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できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

誰が市長になるにせよ(2)

2007-11-18 23:40:33 | ニュース

今日(2007年11月18日)の大阪市長選挙は、自民党・公明党推薦の現職市長が落選、民主党・国民新党推薦で社民党支持の元民放アナウンサーが当選、という結果に終わりました。

しかしながら、私は前からこのブログで伝えているとおり、「市長選挙の結果がどうなるにせよ、やらねばならないことは変わりない」という理解に立っています。特に、大阪市の青少年施策・子ども施策、あるいは人権施策や、子どもの人権関連の運動、解放教育・人権教育関係の運動のあり方については、過去の歴史的な検証と今の冷静な情勢分析にもとづいて、きちんとした議論を積み重ねていく必要があると思っています。

なにしろ、たとえ市長が交代したとしても、大阪市が抱えている財政赤字が急になくなるわけではありません。新市長だって、どこから財政再建に取組むのかという方針・方法などが今までの市長と異なるだけで、何らかの手を打たなければいけないのはまちがいないわけです。

あるいは、新市長は「徹底した情報公開」ということを言う以上、子ども施策であっても、人権施策であっても、多くの人々が「これならば必要だ」と納得できるような理屈を立て、オープンな議論を積み重ね、実現に向けて歩んでいく必要があるわけです。この点については、この2~3年の市政改革の動向とそう大きく変わるとは思えません。そういった点では、たとえ市長が交代したとしても、今の大阪市の状況を考えた場合、解放運動を含む人権関係の運動体の側にも、今までとは異なる発想にもとづく取り組みが求められていると私は思っています。

そして何よりも、この間、大阪市内の旧青少年会館(以後「旧会館」)で活動中の人々などと接していて感じるのは、旧会館所在の各地区における地道な教育・子育て関連の運動のとりくみ、これをどう活性化させるかという課題の大きさです。

旧会館が自主サークル等の利用場所として使える現状で、はたしてどれだけ地区住民において有効活用できているのか。そのことを考えると、旧会館所在の各地区において、子どもだけでなく高齢者層まで視野に入れた地区住民の社会教育・生涯学習関連の取り組みや、青少年の学校外の活動などの活性化という、ほんとうに地道な課題に、こつこつ、実践を積み上げていく必要があることを痛感します。

また、うまく各地区住民が旧会館を利用できないとしたら、その背景にどんな生活環境・文化的な環境面での諸課題や、あるいは、当事者の側の意識面での諸課題があるのか。それをきちんと検証し、その諸課題を克服する方策について議論を積み重ねていく必要があるはずです。

そして、このような大阪市内の旧会館所在地区の状況をふまえた子ども施策・青少年施策・人権施策の提案や、あるいは、青少年会館条例廃止後の大阪市の社会教育・生涯学習施策のあり方をどうするかという課題は、市長が誰になるにせよ、ここらへんで腰をすえ、方向性が見えるまで数年間かけて議論をしていく必要があると思います。また、大阪市の次世代育成支援行動計画のなかに、旧青少年会館だけでなく、同じく条例廃止を迎えたトモノス(旧勤労青少年ホーム)や児童館があったのならば、こういう拠点施設を無くした後の次世代育成支援のあり方を考える必要もあるでしょう。

このように、もう何度もくり返し述べてきたことですが、市長が誰になるにせよ、数年間、じっくりと腰を落ち着けて検討しなければならない課題が、子ども施策や青少年施策、人権施策、社会教育・生涯学習施策の各領域において、大阪市では多々山積しているように思います。また、それは行政関係者の側だけが考えればいいものでもなく、市民ももちろん、いろいろ考えなければいけないでしょうし、教育や人権などに関する運動体関係者も考えるべきものが多々あると思います。

だからこそ、私は「選挙結果がどうなるにせよ」ということで、こういうことを考えるべきだと思っています。今後も私、大きな情勢の変化もしくは私自身の状況の変化がない限り、当分はこの姿勢、変わることはないように思います。

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