Nさんは違うテーマの日本画作品を2点描かれました。
3年ぶりの新作です。
「街」 日本画 F10
季節は晩秋。パリの街を冷たく乾いた風が吹きぬけてゆきます。
長年ヨーロッパで暮らしているというお嬢さんの瞳は澄み切って
落ち着いており、遥か先、まだ見ぬ世界まで見据えているかの
ようです。見守り続けるNさんの深い思いがこめられた作品です。
近づいてみました。
背景は冬間近という時節と不安定な世界情勢のイメージを重ね
色数を絞ることにより寂寥感を出しました。一番大切にしたのは
視線の強さと泰然とした印象。納得するまで何度も線を描き直し
岩絵の具を塗り込みました。優美さと厳しさが同居しています。
次の作品です。
「鎮魂」 日本画 30x30cm
北国の深い森。新緑の木々に囲まれた沼は静寂に包まれています。
手前にあるブナの幹は陰のなかにあっても彩り豊かで存在感があり
木漏れ日をより明るくみせています。水面の表情はじつに自然で美しく
森のうるおい、豊かさと表しています。奥行きと広がりのある作品です。
近づいてみました。
手前のブナは粗い粒子の岩絵の具を重ねたのち墨や胡粉などを
垂らしこんで樹皮の味わいを表現し、様々なものが映り込む水面は
細かい粒子の岩絵の具をじっくりと重ねました。描いたり消したりの
繰り返しが湿った空気をつくりだし見るものを沼のほとりに誘います。
デッサンに時間をかけられるNさん。次の作品も楽しみです。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Nさんのページに制作順に掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。
世間では連休中、しかも素晴らしいお天気続きなのにすべきことが山積み。
夏休みに家におらず森を歩き回っていたツケが今まわってきました。
でも少しだけなら・・・と近所をちょこっとひとまわり♪
残ったポーチュラカにイチモンジセセリ
ピカピカのツマグロヒョウモンメス
ウラギンシジミメスはだいぶ翅が傷んでしまっています
ブロンズフェンネルにはアカスジカメムシ
新芽の頃にはキアゲハ幼虫が見られることもあるのですが今は寂しいもの。
キタテハに子アマガエル
立派なヤブキリメス
まだ頑張っているアブラムシがいました。
ああ楽しかった~と帰宅すると、だるく目が猛烈に痒く鼻がひどくムズムズ
してくしゃみ連発。何のアレルギーがわからないけれど秋の花粉症かな・・。
こんな爽やか陽気なのにマスクをしなければならないようです。
Iさんは自作のお皿を描かれました。
「私の中」 日本画 F8
Iさん自らデザインして焼かれた織部風の趣ある大皿、二つ配置された
レモンもお庭で育てた果実。共にIさんのエネルギーがこもっています。
作者の内面を表したモチーフに加え、画にさしこまれた遊び心のある
文章が鑑賞者との距離を縮めています。率直で伸びやかな作品です。
近づいてみました。
釉薬の濡れたような味わいと土の重さを出すのに時間をかけました。
描かれた文字は最初の構想にはなく完成直前に付け加えられました。
何か面白くない。という現状を打開するために考え決断したことは後に
自信となり、表現の幅を広げて次の挑戦へと繋がってゆくことでしょう。
創作を心から楽しみながら前進しているIさん。次の作品も楽しみです☆
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Iさんのページに制作順に掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。
西のほうは青空が出ているのに、南東方面は不穏な空模様。
上郷森の家方面に運転しながら雨と稲妻を追いかけているような
錯覚に陥りました。
9月最後の教室日は晴れて蒸し暑かったり急に雨が降ったりの
不安定なお天気でした。
「第15回グループ彩雲作品展」がまであと10日、作品展前の教室は
この日が最後でした。
制作をしながらも搬入の時間、会場のお当番日や持ち物などいま一度
確認をしていたらあっという間に時間が過ぎていきました。
作品展に展示予定の作品も無事4点仕上がってひと安心。
午前中はHさんが、午後はKさんとHさんがそれぞれ日本画作品を
完成させました。順次ご紹介してまいりますのでお楽しみに☆
この日は太陽が顔を出したっ♪と喜んでもまだ雨がぱらついていたりして
傘が手放せませんでした。
セミも鳴いているのですが雨が降っています・・。
あまり生き物は活動していないだろう、とのんびり歩いていたら
ツマグロヒョウモンのオスが翅を広げていたり
カマキリがじっとにわか雨を耐えていたり。
生き物たちも変なお天気にとまどっているように見えました。
オオトリノフンダマシの卵のうかな?
トリノフンダマシの仲間に会いたい!近くで見守っている母蜘蛛がいないか
よ~く探しましたがどうしてもみつけられませんでした。
濡れたクヌギの樹皮では久しぶりのクワガタが!
体長3cmくらい。はじめコクワガタのメスだと思ったけれど
赤味が強くボリュームのある身体つき。ノコギリクワガタのメスかな?
間に作品展を挟み、次の教室は3週間後の10月9日。
そのころ森の様子はどのように変わっているのでしょうか。
Sさんは初夏の彩りを描かれました。
「ふじの花」 水彩画 F6
なんという艶やかさ!長い房を垂らしたフジの花は今まさに最盛期で
甘い香り漂う周囲を飛び交うハナバチの羽音さえ聞こえてきそうです。
一輪一輪綿密に彩色された花、よく観察された若葉、どっしりとした蔓、
地面に落ちた影、全てに魂がこめられ晴れやかな表情をしています。
近づいてみました。
鉛筆での下描きの線は細く丁寧で、明暗をつけることはあまりなく
淡い透明水彩絵の具を少しずつ重ねることでバランスをとってゆき
ます。じっくりと模索しながら目指すところへまっすぐ進む制作姿勢が
静かな画面に爽やかな風とまばゆいほどの光をもたらしています。
枚数を重ねる毎に色調の幅が広がり濃厚さと迫力が増してきました。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Sさんのページに制作順に掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。
この9月は例年になく雨が多いような気がします。
最近の貴重な秋晴れの日に出会った小さな生き物を並べてみました。
いつもこのカシノキで縄張りをはっているウラギンシジミ
2頭で華麗なダンスバトルを繰り広げていたコミスジ
オオカマキリ、なのかな~?
