最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

不動産業者の供託金、返還請求の時効はいつ成立?

2016-05-15 08:11:28 | 日記
平成27(行ヒ)374  供託金払渡認可義務付等請求事件
平成28年3月31日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

ある人が不動産屋を営業していました。その不動産屋を営業するにあたって、必要な宅建業の免許が平成10年に切れました。
宅建業は、営業するうえで供託金を出さなければなりません。そこで、この人が平成25年にその供託金を返してもらうように請求したところ、法務局から時効だから払わないと言われて払ってもらえませんでした。
宅建業法30条2項本文は,同条1項の営業保証金の取戻しは,当該営業保証金につき還付請求権を有する者に対し,6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告することが定められています。

問題は30条の2項で次のように決まっています。
2  前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。

更に、平成25年になって営業補償金を取り戻し請求をしたところ、法務局から拒否に遭いました。

そもそも、何でこんなややこしい制度になっているかというと、裁判所は以下のように説明しています。
宅建業法の定める営業保証金の制度は,営業上の取引による債務の支払を担保するための営業保証金を供託させることによって,その取引の相手方を保護すること等を目的とするものである

要するに、不動産業者の中にはとんでもない輩がいて、建物や土地に問題があるものを売りつけるのがいる。だから、取引をした消費者が泣き寝入りしないように、賠償請求にも耐えられるように補償金を貯めておきましょうという趣旨です。

だから、宅建業法30条1項前段所定の取戻事由が発生した場合において,取戻公告がされなかったときは,営業保証金の取戻請求権の消滅時効は,当該取戻事由が発生した時から10年を経過した時から進行するものと解するのが相当である。


ということで、裁判所は以下の判決を出しました。

上告人につき宅建業の免許の有効期間が満了し本件保証金の取戻事由が発生したのは平成10年4月1日であるところ,その後上告人は取戻公告をしていないため,本件取戻請求権の消滅時効は同日から10年を経過した時から進行し,本件保証金の取戻請求がされたのはその約5年6か月後である同25年9月20日であるから,本件取戻請求権の消滅時効が完成していないことは明らかである。


なるほど、実に明快です。

第三小法廷
裁判長裁判官 大谷直人
裁判官 櫻井龍子
裁判官 山浦善樹
裁判官 池上政幸
裁判官 小池 裕

法律にのっとっても、いつから時効が成立するのか、良く分からない定めが結構あるんですね。これは立法側の責任でしょう。
それにしてもこれが何で今まで問題にならなかったのかというと、この供託金制度については業界団体でまとめてプールして供託金を払っていることが多いので、個人ベースで供託金を払うことはあまりないようです。なので、こういう問題が表面に出てきにくかったのでしょう。
最高裁まで争うのは結構金と時間がかかるので大変だったと思います。