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統一教会裁判 献金の合意が公序良俗に反する それでいいのか?

2024-08-09 20:49:38 | 日記
令和4(受)2281  損害賠償請求事件
令和6年7月11日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  東京高等裁判所
1 宗教法人とその信者との間において締結された不起訴の合意が公序良俗に反し無効であるとされた事例 
2 宗教法人の信者らによる献金の勧誘が不法行為法上違法であるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例


産経新聞の報道です。
遺族「長い年月だった」 旧統一教会の念書「無効」判決 「女性に一方的に不利益」と判断
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側の献金勧誘を巡り、元信者の女性の遺族が教団側に損害賠償を求めた訴訟で、11日の最高裁判決は、高齢女性が1億円超に上る献金を続けた状況を「異例」で、女性の生活に「無視しがたい影響を及ぼすもの」と指摘。遺族は判決を評価しつつ、「長い年月だった」と振り返った。
「地裁でもう少しましな判決が出ていれば、母に聞かせることができた」。判決後、会見した女性の長女は、無念さをにじませた。
平成27年8月、女性から教団への献金を打ち明けられた。その年の11月、女性は「献金は自身の意思で行った」「返還請求などを一切行わない」とする念書を作成。認知症と診断されたのは、28年5月のことだ。
女性と長女は教団側を訴えたが、1審東京地裁では念書を理由に門前払いされ、母は控訴審中に死去し、令和4年7月の2審東京高裁でも敗訴。最高裁に望みをかけた。


日経新聞の報道です
旧統一教会の勝訴破棄 「訴訟起こさぬ」念書は無効―献金勧誘で初判断・最高裁
同小法廷は念書の有効性について「趣旨や目的、対象となる権利、当事者が被る不利益の程度などを総合考慮すべきだ」との判断枠組みを初めて示した。その上で、女性が作成時86歳と高齢で、半年後には認知症と診断された点や、見返りもなく1億円超を献金したことなどを挙げ、「一方的に大きな不利益を与える」として、無効と結論付けた。
 宗教団体の献金勧誘行為についても違法性を判断する際の枠組みを初めて提示。献金が自由な意思で行われているか、本人や配偶者の生活に支障が生じていないかなどを総合的に考慮し、「社会通念上相当な範囲を逸脱すると認められる場合、違法と評価される」とした。
 女性は当時、加齢による判断能力低下の可能性が否定できず、自らの土地を売却して献金するなどしており、「献金の態様は異例」「生活の維持に無視し難い影響を及ぼす額だ」と指摘。新たに示した枠組みに基づいて違法性の有無を判断するため高裁に差し戻した。


では、事実確認から見ていきます。
(1)ア 亡Aは、昭和4年生まれの女性であり、昭和28年に亡Bと婚姻し、その後3女をもうけた。亡Aには、昭和22年に妹が11歳で早世する、昭和34年に亡Bの母が自殺する、平成10年に二女が離婚する、亡Bが重病にかかり、平成17年8月以降、入退院を繰り返すなどの不幸な出来事があった。
イ 、平成16年以降、松本信徒会(長野県松本市所在の被上告人家庭連合の松本教会に通う信者らによって構成される組織)が運営する施設に通い始め、・・・その教理の中に
は、病気、事故、離婚等の様々な問題の多くは怨恨を持つ霊によって引き起こされており、そのような霊の影響から脱して幸せに暮らすためには献金をして地獄にいる先祖を解怨することなどが必要であるというものがあった。


世の中にはこれ以上に不幸な事っていっぱい起きているんですよ。嫌な目に合うのは自分だけじゃなくて、いっぱいいます。それを世間に向かって言うか言わないかぐらいの差です。さらに宗教ってそんなもんでしょう。それにすがって少しでも楽になるならそれもよし、ですがそんなもんで解決しませんよ。平成17年の献金のときは76歳ですね。と法相云々には微妙な年齢です。

(2)亡Aは、被上告人家庭連合に対し、平成17年から平成21年までの間、十数回にわたり合計1億0058万円を献金した。これに加えて、亡Aは、平成20年から平成22年までの間、自己の所有する土地を3回にわたり合計約7268万円で売却し、その売得金のうち合計480万円を被上告人家庭連合に献金した。上記の各献金は、被上告人家庭連合の信者らによる献金の勧誘を受けて行われたものであった。
(3)ア 亡Aは、平成21年に亡Bが死亡した後、単身で生活していたところ、平成27年8月、上告人に対し、被上告人家庭連合に献金をしていた事実を話した。その後、亡Aは、被上告人家庭連合の信者に対し、上告人に上記事実を話した旨を伝えた。


Aしか知らない状態が平成27年まであったと。その間に土地建物現金を結構寄進してしまったようです。

イ 被上告人家庭連合の信者であったCは、平成27年11月頃、それまでにCが被上告人家庭連合にした献金につき、将来、Cの娘婿が被上告人家庭連合に返金を求めることを懸念し、松本信徒会の婦人部の部長であった被上告人Y1に相談したところ、公証人役場において上記返金の請求を阻止するための書類を作成する方法があることを伝えられた。亡Aは、Cから上記書類を作成する話を聞き、自身も同様の書類を作成することとした。
ウ 亡Aは、平成27年11月、Cと共に、被上告人家庭連合の信者の運転する自動車で公証人役場へ行き、公証人の面前において、被上告人家庭連合の信者がその文案を作成した「念書」と題する書面に署名押印し、当該書面に公証人の認証を受けた。・・・その際、被上告人家庭連合の信者により、亡Aが被上告人Y1からの質問に答えて上記献金につき返金手続をする意思はないことを肯定する様子がビデオ撮影された。


