セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

ミュシャ展

2017年05月02日 | アート

国立新美術館で開催中の「ミュシャ展」(~6月5日まで)を見に行きました。

アルフォンス・ミュシャは、チェコで生まれ、パリで活躍したアールヌーヴォーを代表する画家。女性を描いた優美なポスターや装飾画で人気を博しましたが、彼はその後、思うところあって50歳の時に故郷チェコに帰国し、16年の歳月をかけて、チェコとスラヴ民族の歴史を題材にした渾身の大作「スラヴ叙事詩」を仕上げました。

これまでの作風とは全く異なる、縦6m×横8mもの巨大なキャンバスに描かれた20点の油彩画からなる大作。しかしその作品は時代遅れとみなされて受け入れられず、ほとんど人の目に触れられぬまま、幻の傑作となりました。本展では、その「スラヴ叙事詩」をチェコ国外で初めて、全20点をまとめて公開しています。

当初ひとりで行くつもりでしたが、めずらしく息子が見たいというので、日程をあわせて朝一番に出かけてきました。混雑を覚悟していましたが、展示室は広々とスペースが取られていて、じっくり鑑賞することができてよかった。壮大なスケールと世界観に圧倒され、気がつけば3時間も会場にいました。

原故郷のスラヴ民族 (1912)

スラヴ式典礼の導入 (1912)

ベツレヘム礼拝堂で説教をするヤン・フス師 (1916)

ヴォドニャヌイ近郊のペトル・ヘルチツキー (1918)

チェコとスラヴ民族の歴史にはまったく疎いですが、会場では各作品にていねいな説明がついていて理解を深めることができました。興味のある方は、公式サイトのこちらの解説をご覧になってみてください。

ミュシャ展 「スラヴ叙事詩」作品紹介

周辺諸国から常に侵略、支配の危機にさらされながら、文化と信仰の自由を求めて戦ってきたスラヴ民族たちが力強く描かれていますが、その表現には神話やファンタジーを思わせるものもあり、色彩の美しさに目を奪われました。一部の展示室は撮影可能となっていました。

イヴァンチツェの兄弟団学校 (1914)

スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い (1926)

スラヴ民族の賛歌 (1926)

「スラヴ叙事詩」に続いて、アールヌーヴォー時代の代表作はじめ、パリ万博やプラハ市民会館のための作品約80点が展示されていました。

四つの花 「カーネーション」「ユリ」「バラ」「アイリス」 (1897年)

ミュシャというとやはりこのイメージですね。大作に圧倒された後で、ほっと人心地つきました。

コメント (6)