最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

Aが暴行後、1時間後にBが暴行、後に死亡。どっちの責任?

2016-05-02 14:58:26 | 日記
平成27年(あ)第703号 傷害,傷害致死被告事件
平成28年3月24日 第三小法廷決定


1 同時傷害の特例を定めた刑法207条は,共犯関係にない二人以上が暴行を加えた事案において,検察官が,各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること及び各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと,すなわち同一の機会に行われたものであることの証明をした場合,各行為者において,自己の関与した暴行が傷害を生じさせていないことを立証しない限り,傷害についての責任を免れないとしたものである。
2 共犯関係にない二人以上の暴行による傷害致死の事案において,刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には,いずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても,各行為者について同条の適用は妨げられない。

ぼったくりバーで、飲んでいた人がいました。いざ会計となったら、クレジットカードでの払いが出来ず一部しか払えなかったようです。被害者はおそらく、「ふざけんなよ」と店を出て行こうとしたところ、従業員ABに捕まりたこ殴りに遭ったようです。(事実認定の箇所を見るとほとんどカンフー映画状態だったようです)馴染みの客Cは、この現場に後から追いつき蹴りを入れました。
Aは被害者を店に連れ戻し未払い金の示談書を書かせて被害者の免許証を取り上げコピーしているところ、被害者は突然走り出して逃げ出しました。従業員Dは追い付いて、被害者を再びたこ殴りをしました。
殴っている途中からイビキをかいて寝始めた、再び調子こいてんなとばかりに殴ったのでしょう。警官が来たときには、被害者は呼吸停止状態になっていました。
急にいびきをかいて寝ているように見える場合は、得てして脳に深刻なダメージを受けた時の症状である事が多いです。
さすがに、ヤバイと思ったのでしょうか。それでも警察官が介入するまでやっていたようです。病院に運び込んで頭部切開手術を受けましたが、急性硬膜下血腫に基づく急性脳腫脹のため死亡しました。

同時傷害の特例を定めた刑法207条は,二人以上が暴行を加えた事案においては,生じた傷害の原因となった暴行を特定することが困難な場合が多いことなどに鑑み,共犯関係が立証されない場合であっても,例外的に共犯の例によることとしている。同条の適用の前提として,検察官は,各暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであること及び各暴行が外形的には共同実行に等しいと評価できるような状況において行われたこと,すなわち,同一の機会に行われたものであることの証明を要するというべきであり,その証明がされた場合,各行為者は,自己の関与した暴行がその傷害を生じさせていないことを立証しない限り,傷害についての責任を免れないというべきである。共犯関係にない二人以上による暴行によって傷害が生じ更に同傷害から死亡の結果が発生したという傷害致死の事案において,刑法207条適用の前提となる前記の事実関係が証明された場合には,各行為者は,同条により,自己の関与した暴行が死因となった傷害を生じさせていないことを立証しない限り,当該傷害について責任を負い,更に同傷害を原因として発生した死亡の結果についても責任を負うというべきである(最高裁昭和26年(れ)第797号同年9月20日第一小法廷判決・刑集5巻10号1937頁参照)。このような事実関係が証明された場合においては,本件のようにいずれかの暴行と死亡との間の因果関係が肯定されるときであっても,別異に解すべき理由はなく,同条の適用は妨げられないというべきである。



刑法第207条 
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

とあります。しかしこの場合は、最初の暴行と2回目の暴行では時間が1時間弱ほど間があります。ABCDを刑法207条で一括で判断するのは問題があるので、全員一致で事実認定をもう一回確認しなさいという判断でした。

裁判官の判断は、あくまでも1回目の暴行と2回目の暴行のレベルの違いにのみ注目しています。そこだけに注目していていいのでしょうか?
そもそもが、無銭飲食であるならば警察を呼べばいいだけの話です。暴行する必要はありません。
示談書を作成するにしても、暴行する必要はありません。これは恐喝です。
そして事実前提においての疑問ですが、まず本当にCは客なのか、という疑問がでませんか?客のふりをして入り込んでいる半グレの用心棒の可能性はどうでしょう。となるとABCDは事実上、従業員とそれに準ずる可能性があります。
また、ABCD全員どの程度被害者を殴ったのか見ているはずです。しかも1回目の暴行の後、店の入り口で座り込んでいた段階で、かなり危ない状況だったとは分かるはずです。2回目のDの暴行を止めなかったというだけでも、十分共同正犯は成立するのではないでしょうか。少なくともABCは刑法217条ー219条の保護責任者遺棄致死の類推適用は可能ではないですか。

きれいな世界でのみ生きてきた純粋培養の裁判官らしい微妙な判断です。

第三小法廷決定
裁判長裁判官 木内道祥 微妙
裁判官 岡部喜代子 微妙
裁判官 大谷剛彦 微妙
裁判官 大橋正春 微妙
裁判官 山崎敏充 微妙