令和2(受)170 執行判決請求,民訴法260条2項の申立て事件
令和3年5月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 大阪高等裁判所
民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記部分に係る債権に充当されたものとして執行判決をすることはできない
事実認定から見ていきます。
(1)ホンダヤインコーポレイテッドは,被上告人X1及び同X2によって設立されたカリフォルニア州所在の会社である。
(2)被上告人らは,平成25年(2013年)3月,上告人が被上告人会社のビジネスモデル,企業秘密等を領得したなどと主張して,上告人外数名に対して損害賠償を求める訴えをカリフォルニア州オレンジ郡上位裁判所に提起した。・・・見せしめと制裁のためにカリフォルニア州民法典の定める懲罰的損害賠償として9万米国ドル及びこれに対する上記割合による利息を被上告人らに支払うよう命ずる判決を言い渡し,本件外国判決は,その後確定した。
(3)被上告人らは,同年12月,本件転付命令に基づき,13万4873.96米国ドルの弁済(以下「本件弁済」という。)を受けた。
一応賠償金は払ったようですが、懲罰的賠償分については払わずにいるようです。この部分の未払金+年利10%を払えと訴えました。
これに最高裁は
(1)民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分(以下「懲罰的損害賠償部分」という。)が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記外国裁判所の強制執行手続においてされたものであっても,これが懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることはできないというべきである。
要するに外国の裁判所での賠償金は払えと命じるのはいいが、懲罰部分は日本の公序良俗に反するという理由のようです。
(2)カリフォルニア州民法典の定める懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じたものであり,民訴法118条3号の要件を具備しないというべきであるから(最高裁平成5年(オ)第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照),本件弁済が本件懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして本件外国判決についての執行判決をすることはできない。
見事なまでにこの判例と同じです。最高裁まで何が争われたのかよく分かりません
第2 上告人の民訴法260条2項の裁判を求める申立てについて
別紙「仮執行の原状回復及び損害賠償を命ずる裁判の申立書」第2の1記載のとおりであり,被上告人らは,これを争わない。上記事実関係によれば,上告人は,令和元年10月31日,被上告人らに対し,原判決に付された仮執行の宣言に基づき,2242万4347円を給付したものというべきである。
裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
どうなんですかね、どうも釈然としません。純粋に法律論からすれば、各国によって法律は違うし裁判管轄権は違います。だから、外国の法律に従った賠償命令について日本で100%の効力を有しないというのは分からなくはないのですが。ならば、全面的に海外裁判所の要求は知るか!と突っぱねるなら筋は通ります。
しかし、今回の裁判も引用されている裁判も懲罰的賠償は公序良俗に反するというのは分かりません。日本でも普通に罰金制度はありますし、事情によっては減免あるいは満額と幅があります。
それに、石綿の事件のように善意の第三者とはどう見ても言えないむしろ未必の故意と言ってもいいくらい酷い放置でした。それでも、懲罰的賠償はないのです。つまり日本の民事はやったもん勝ち、逃げたもん勝ちを推奨しているのと変わりません。
令和3年5月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 大阪高等裁判所
民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記部分に係る債権に充当されたものとして執行判決をすることはできない
事実認定から見ていきます。
(1)ホンダヤインコーポレイテッドは,被上告人X1及び同X2によって設立されたカリフォルニア州所在の会社である。
(2)被上告人らは,平成25年(2013年)3月,上告人が被上告人会社のビジネスモデル,企業秘密等を領得したなどと主張して,上告人外数名に対して損害賠償を求める訴えをカリフォルニア州オレンジ郡上位裁判所に提起した。・・・見せしめと制裁のためにカリフォルニア州民法典の定める懲罰的損害賠償として9万米国ドル及びこれに対する上記割合による利息を被上告人らに支払うよう命ずる判決を言い渡し,本件外国判決は,その後確定した。
(3)被上告人らは,同年12月,本件転付命令に基づき,13万4873.96米国ドルの弁済(以下「本件弁済」という。)を受けた。
一応賠償金は払ったようですが、懲罰的賠償分については払わずにいるようです。この部分の未払金+年利10%を払えと訴えました。
これに最高裁は
(1)民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分(以下「懲罰的損害賠償部分」という。)が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記外国裁判所の強制執行手続においてされたものであっても,これが懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることはできないというべきである。
要するに外国の裁判所での賠償金は払えと命じるのはいいが、懲罰部分は日本の公序良俗に反するという理由のようです。
(2)カリフォルニア州民法典の定める懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じたものであり,民訴法118条3号の要件を具備しないというべきであるから(最高裁平成5年(オ)第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照),本件弁済が本件懲罰的損害賠償部分に係る債権に充当されたものとして本件外国判決についての執行判決をすることはできない。
見事なまでにこの判例と同じです。最高裁まで何が争われたのかよく分かりません
第2 上告人の民訴法260条2項の裁判を求める申立てについて
別紙「仮執行の原状回復及び損害賠償を命ずる裁判の申立書」第2の1記載のとおりであり,被上告人らは,これを争わない。上記事実関係によれば,上告人は,令和元年10月31日,被上告人らに対し,原判決に付された仮執行の宣言に基づき,2242万4347円を給付したものというべきである。
裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
どうなんですかね、どうも釈然としません。純粋に法律論からすれば、各国によって法律は違うし裁判管轄権は違います。だから、外国の法律に従った賠償命令について日本で100%の効力を有しないというのは分からなくはないのですが。ならば、全面的に海外裁判所の要求は知るか!と突っぱねるなら筋は通ります。
しかし、今回の裁判も引用されている裁判も懲罰的賠償は公序良俗に反するというのは分かりません。日本でも普通に罰金制度はありますし、事情によっては減免あるいは満額と幅があります。
それに、石綿の事件のように善意の第三者とはどう見ても言えないむしろ未必の故意と言ってもいいくらい酷い放置でした。それでも、懲罰的賠償はないのです。つまり日本の民事はやったもん勝ち、逃げたもん勝ちを推奨しているのと変わりません。