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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

大阪市の「校長公募」に思うこと。

2012-08-10 07:02:46 | いま・むかし

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120807-OYO1T00862.htm?from=newslist (小中学校長50人を公募、大阪市:読売新聞(関西発)ネット配信記事、2012年8月7日付け)

今日から徐々にですが、こちらのブログでの記事更新を再開していきます。ようやく本業も落ち着いてきたのですが、出かける用事がいろいろ入ったり、大津の事件関連でいろいろと問い合わせ、取材などが相次いでいて、なかなか思うようにブログの更新まで手がまわりません。このような状況なので、しばらく不定期更新になります。
さて、今日はこの「校長公募」の記事をとりあげました。いよいよ、学校活性化条例が制定されたことにともなって、これに関連するさまざまな取り組みがはじまります。というか、大阪市の従来の公教育が「解体」されていく、そういうことがはじまるわけですが。
私はいつもこの手の「公募」に対して率直に抱く疑問があります。それは次のことです。
(1)「民間のノウハウを活かして」というけど、「民間」にもいろいろあるし、そのノウハウが学校の運営に活かされて、ほんとうに学校がうまくいくのかどうかわからない。何を根拠にそういうのか?
(2)仮に「学校にもうまく適用可能な民間のノウハウ」があるとしても、「公募」でそのノウハウの持ち主が集まってきて、必要なすべての校長の枠が埋まるとは限らない。どうして「公募」でならうまく、必要な人数の校長が集まると考えるのか?
(3)仮に「学校にもうまく適用可能な民間のノウハウ」があって、「公募で必要な人数の校長があつまる」としても、その集まった校長のひとりひとりが、実際にある学校で受け入れられ、定着するかどうかはわからない。どうしてというか、何を根拠に「公募」校長ならみんな、各学校でうまくいくと想定できているのか?
(4)仮に「学校にもうまく適用可能な民間のノウハウ」があって、「公募で必要な人数の校長があつまる」ことになって、「その公募校長が各学校にうまくなじんだ」としても、「その学校で実施された教育が、ほんとうに子どもや保護者、地域住民にとってプラスの結果を招くものなのかどうか」はわからない。いったい、何を根拠に、うまくいくと想定しているのか??
逆にいえば、この「校長公募」の裏には、<その公募をやろうとする側の抱く「民間のノウハウ」と、そこに集まってくるであろう公募校長への資質・能力などへの、自分にとって都合のいい想定>と、<学校の管理職や教育行政が指示・命令を出せば、教職員はなんでも都合よく動いてくれるという身勝手な想定>と、<校長公募などを通じて一連の学校改革がすすめば、子どもや保護者、地域住民は喜んでくれるという、根拠のない想定>の3つ、これが重なって存在しているように思われます。
でも、こんな甘い想定ばっかり積み重ねた取組みで、「ほんとうにこんなこと、うまくいくんですかねぇ?」としか、私には思えません。

現実に大阪市内の公立小学校を何校かまわる調査をしたときに、ある学校で聞いた話です。夏休みのこのお盆あたりの時期になると、校長・教頭の管理職ふたりは、手分けをして校区内の町会の盆踊りをまわるそうです。だから、校長・教頭のおふたりにはこの時期、休みがないとか。そうまでして、学校と校区内の住民とのつながりをつくって、何かあると学校を頼ってくれる、あるいは学校を支えてくれるような関係を維持しようと、校長・教頭はがんばって動いているわけですね。そしてそういう基盤があって、学校と家庭・地域社会の連携もなりたつのではないかと思うのですが。
しかし、こんな泥臭い、地道な営みを、はたして上から落下傘のように降りてくる「公募校長」はするのかどうか。
この「公募校長」たちが就任後、毎年、夏休みになると、自分は涼しい校長室に居て、部下たる教職員に「民間のノウハウではこうだ!」とあれこれ自分勝手な指示・命令をだし、その結果、子どもや保護者、地域住民は迷惑を被るし、教職員もせっかくのリフレッシュの機会を台無しにされる・・・・なんてことのないように願いたいですね。
ましてや、どこかの市長やそのまねをする区長のように、涼しい部屋からツイッターで教職員にあれこれ指示を出すような、そういう「公募校長」が出てこないことを願います。
「民間のノウハウ」をもって「公募区長」になった方には、下記のとおり、さっそく、ツイッターでいろんな問題を起こしている方もいますからねぇ。「民間のノウハウ」をどう見るかという問題もあるだろうし、「公募」で集まる人材も、集まる側の質の問題や、選ぶ側の見る目の問題があると、結局こうなるんだなぁと、下記の記事を見ていると思いますね。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120809-OYO1T00721.htm?from=main1 (ツイッター発言の淀川区長、橋下市長「処分」も:読売新聞(関西発)ネット配信記事、2012年8月9日)

まあ、ツイッター上での発言を含め、選挙で当選した橋下市長が言っていること、特に教育に関して言っているも、たいがい、どうにかしてますけど・・・・。このことは、またいずれ、このブログで書くことにします。

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