具合の悪かった左の膝の次に右足の怪我とついていない。今日やっと紐を緩めた運動靴を履いて外に出てゆっくり歩く。一週間ぶりだ。体の様々な部位はとてもよく出来ていて床面の小さな傾斜や石ころの上をバランスを取りながら何の問題も無く意識することもなく歩いてしまう。簡単な事のようだけれど複雑なのだ。だからロボット工学者も苦労してきたわけだ。そんなことが怪我をしてみてから良くわかる。ゆっくり歩いて郵便局へ行き、もう少し足を伸ばしてスーパーマーケットへ向かったが帰り道でまた痛くなった。花屋の前で花を見ながらしばらく休む。緑の小さな芽が吹く生垣の前でしばらく休む。お菓子屋のショーウィンドーを覗いてしばらく休む。道端で空を見上げてしばらく休む。曇り空。暗い空。
それでも、鳥の声が春を呼ぶ。
3月13日朝6時の玄関にて