セレンディピティ ダイアリー

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将軍塚青龍殿

2017年10月13日 | +京都

美術館を訪れたあとは、2014年10月に東山山頂に落慶した新名所「将軍塚青龍殿」を訪れました。祇園からバスターミナルのある三条京阪まで、鴨川沿いをぶらぶらと歩きます。

ちょうど夏ということもあり、鴨川沿いの飲食店はどこも川床を出していました。川床というと日本料理のイメージがありますが、最近はイタリアンやカフェ、スターバックスも川床を出しています。途中からは河原に下りて遊歩道を歩きました。地上の喧騒を離れ、目線が低くなると、風景がちょっぴり違って見えておもしろかったです。

バスターミナルでは行先表示に書かれてなくて、停まっている運転手さんに訊いて、ようやく目当てのバス停が見つかりました。青龍殿まではバスで10分ほど。途中、蹴上からぐんぐんと山道を登ります。

青龍殿は、もとは大正天皇の即位を記念して、北野天満宮の前に建立されたそうです。戦後は柔道剣道の「平安道場」として使われていましたが、1999年に閉鎖。解体された後、この地に移築されたということです。広々とした道場の奥には、国宝の仏教絵画「青不動」が安置されています。

青龍殿のすぐ横に、こんもりとした「将軍塚」があります。桓武天皇が都を奈良から長岡京に移したあと、この場所から京都を見下ろし、平安遷都を決めたとされています。

青龍殿からは山腹にせり出すように、板敷の大舞台が広がっていました。舞台といえば”清水の舞台”が思い浮かびますが、ここはその4.6倍もあるそうです。右に見えるのは、吉岡徳仁さんの「ガラスの茶室 - 光庵」という作品です。(9月10日にて終了)

広々とした大舞台からは、京都市街が一望のもとに見渡せました。京都の街は山に囲まれていて、盆地だということがよくわかります。左の方に緑がひときわ大きく広がっているのは御所。その手前に、Yの字に合流して鴨川が流れているのが見えます。

春と秋には、夜の特別拝観があり、ライトアップもされるそうです。ここから見る夜景もきっとすばらしいでしょうね。交通がやや不便ということもあり、人も少なくゆったりすごすことができました。

青龍殿に隣接して日本庭園がありました。回遊式庭園を巡り歩いていくと途中で視界が開け、枯山水の庭園が現れてはっとしました。庭園は、夏の緑が目に清々しく美しかったですが、春は桜、秋は紅葉が楽しめるそうです。

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フォーエバー現代美術館

2017年10月12日 | +京都

翌日は朝から京都に移動しました。ホテルに荷物を預けてバスに乗り、向かった先は「祇園甲部歌舞練場」です。

和洋折衷のピンクの建物の前には、草間彌生さんの大きな南瓜のオブジェがお出迎え。ここは、毎年4月に「都をどり」(祇園甲部の芸妓さんたちによる舞踏公演)が開催される会場ですが、この別館にあたる「八坂倶楽部」が、今年6月から数年間の予定で「フォーエバー現代美術館」としてオープンしています。

これまで秋田市で10年間活動してきたというフォーエバー現代美術館は、コレクションの6割を草間彌生さんの作品が占めるそうです。現在は、オープニング企画で「草間彌生 My Soul Forever」(~2018年2月25日まで)が開催されています。築104年の伝統的日本建築の中で、日本を代表する現代美術家、草間彌生さんの作品の数々を鑑賞しました。

黄樹 1922年

一部の作品が、携帯電話でのみ撮影が可能でした。こちらの作品はどこかで見たことがあり、ずっとタコの足だと思っていましたが、初めて木の蔓?根?だと知りました。^^ 近くで見ると無数の水玉で構成されていて、ぞわ~っとしてきますが、つい見入ってしまう作品です。伝統的な畳の間に不思議とマッチしていました。

私の魂を乗せていくボート 1989年

2階の舞台の上に展示されていた作品です。カラフルな布製の触手でできたボートは、まるでイソギンチャクのようです。布のもつ温かみが、草間彌生さん独特のモチーフの強烈さを和らげているように感じました。

