セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ / 白い肌の異常な夜

2019年02月25日 | 映画

同じ「The Beguiled」を原作とする映画、新旧2作品を見ました。

舞台は、南北戦争期のバージニア。人里離れた寄宿学校で7人の女性たちが密やかに暮らしていました。ある日、生徒の一人がけがを負った北軍兵士を見つけ、学園に連れて帰ります。女性たちはとまどいながらもキリスト教の教えに従い、この敵軍兵士を匿い介抱しますが、やがて兵士に心奪われるようになり、互いに嫉妬を募らせていく...というストーリーです。

1971年にドン・シーゲル監督×クリント・イーストウッド主演で映画化されましたが、2017年にはソフィア・コッポラ監督がニコール・キッドマン主演で再映画化しました。前者が男性兵士の視点、後者が寄宿学校の女性たちの視点で描かれているので、比較しながら楽しめました。

The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ (The Beguiled) 2017

ソフィア・コッポラ監督の女の子テイストが実は好きで、作品は全部見ています。本作は気になりながら、シアターで見逃してしまった作品。負傷した兵士をコリン・ファレル、校長をニコール・キッドマン、教師をキルスティン・ダンスト、最年長の生徒をエル・ファニングが演じています。

森の中の白い洋館で、肩寄せ合いながら学び暮らす美少女たちの様子は、いかにもソフィア・コッポラの世界といった感じ。少し明るさを落とした映像も美しく幻想的でした。ただ、気になったのは戦争中にもかかわらず、戦闘シーンがまったく出てこないこと。女性たちもふわふわのドレスを着ていて、戦時らしい緊張感、現実感がありません。

あと一番違和感を覚えたのは、南部のバージニアが舞台なのにもかかわらず、黒人が一人も登場しないこと。これは後からイーストウッド版を見て、ソフィアがあえて出さなかったのだと確信を強めました。ソフィアとしては、あくまで兵士をめぐって牽制しあう女性たちの物語にフォーカスしたかったのかもしれませんが...。

女性たちは互いに美しさを競い、兵士に気に入られようと思わせぶりな態度をとりますが、あくまで控えめ。兵士は誘惑に抗えずに、とうとうある女性と夜をともにしますが、それだけで学園の女子全員を敵に回し、こんなひどい目に合わなければならないなんて~とちょっと気の毒になりました。^^;

とはいえ映画はおもしろかったです。ニコール・キッドマンの校長が怖くて適役でした。

白い肌の異常な夜 (The Beguiled) 1971

邦題にちょっと引きますが^^; 人気絶頂だったクリント・イーストウッドが、ハンサムな肉食系の兵士をエネルギッシュに演じています。ストーリーはソフィア版とほぼ同じですが、こちらは女性たちも積極的に兵士を誘惑していきますし、南北戦争の戦闘シーンも出てくるので

兵士が戦場にもどりたくないばかりに女性たちの恋心を利用しようとし、それがかえって彼を困難に陥れ、ドツボにはまっていく様子がリアルに伝わってきてよかったです。まあ、気の毒なことは気の毒なのですが...。

こちらには学園で働く黒人のメイドさんが出てきます。「風と共に去りぬ」に出てくるスカーレットのメイドさんのように、毅然としていて、兵士に対してもびしっと物申す姿がかっこよかった。どちらもおもしろかったですが、新旧対決はイーストウッド版に軍配を上げたいと思います。^^

コメント (8)