できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

子ども支援学研究会で報告しました。

2012-06-25 19:21:12 | いま・むかし

この間、本業がほんとうに忙しくて、なかなかブログの更新にまで手が回りませんでした。

その間にも、大阪では市政改革プラン(素案)に集められた2万数千件のパブリック・コメント、しかも「こういう改革案はおかしい」とか「撤回しろ」という意見ばかりのパブリック・コメントに対して、橋下市長が「統計学的に意味なし」みたいな、「その発言のほうが意味ないだろ?」というしかないコメントを出したとか。あるいは、大阪市の職員の政治的な活動を規制するための新たな条例案をつくろうとしているとか。まったくもって、「どっち向いて改革しているの?」というしかないような、そんな状況が展開しつつあります。

その一方で、今夜も中之島公会堂で公務員労組攻撃に対して抗議の意思表明をする大規模な集会が行われていると聞きます。あるいは来月には、学校選択制のあり方を問う熟議イベントを、保護者を中心として市民レベルで企画しているとも聞いています。さらに、先ほどツイッターを見ていたら、夕方のニュース番組などで、大阪市の市民交流センター及びそこでの識字教室・日本語教室事業の廃止に関する報道があって、コメンテーターが「これはおかしい、最低だ」と言ったという情報もこちらに伝わってきています。こういうことから、私はいよいよ、橋下改革、特に子ども施策や教育改革、あるいは人権や文化、生涯学習、福祉などに関する改革の内実が表に現れてきて、ごまかしようのないところまで来たのではないか、と感じています。ここらでさらにいっそう、橋下市長や大阪維新の会などのくりだす諸改革の内実について、「ごまかしようのない姿」を、いろんな立場からあらわにする作業が必要ではないかと思います。

そんななか、先週の土曜日(6月23日)の午後、大阪市内で開かれた子ども支援学研究会に呼ばれて、この数年の大阪市・大阪府の子ども施策の動向について話をする機会を得ました。私としては、このブログを立ち上げた2006年秋から今までの約6年弱の間、大阪府・大阪市がどのように教育改革や子ども施策の改革を進めてきたのかについて、年表風にまとめたものを出して報告をしました。今後、この報告内容をどうにかこうにかして、活字に載せることができるように(年表をそのまま載せるかどうかは別として)作業を進めようと思っています。
そのようなわけで、あまりここで詳しいことは書きませんが、報告の要点や報告後思いついたことをまとめてみれば、だいたい、次のとおりです。「こんな教育改革や子ども施策が今後も大阪では続く見込みですけど、それでも、橋下市長や大阪維新の会、支持できますか???」と私などは思いますし、「府知事時代の彼らの動きを見れば、去年の秋の市長・府知事のダブル選挙の前から、彼らが子ども施策や教育改革においてはこんなことしかしないだろうということは、おおよそ、予想できたと思うんですけど・・・?」と私は言いたいです。

  1. 子ども施策についていえば、とりわけ子どもの利用する施設(国際児童文学館や府立青少年会館、あるいは大阪市の青少年会館や児童館、トモノス)の廃止や、金額的にはわずかだけど府・市の持ち出しでやっているさまざまな事業を打ち切るところから、大阪府・大阪市のここ数年の改革が始まっているということ。
  2. しかもその府・市の持ち出しでやっている事業のなかには、子どもを含む生活困難な課題のある人々を支えるためにやっているような事業が多いこと(たとえば夜間中学への補助金とか、渡日生徒支援の事業とか、あるいは、大阪市の子どもの家事業とか、識字教室・日本語教室の事業とか。さらにはこども相談センターのサテライト=かつてのほっとスペース事業なども・・・・)
  3. そういう事業を打ち切り、施設を統廃合したあとに来るのは、より一層の「能力主義・競争主義」的な教育改革。たとえば「学力向上」に向けての「統一テストの結果の公開」であるとか、「学校選択制の導入」であるとか「府立高校の学区撤廃」であるとか。要するに、子どもや家庭の生活の下支えや、学校への手厚い支援などなしに、「競争をてこにして、もっと学校現場と家庭ががんばれとムチを打つ」だけの改革提案しかない、ということ。
  4. おそらく教育行政基本条例も学校活性化条例(大阪市)・学校基本条例(大阪府)も、職員基本条例も、そしていったんは撤回された「家庭教育支援条例案」も、美しい文言はいっぱいちりばめたとしても、こうした構造を強化し、そのなかで「もっと学校現場と家庭ががんばれ」とムチを打つことをますます加速させる効果を発揮するのではないか、と思われてならないということ。
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