このほか、おなじみの南瓜の作品や、花、蝶、海の生物をモチーフにした作品など約80点。お茶屋さんの弁柄色や群青色の壁に展示するなど、祇園という環境を生かした演出もあり、展覧会自体がひとつの大きなインスタレーションのようでした。

作品を鑑賞した後は、併設のミュージアムカフェでお昼にしました。大阪の人気カフェNORTHSHOREがプロデュースしていて、草間彌生さんをモチーフにしたヘルシーなランチセットがいただけます。この日のメインディッシュはフリフリグリルチキンでした。

このほか草間さんに因んで南瓜の冷たいポタージュ、玄米ごはん、生野菜のサラダなど。珍しい野菜を取り合わせたサラダは、南瓜や茄子もそのまま生でいただきます。ランチセットのほかには、サンドウィッチやパンケーキがありました。

デザートがまたかわいい。あんみつ、ロールケーキ、ソルベの3種類から選びますが、どれも水玉がモチーフとなっています。あんみつは、白玉とレッドカラント(赤すぐり)で水玉を表現。この下に細かく刻んだフルーツとあんが入っていました。

食事のあとは、お庭に出て散策を楽しみました。心字池を中心に、大小さまざまな樹木が奥行のある風景を作り出していて、美しく心地よい空間でした。

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神戸の夕焼け

2017年10月11日 | +兵庫

姫路から神戸にもどって、いったんホテルでひと休み。旅先でのひとりの夕食は悩みどころですが、こういう時はデパートが一番と、元町にある大丸神戸店に向かいました。三宮からは歩いて20分ほどで、散策にもちょうどいい距離です。

三宮駅前の大通りを歩いていたら、西の空にみごとな夕焼けが広がっていて、歩道橋の上で思わず立ちすくみました。忙しそうに人々が行き来する中、ひとり高校生くらいの男の子が真剣な顔をして写真を撮っていました。こんなにきれいな夕焼けをみたのは久しぶりで、ただただ感激しました。

歩いているうちに、あたりはすっかり暗くなり、街のライトアップがきれいでした。大丸神戸店は、旧居留地にふさわしいクラシックデザインの建物で、シックなライティングもすてきでした。1階部分は天井が高く、建物の外側にはヨーロッパ建築のような回廊が設けられています。

設計は日建設計さん。HPの建築説明によると、阪神大震災の復興のシンボルとして、極めて短期間で再建したということです。

お昼のサンドウィッチがまだおなかにたまっていたので、夜は軽くレストラン街の讃兵衛さんで讃岐うどんをいただきました。冷たくぎゅっとしめたさっぱりうどんは最高においしかったです。

食事のあとは、ぶらぶらとウィンドウショッピングしながら帰りましたが、やはりファッションのお店とスウィーツのお店が多いように感じました。横浜と自由が丘をあわせたようなイメージでしょうか。街を観察するのは楽しいです。

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姫路城

2017年10月10日 | +兵庫

だいぶ間が空いてしまいましたが、8月に行った兵庫・京都旅行の旅行記を再開します。
神戸 フロインドリーブ本店 からの続きです。

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神戸の街は3年前に訪れて一通り歩いたばかりなので、お昼を食べた後はホテルに荷物を預けて、姫路城を訪れることにしました。神戸の三宮から姫路まではJR山陽本線で約1時間。地図好きとしては、途中で明石を通る時に、電車の中から東経135度線(日本標準時)を見ることができたのがちょっとうれしかったです。

姫路駅を降りると、正面に姫路城が見えますが、遠そうだったので行きはバスで(2停留所)、そうでもなかったな~と帰りは歩いてもどりました(約30分)。お堀を渡って大手門をくぐり、いざ入城です。

姫路城は、1346年に赤松貞範によって築城されました。その後、1545年に入城した黒田重隆が城郭を拡張し、1580年には羽柴(豊臣)秀吉が入城。そして関ヶ原の戦い後、新たに城主となった池田輝政によって1601年から大改築がなされ、現在の姿となりました。1993年には日本初の世界文化遺産に登録されています。

