
映画の気分になったのでインセプションを観にいった。
実は見るまではそれほど期待していなかったのだが、なかなか面白かったので満足。
”Matrix”“Dreamscape”“Dark City”や”The Cell"にMission Impossibleで味付けしたと言ってしまったら、あちこちから素材を頂いて良い所盛り合わせお子様ランチ。。。と聞こえるかもしれないけれどそうでもない。奇想天外目から鱗が飛び落ちる程ではないにしても独創的だしこれだけ良くまとめたものだと感心する。
好みは千差万別、退屈してしまう人も多い事だろう。
後半でのアクションシーン(誰が誰とも見分けのつかぬ雪景色のなかでの銃撃戦)は少し長すぎるようにも思えたり、いくつか気になる点は出てくるものの、あんまり重箱の中ばかりつついていても仕方のないこと。
エンターテインメントな映画ではあるけれど、設定状況が高速テンポで移行するのとわかり難さで、このタイプの映画を好まない人には苦痛になるかもしれない。
簡単に言えば他人の夢に入り込み或るアイディアを植え付ける話で、予想外のファクターがミッションを難航させる。
夢は幾つかの階層に分かれて、それぞれの夢の段階でタイムラグがあると言う設定で、4つの夢の中で起こっている事が同時に上手くかかわりあいながら進行する。(夢が深くなるほど体感時間は長い。。浦島太郎現象の逆)
夢か現実かの区別を確認する為にそれぞれのメンバーは『トーテム』を携えているという設定も魅力的。(主人公のトーテムは美しい形の金属の独楽で、夢の中で回したら決して倒れない)-ここで私がトーテムを選ぶとしたら何かなあ。。。などとのんびり考えていると置き去りになるので注意-
このミッションを遂行するチームは目的達成はできたのだけれど、その点は物語が進行する内に二次的な物になって途中から彼らの戦いは違う方向に向かっている。
夢から覚める為に『キック』が必要と言う設定で、それは『落ちる』ことだったり『死』であったりする。その時の合図にEdith Piafの"Non, je ne regrette rien"が使われていて、この曲の選択も意味深に思う。
最近CG特殊効果をこれでもかと見せられて食傷気味だったのでそれが少ないのも悪くないなと思った次第。
ラストシーンでは『一体真実はどちらに?』と言う場面で観者達にその選択をゆだねて終わる。
結末放り投げ型には時々がっかりしたりするものだけどこれに関しては悪くないな、と思う。
以前私は夢の中で『これは夢の中だから、この窓から飛び降りても死なない』と考えながら飛び降りた事がある。
普通は地面に叩きつけられるところあたりで恐怖の針が飛び跳ねて目が覚めると言うところなのだけれど、その時は確実に夢だと信じていた所為か、地面に落ちた。
落ちる事は『キック』にはなっていなかった。落ちても痛くはないし、アスファルトは暖かく乾いた感じでむしろ気分が良かった。
確かその後は気まぐれに場面が変わっていったように記憶しているのだけれど、『これは夢だ』と勘違いしているのだとしたら?とこの夢をたまに思い出す。
私も『トーテム』を作っておくことにしましょうか。。。。何が良いかな?
追記:
音楽担当はHans Zimmerでなかなか良かったが、こんな分析をした人があった。
実際Zimmer氏がどう作曲したか真相はわからないけれど、このテーマが『キック』の合図であるフレーズを極端にスローダウンしたものだったとしたら、夢の階層ごとにのびて行く時間を象徴しているようにも思える。
どうなのだろう?
面白い事を思いつく(気が付く?)人もいるものだ。