平成25年(受)第2595号 退職金請求事件
平成28年2月19日 第二小法廷判決
ある破綻寸前の金融機関Aに勤務したB氏がいました。雇用契約が継続している期間に金融機関Aが別の金融機関Cと合併(事実上救済合併)しました。そのとき、退職金の規定がCに統一されました。
このとき、退職金の規定変更で①退職時の本俸の月額を2分の1に減じた額とされ,②基礎給与額に乗じられる支給倍数(勤続年数に,定年等の事由による普通退職又は自己都合退職に応じた所定の係数を乗じて得られる数。以下同じ。)に変更、要するにかなり退職金が減額されたものを提示されました。紙ベースでの提示を受けました。
そのときに、これに同意されないと合併ができないとも言われました。その時平成15年で、16年に合併した。
そして平成21年にBさんは退職しました。5年間もあったわけですね。
すると、厚生年金給付額及び企業年金還付額による控除額の方が高くなり、支給される退職金額は0円に、合併後の在職期間に係る退職金については,上告人らのうち平成21年規程の実施前に自己都合により退職した者には、平成16年基準変更による変更後の支給基準が適用された結果、退職金が支給されませんでした。
それは無いんじゃないの!ということで裁判を起こしました。
さて問題は、退職金の新基準は紙ベースで渡され、かつB氏は署名捺印し、さらに5年勤務後に退職しています。
雇用者側、即ち救済したCには法的落ち度はありません。
これについて裁判所は次のように述べています。
労働契約の内容である労働条件は,労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであり,このことは,就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する場合であっても,その合意に際して就業規則の変更が必要とされることを除き,異なるものではないと解される(労働契約法8条,9条本文参照)。
だから、退職金規定変更も違法ではない。当然ですね。
しかし、ここからが良く分かりません。
使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても,労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており,自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば,
ちょっと待ってくださいよと言いたくなります。全ての情報を収集する能力には限界があるのは分かります。しかし、紙ベースでこの計算方法で金額になりますよと示されているわけですね。
そして裁判所は続けてのべています。
就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきものと解するのが相当である
つまり、騙したとでも?何かおかしくないですか?
本件基準変更による不利益の内容等及び本件同意書への署名押印に至った経緯等について十分に考慮せず,その結果,その署名押印に先立つ同人らへの情報提供等に関しても,職員説明会で本件基準変更後の退職金額の計算方法の説明がされたことや,普通退職であることを前提として退職金の引当金額を記載した本件退職金一覧表の提示があったことなどを認定したにとどまり,
おいおい、署名捺印に至った経緯って、拉致監禁されたとか虚偽の情報をもってとかではないでしょう。
そして結論ですが、
本件同意書への同人らの署名押印がその自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく,同人らが本件退職金一覧表の提示を受けていたことなどから直ちに,上記署名押印をもって同人らの同意があるものとした原審の判断には,審理不尽の結果,法令の適用を誤った違法がある。
もはや「はぁ?」としか言いようがない判断です。
全員一致でこの退職金基準、雇用契約が変更されないと合併できないから何とかしてくれないか、と言われたことが労働者の判断を謝らせた可能性があるので、もう一回審議し直せと。即ち、署名捺印しているからと言って新基準に合わせなけwればならないとする判断はおかしいと言ってるのです。
ちょっと待ってくださいな。労働者と雇用主は対等な関係で雇用契約が成立するという大前提を忘れていませんか?
労働契約法
(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
今回の裁判官
第二小法廷
裁判長裁判官 千葉勝美 トンデモ
裁判官 小貫芳信 トンデモ
裁判官 鬼丸かおる トンデモ
裁判官 山本庸幸 トンデモ
全くこの裁判官たちには毎回呆れます。雇用契約書に署名捺印しても、法によらず後から内容が気に入らないとひっくり返すことができるとしているのです。
平成28年2月19日 第二小法廷判決
ある破綻寸前の金融機関Aに勤務したB氏がいました。雇用契約が継続している期間に金融機関Aが別の金融機関Cと合併(事実上救済合併)しました。そのとき、退職金の規定がCに統一されました。
このとき、退職金の規定変更で①退職時の本俸の月額を2分の1に減じた額とされ,②基礎給与額に乗じられる支給倍数(勤続年数に,定年等の事由による普通退職又は自己都合退職に応じた所定の係数を乗じて得られる数。以下同じ。)に変更、要するにかなり退職金が減額されたものを提示されました。紙ベースでの提示を受けました。
そのときに、これに同意されないと合併ができないとも言われました。その時平成15年で、16年に合併した。
そして平成21年にBさんは退職しました。5年間もあったわけですね。
すると、厚生年金給付額及び企業年金還付額による控除額の方が高くなり、支給される退職金額は0円に、合併後の在職期間に係る退職金については,上告人らのうち平成21年規程の実施前に自己都合により退職した者には、平成16年基準変更による変更後の支給基準が適用された結果、退職金が支給されませんでした。
それは無いんじゃないの!ということで裁判を起こしました。
さて問題は、退職金の新基準は紙ベースで渡され、かつB氏は署名捺印し、さらに5年勤務後に退職しています。
雇用者側、即ち救済したCには法的落ち度はありません。
これについて裁判所は次のように述べています。
労働契約の内容である労働条件は,労働者と使用者との個別の合意によって変更することができるものであり,このことは,就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する場合であっても,その合意に際して就業規則の変更が必要とされることを除き,異なるものではないと解される(労働契約法8条,9条本文参照)。
だから、退職金規定変更も違法ではない。当然ですね。
しかし、ここからが良く分かりません。
使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても,労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており,自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば,
ちょっと待ってくださいよと言いたくなります。全ての情報を収集する能力には限界があるのは分かります。しかし、紙ベースでこの計算方法で金額になりますよと示されているわけですね。
そして裁判所は続けてのべています。
就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきものと解するのが相当である
つまり、騙したとでも?何かおかしくないですか?
本件基準変更による不利益の内容等及び本件同意書への署名押印に至った経緯等について十分に考慮せず,その結果,その署名押印に先立つ同人らへの情報提供等に関しても,職員説明会で本件基準変更後の退職金額の計算方法の説明がされたことや,普通退職であることを前提として退職金の引当金額を記載した本件退職金一覧表の提示があったことなどを認定したにとどまり,
おいおい、署名捺印に至った経緯って、拉致監禁されたとか虚偽の情報をもってとかではないでしょう。
そして結論ですが、
本件同意書への同人らの署名押印がその自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく,同人らが本件退職金一覧表の提示を受けていたことなどから直ちに,上記署名押印をもって同人らの同意があるものとした原審の判断には,審理不尽の結果,法令の適用を誤った違法がある。
もはや「はぁ?」としか言いようがない判断です。
全員一致でこの退職金基準、雇用契約が変更されないと合併できないから何とかしてくれないか、と言われたことが労働者の判断を謝らせた可能性があるので、もう一回審議し直せと。即ち、署名捺印しているからと言って新基準に合わせなけwればならないとする判断はおかしいと言ってるのです。
ちょっと待ってくださいな。労働者と雇用主は対等な関係で雇用契約が成立するという大前提を忘れていませんか?
労働契約法
(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
今回の裁判官
第二小法廷
裁判長裁判官 千葉勝美 トンデモ
裁判官 小貫芳信 トンデモ
裁判官 鬼丸かおる トンデモ
裁判官 山本庸幸 トンデモ
全くこの裁判官たちには毎回呆れます。雇用契約書に署名捺印しても、法によらず後から内容が気に入らないとひっくり返すことができるとしているのです。