私にとっては「007は二度死ぬ」(You Only Live Twice)の舞台としても記憶に刻まれています。1967年の日本を舞台に、ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが大活躍。なぜか姫路城が忍者の修行場所となっていました。^^ 2015年に6年がかりの”平成の大修理”が終了したばかりの姫路城は、白く美しく輝いていました。

天守閣まではいくつもの門をくぐり、さまざまな角度からお城の雄姿に見惚れました。

一見、整然と見える石垣ですが、よく見ると石の種類も形もさまざまです。中には町民によって供出された、石臼や石棺が交じっていました。壁に見えるのは”石落とし”と”狭間”(さま)。敵に石を落としたり、矢や鉄砲を放ったりして攻撃するための穴が開いています。

天守は地上6階・地下1階の7階構造になっています。外から見る天守は白く華麗な美しさですが、中は堅牢で重厚な作りです。外は暑いのに中は涼しく、冷房が効いているのかと思いきや、いくつもの格子窓が設けられ、風の通り道となっているのでした。写真は入母屋破風の屋根裏の空間ですが、秘密基地のようで子ども心がくすぐられ、わくわくしました。

右奥に見えるのは武者隠し。伏兵を配する空間です。

天守は、写真のような広いスペースや、ちょっとしたスペース、いたるところに武具掛けが設えてありました。今でいうところの”見せる収納”でしょうか。

天守の窓から、西の丸櫓群が見えました。ひときわ高いのは化粧櫓、長く伸びるのは長局です。

天守を下りたあと、西の丸にも寄ってみました。長局は別名”百間廊下”とよばれています。細長く続く櫓の各部屋の出入口がまっすぐに続き、まるで合わせ鏡をのぞいているようでした。

これほどの木造建築のお城が、戦争や火災に巻き込まれず、美しい姿のまま保存されてきたというのは奇跡というほかありません。いずれは耐震構造にすることが必要になってくるかもしれませんね。後々の世代まで、いつまでも大切に残していきたいです。

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CAFE SABON in 用賀倶楽部

2017年10月09日 | グルメ

穏やかな休日、GRILL & DINING 用賀倶楽部 にお昼を食べに行きました。用賀駅から歩いて10分ほどの住宅街にありますが、駐車場もあります。人気のお店で着いた時には満席でしたが、10分と待たずに入れました。

この日は、イスラエルの石鹸ブランド SABON(サボン)さんとのコラボレーションで、CAFE SABON in 用賀倶楽部(~10月9日まで)というイベントをやっていました。店内のあちこちやプレイスマットなどにSABONのロゴがつけられ、SABONの商品がレイアウトされています。お料理も期間限定のイスラエル料理が用意されていました。

最初に運ばれてきたのは、隣接するベーカリーで作っている焼きたてのパンと、死海の真っ黒なソルト、中東でポピュラーなタヒーナ(白ごまのペースト)。タヒーナは、ドレッシングやソースに使われることが多いですが、そのままパンにつけてもおいしい。

私は期間限定のイスラエルのランチセットをいただきました。鶏むね肉のシュニッツェル、イスラエルサラダ、フレンチフライのプレートです。シュニッツェルにはレモンをたっぷりしぼって。トマトときゅうりを刻んだイスラエルサラダは、以前イスラエル料理のお店で食べたタブリーですね。ドリンクはアイスミントティーです。

こちらは通常メニューから本日のグリル。この日は鶏もも肉と季節野菜(なす・ズッキーニ・さつまいも)のグリルをグリーンサラダとともに。こちらもぎゅっとしまった鶏肉がおいしかった。食後のコーヒーをゆっくり楽しんでから、隣のベーカリーでパンを買って帰りました。

この日いただいたリーフレットによると、SABONさんがテルアビブに創業したのは1997年。2003年にニューヨークに進出し、日本に一号店ができたのは2008年とのことです。ずっとニューヨークのブランドだと思っていたので、イスラエルのお店だと知った時は驚きました。