あくどいですね。公証人役場で念書を書かせて公証人の認証ですか。宗教団体だったら、その後の面倒ぐらい見てやれよという感じですが、丸ごと持って言った感じでしょうか。

(3)ア 亡Aは、平成28年5月、アルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断された。
イ 亡Aは、平成29年3月、本件訴えを提起し、令和3年7月、死亡した。


ここが厄介ですね。アルツハイマー発症が平成28年で、献金はその10年前です。

最高裁は
本件不起訴合意の有効性について
ア 特定の権利又は法律関係について裁判所に訴えを提起しないことを約する私人間の合意は、その効力を一律に否定すべきものではないが、裁判を受ける権利(憲法32条)を制約するものであることからすると、その有効性については慎重に判断すべきである。


憲法32条があるならこの念書そのものを無効にすべきじゃないんですか?

イ 亡Aは、本件不起訴合意を締結した当時、86歳という高齢の単身者であり、その約半年後にはアルツハイマー型認知症により成年後見相当と診断されたものである。そして、亡Aは、被上告人家庭連合の教理を学び始めてから上記の締結までの約10年間、その教理に従い、1億円を超える多額の献金を行い、多数回にわたり渡韓して先祖を解怨する儀式等に参加するなど、被上告人家庭連合の心理的な影響の下にあった。そうすると、亡Aは、被上告人家庭連合からの提案の利害得失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態にあったというべきである。また、被上告人家庭連合の信者らは、亡Aが上告人に献金の事実を明かしたことを知った後に、本件念書の文案を作成し、公証人役場におけるその認証の手続にも同行し、その後、亡Aの意思を確認する様子をビデオ撮影するなどしており、本件不起訴合意は、終始、被上告人家庭連合の信者らの主導の下に締結されたものである。さらに、本件不起訴合意の内容は、亡Aがした1億円を超える多額の献金について、何らの見返りもなく無条件に不法行為に基づく損害賠償請求等に係る訴えを一切提起しないというものであり、本件勧誘行為による損害の回復の手段を封ずる結果を招くものであって、上記献金の額に照らせば、亡Aが被る不利益の程度は大きい。・・・したがって、本件不起訴合意は、公序良俗に反し、無効である。

100歳超えてしっかりしている人もいれば40代で弱先生痴呆症を発する人もいます。Aがどれだけ金持ちだったのか知りませんが、総資産のうちの何%なのかもわかりません。程度の問題とするには無理がある掻き方です。せめて、総資産の70%とか基準を出すべきでしょう。それ以前に憲法32条で裁判をしない旨の念書はすべて無効にすべきでは?

(2)本件勧誘行為の違法性について
ア 宗教団体又はその信者が当該宗教団体に献金をするように他者を勧誘することは、宗教活動の一環として許容されており、直ちに違法と評価されるものではない。・・・それ
に限らず、寄附者の自由な意思を抑圧し、寄附者が献金をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすることや、献金により寄附者又はその配偶者その他の親族の生活の維持を困難にすることがないようにすることについても、十分に配慮することが求められるというべきである(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律3条1号、2号参照)。


よく分からん法律がありますね。恋愛感情が云々とか、これってホストクラブとかキャバクラにも通用するのでしょうか?笑うしかないネタ法律です。しかし成立は令和5年なんですよ。寄付行為は平成17年からですよね。これを根拠条文に使うのには無理がないですか?

イ 本件においては、亡Aは、本件献金当時、80歳前後という高齢であり、種々の身内の不幸を抱えていたことからすると、加齢による判断能力の低下が生じていたり、心情的に不安定になりやすかったりした可能性があることを否定できない。
ウ これらを考慮すると、本件勧誘行為については、勧誘の在り方として社会通念上相当な範囲を逸脱するかどうかにつき、前記アのような多角的な観点から慎重な判断を要するだけの事情があるというべきである。しかるに、原審は、被上告人家庭連合の信者らが本件勧誘行為において具体的な害悪を告知したとは認められず、その一部において害悪の告知があったとしても亡Aの自由な意思決定が阻害されたとは認められない、


すっきりしませんね。高齢だからといって判断能力が劣ったとは言い切れません。ならば80歳以上は行為無能力者として扱うべきでしょう。加えて、不安だから入信したのであって、不安を煽って入信させたのかの立証がないですよね。

原審の判断には、献金勧誘行為の違法性に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の判断枠組みに基づく審理を尽くさなかった違法があるというべきである。

裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 堺 徹
裁判官 深山卓也
裁判官 安浪亮介
裁判官 岡 正晶
裁判官 宮川美津子

補足意見も何もなしですか。これはどう見ても論旨に無理があります。結論は心情的には不法だとするにはいいのですが、論旨が無茶苦茶。審議を尽くすのは最高裁側です。これは自己責任でしょう。