からこのように詳しい説明を聞くのは初めて…100年の重みを感じつつ先人の偉業に触れてとっても有意義な見学会でした。

秋には松本で牛伏川階段工完成100周年記念「石積砂防シンポジウム」も開かれるので、聞きに行きたいと思っています…

コメント (6)
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