私はこちらのラベンダーのファブリック・ミストがお気に入りで、寝る前に枕にたっぷり吹きかけるのが習慣になっています。この香りが好きすぎて、時々オーデコロン代わりにも使っています。

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箱根 仙石原のすすき

2017年10月08日 | おでかけ

先週の雨が降る前の平日、箱根の仙石原にすすきを見に行ってきました。前回(記録を見ると7年前)10月1日の都民の日に行った記憶があったので、そろそろ見頃だな~と思い出したのです。東名高速の集中工事で、行きは2時間以上、帰りは3時間近くかかりましたが、穏やかな秋晴れのいい一日となりました。

ススキの見ごろ情報(箱根ナビ)

近くの無料駐車場に車を停めて、すすき草原までぶらぶら歩きました。着いた時は雲っていましたが、野原を横切る遊歩道をのんびり歩いているうちに、だんだん晴れ間が広がってきました。平日だったので人もそれほど多くなく、ゆったり散策が楽しめました。

秋の日差しにきらきらと輝く、ふわふわの綿毛がきれいでした。

いつのまにか、空にはみごとなうろこ雲ができていました。森の縁まで広がる黄金色のすすき野。そして山の向こうは秋の空。夢の中を歩いているような、美しく幻想的な風景でした。

さわさわと 優しく揺れる すすきの穂

遠くから見ると、すすき野原がふかふかの絨毯みたい。緑から黄金色へ、柔らかい色のグラデーションにうっとりしました。

【関連記事】箱根・仙石原のすすき (2010-10-12)

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すすき野原を散策したあとは、仙石原の別荘地を上って、ロープウェイの姥子駅近くにあるホテルグリーンプラザ箱根を訪れ、ランチ&日帰り温泉のプランを楽しみました。

ランチはハンバーグ、カレー、パスタから選び、サラダとドリンクがつきます。ハンバーグはデミグラスソースでなくグレイビーソースというのがめずらしい。お肉の旨味がぎゅっとしてとてもおいしかったです。席も広々としてくつろげました。

ホテルのガーデンから、目の前に富士山が見えました。この日の富士は黒いシルエットで、雲海からひょっこり頭を出しているところを横から見ました。ガーデンの下がちょうど浴場となっていて、露天風呂からも富士山が目の前に見えました。

ガーデンには秋バラをはじめ、秋の花々がきれいでした。春の花々に比べると一見地味な秋の花々ですが、シックな味わいがあってすてきでした。

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カズオ・イシグロさんの作品から

2017年10月06日 | 

昨夜8時、登録しているニュースサイトから通知が届き、何気なく開くと、カズオ・イシグロさんが今年のノーベル文学賞を受賞したという速報でした。賞レースにはあまり興味のない私ですが、カズオ・イシグロは、いつかノーベル賞を取るんじゃないか、取れたらいいな、と思っていた作家さんなので、素直にうれしかったです。

作品を全部読んでいるわけではありませんが、やはり代表作の「日の名残り」が一番心に残っています。イギリスで教育を受けられたとはいえ、日本人の両親のもとに育った氏が、どうしてイギリス貴族社会のことをこんなにリアルに描けるの?とまずはそのことに素朴に驚いたのでした。

名家の執事として親の代から主人に仕えてきたスティーブンスの徹底したプロ意識と高潔な志、同じく長年女中頭として仕えてきたケントンとの秘めたる思い、イギリスの美しい田園風景から真の品格を見出す場面などが思い出され、久しぶりにまた読んでみたくなりました。

カズオ・イシグロの小説、映画化した作品に関しては、過去に何度か記事にしているので、この機会にまとめておきます。

小説 「日の名残り」(The Remains of the Day) (2011-12-07)

映画 「日の名残り」(The Remains of the Day) (2011-06-24)

映画 「わたしを離さないで」(Never Let Me Go) (2011-05-02)

 