チョウセンカマキリとの区別が難しいです。
ここまでは日向コーナーで、日陰に行くと
いつ見てもほれぼれするハンミョウに
くるっと丸めた口吻もかわいいナミヒカゲ
今が出現のピークなのでしょうか、たくさん飛び交っていました。
珍しかったのがウバユリの青い実にいた
黄色と黒の派手な体色をもつこちらのカップル
ベッコウガガンボという生き物のようです。
トビナナフシもいました。
枝そっくりのナナフシに出会うと、見~つけたっ!と嬉しくなります♪
晴れるとゆっくり歩けるし、光もよいのですっきりした写真が撮れる♪
今は最高に気持ちがよい季節のはずなのに・・カラリ晴れてほしいものです。
Yさんは夏の長旅で訪れた山口県で取材されました。
「山口秋芳洞入口」 水彩画 F4
秋吉台の地下100メートルにある鍾乳洞の入口は深く黒々として
勢いよく流れ出す水が泡立っています。荒々しい筆致で表された
岩壁は描き進めるうち緑に覆われ、水中や木々にリズムよく赤色が
入れられました。ダイナミックな自然と人工物の対比が鮮明です。
近づいてみました。
水は紙の粗い目をいかして素早い筆致でかすれさせ淡く仕上げ
透明感と動きを出しました。そびえたつ岩壁はその迫力に呼応して
描いたり消したりを繰り返し、Yさんの感じた悠久の時の流れとその
重々しさが表されました。伸びやかで生き生きとした作品です。
画面にエネルギーが満ちているYさん。次の作品も楽しみです。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Yさんのページに掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。
セミはまだ鳴いているし、もしかしてまだ見られるかな?
クヌギレストランの混み具合を見に、少し離れた公園へ行きました。
雨上がりの森は蚊が多い!他の虫もいるとよいのですが。
コナラにピンポン玉くらいの目立つものがついていました。
虫こぶのようです!
クヌギ林の中に入るとふわぁ~んと発酵した香りが漂ってきました。
まず目に付いたのは大好きなルリタテハ♪
控えめな性格のようで、他の生き物がくるとささっと避けます。
たくさんいたのはサトキマダラヒカゲ。こちらはどっしりと構えていて
カメラを近づけてもあまり動きません。
樹液レストランで皆をけちらすのはこのオオスズメバチ
オオムラサキなど強い蝶や大型カミキリムシやカブトムシがいれば
力関係が変わるのでしょうが・・。
樹皮の隙間から時折顔を出す少しタマムシっぽい小さな甲虫は
ヨツボシオオキスイという名前。
今年の夏はいつも樹液が出ていた木が枯れていたり
何より暑すぎてあまり近所を歩かなかったのでこのシーンに
出会うことが少なかった・・。
何かに出会えるクヌギコナラ林はやっぱりワクワクする場所です。
Oさんはバラの園を描かれました。
「鎌倉文学館のバラ」 日本画 F8
真紅にピンクに黄色、白。色とりどりの大輪のバラが咲き誇っています。
建物を取り囲む山の木々は初夏の光を浴びて瑞々しく、変化に富んだ
バラの葉の茂みは味わい深く、ともにバラの美しさを際立たせています。
濃密に描き込まれたバラ園の心地よいリズムが魅力的な作品です。
近づいてみました。
根気強く岩絵の具を重ねて堅牢な地をつくってから細やかに描き
また色を大胆にかけることを繰り返して大きな色の流れをつくりました。
遠景は繊細な線と小さな筆致で、近景は思い切った濃色を使い、描き
込むことで奥行きと広がりがもたらされ、とても見応えがあります。
Oさんは枚数を重ねる毎に作品が明るく力強くなっておられます。
過去の作品は制作順にHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の
中のOさんのページにされています。ぜひこちらもご覧下さい。
前回の教室日の朝、隣接する横浜自然観察の森で再びきのこを
探してみました。この日もヤマドリタケの仲間が出ていましたが
こんなに可愛い桃のようなきのこも!
今回も頼りになるきのこ好きさんにいろいろお聞きしたら
これはサクラシメジではないかということでした。
裏からみたらこんな感じ。笠の直径は6cm位、けっこう背が高いのです。
こちらはチシオタケ。
新鮮な内に傷つけると血の様な赤い汁が出るのだとか。
裏から見た様子。もうだいぶ傷んでいるようで茶褐色となっていました。
これだけは上郷森の家本館近くにあったきのこ。
栗色でいかにもおいしそうですが
裏から見たら灰色がかった色!
これは何の仲間なのか不明だということでした。
このきのこはハツタケの仲間
ピンクの点線で囲ってあるものは偶然出会って嬉しかった生き物です。
裏から見たらこんなに綺麗!
隣の葉についていたものは
ウマノスズクサを食べているジャコウアゲハの幼虫でした♪
こちらは初夏に撮影したジャコウアゲハのメス
あの幼虫がこんなに華麗な姿になるなんて驚きです。
今あの大きさなら、蛹の状態で越冬するのでしょうか。
顔や首や手を蚊に刺されてしまいましたがその甲斐があったというもの。
日陰にも楽しい世界が広がっていました。