このほか、記事にしそびれましたが、小説では「わたしを離さないで」と、最新作の「忘れられた巨人」(The Buried Giant)を読みました。「わたし~」は臓器移植を題材にした異色のSF、「忘れられた巨人」はファンタジーの奥に潜む普遍的な物語といった感じで、どちらもその発想力の豊かさに驚かされました。

小説が映画化されるとがっかりすることがままありますが、イシグロ作品は「日の名残り」「わたしを離さないで」ともに小説の世界そのままにうまく映画化されているので、これから読む方は映画から入るのもよいかと思います(私もそうだった)。土屋政雄さんの翻訳も、ナチュラルで読みやすくて好きです。

イシグロ氏がオリジナル脚本を手掛けた「上海の伯爵夫人」(The White Countess)も、古風な味わいがあって忘れがたい作品です。ジェームズ・アイヴォリー監督、レイフ・ファインズ&ナターシャ・リチャードソン主演、真田広之さんが激動の上海で暗躍する謎の日本人役で出演しています。

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ドリーム

2017年10月04日 | 映画

米ソが熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代に、アメリカ初の有人宇宙飛行計画を支えた、3人の黒人女性技術者たちの奮闘を描いた事実に基づくドラマ。監督は「ヴィンセントが教えてくれたこと」のセオドア・メルフィ。

ドリーム (Hidden Figures)

1961年、ヴァージニア州ハンプトン。NASAのラングレー研究所に、3人の黒人女性技術者たちが配属されます。ずば抜けた数学の才能をもつキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は有人飛行計画に携わる計算手として。ドロシー(オクタビア・スペンサー)は計算部を束ねる管理職代理として。メアリー(ジャネール・モネイ)はハードウェアのエンジニアとして。

しかし非白人への分離政策が行われていたこの時代、彼女たちは能力に見合った責任ある仕事や、正当な役職、技術を学ぶ機会を与えられず、白人男性の仕事を陰で支える存在として、理不尽な立場に追いやられていました。それでもめげずに仕事で結果を出していくうちに、彼女たちの実力が認められるようになり...。

今だから打ち明けると、ゴーストバスターズ(2016)にはちょっとがっかりでした。だって女性科学者たちがちっともかっこよくなかったんだもの...。だから本作の公開をとっても楽しみにしていました。そう、私はこういう映画が見たかった♪ しかもこれが実話だというのですから、なおのこと痛快で、うれしくなりました。

女性で非白人という2つの垣根を乗り越える彼女たちですが、映画は悲壮感がなく、明るく前向きに、時にユーモアを交えて描かれているところがよかった。私の大好きな「ヘルプ」や「ラビング」のテイストに似ています。彼女たちがしなやかに困難に立ち向かう姿が清々しく、さわやかな感動を覚えました。

NASAのラングレー研究所は、以前住んでいたヴァージニアの家のすぐ近くですし、フロリダのケープ・カナヴェラルも旅行で行ったことのある懐かしい場所。そして私自身、電卓が信じられずに自分で検算するような変な子供だったし、プログラミングに携わり、アメリカの大学で夜間クラスに通っていたこともあるし...

いっしょに語るのはあまりにおこがましいですが、時代背景は違うものの、同じ非白人の女性として共感できるところがたくさんありました。「成功しそうになると壁ができる」「誰もがが”最初の人”になれる」など数々のセリフも印象的。差別を声高に叫ぶのではなく、結果を出すことで実力を証明し、論理的に説得して道を切り開いていく姿がまぶしかったです。

数学自体が文化などのバイアスを受けにくい、万人に公正な学問ということも大きかったのでしょうね。そして肌の色や性別という色眼鏡なしにキャサリンを正当に評価する上司(ケヴィン・コスナー)や、宇宙飛行士のジョン・グレン(グレン・パウエル)のなんてかっこいいこと。こういう影響力のある人が先頭に立つことで周囲の反応も変わってきます。

クラシックでカラフルな、ワーキングウーマンのファッションもすてきだったし、「ムーンライト」のマハーシャラ・アリとジャネール・モネイが出ていたのもうれしかった。Wikipediaによると、事実と時間軸が異なる部分もあるようですが、それを超えて心に響く作品でした。

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