私が死んだあとであなたが読む物語

基本的には「過食症患者の闘病記」、と言っていいでしょう。

「密室殺人ゲーム王手飛車取り」 歌野晶午

2013年06月08日 00時41分48秒 | 読書感想
この本は2007年の1月に出版されています。

筆者がこの本を書いてる時って、スカイプみたいなビデオチャットってどのくらい世間に浸透してたんだろう。

なんて思ったりします。


ウェブカメラを使用したビデオチャットでのやり取りが主軸になっているので、当然会話が多い。

会話劇といっていいかもしれません。

最初のミッシングリンクの事件(というか問題)は、正直あまりおもしくありませんでした。

なんせ長い。

無駄に次々、淡々と、殺されていってるだけって感じでした。

読者として一緒に問題に挑戦しようって気にもならないし、答えがわかったところでこれといった驚きもない。

こんなんがこのあとも続くのか。

それなら。

私は心のどっかで、この殺人ゲームを楽しむ5人が警察に追われ、ギリギリのところで上手く逃れるか、あるいは捕まってしまうか、結末はどちらにせよ、とにかく「5人対警察」というふうに話が展開されることを期待していました。

結局最後までそういった展開はありませんでした。

しかし、中にはおもしろい事件(というか問題)もありました。

「求道者の密室」や、なにしろ「密室でなく、アリバイでもなく」です。

「密室でなく、アリバイでもなく」は、このビデオチャット上での殺人ゲームという設定だからこそ楽しめるお話です。

短い舌じゃ何も巻けない

2013年06月06日 20時25分21秒 | Weblog
通常状態77日目。

今日は久しぶりに派遣のアルバイトに行ってきました。

およそ8カ月ぶり。


立ち仕事で疲れはしましたが、黙々流れ作業系だったので助かりました。

何が助かったって、他人とコミュニケーションをとらずにやれる。

そう、私はコミュニケーションがたいへんに苦手です。

仕事をするうえで、何か質問したり、報告したり、そういうのが苦手です。

もはや声を出すことが、誰かに声を聞かれることが、苦手なんじゃないかって思えてくるくらいです。

だからそんな私にとって休憩時間ってわりと苦痛だったりします。

もちろん立ち仕事から解放されて座ることができ、肉体的に楽なのは楽です。

でも精神が休まらない。

誰もいない場所で一人きりってなら休めるんでしょうが、皆が輪を作っている中で一人きりってのは、けして居心地のいいもんじゃありません。

これまでの派遣先でのことを思い出してみても、休憩時間が心から休まったことは一度もない。

それは私が昔、まだ過食症を患っていなかったころ、3年以上勤めたバイト先での経験が関係しているかもしれません。

あのときは、休憩時間が楽しかった。

休憩室が楽しかった。

失っている。

なんかとても大事なものを。



帰宅後、しばらくしてチャイムが鳴った。

地区の創価学会員さんの家庭訪問でした。

婦人部の方でした。

ご本尊授与に関することで少し話をしました。

日取りなんかを。

「いまお仕事は?」って訊かれました。

これはたぶん、いつどの時間帯に家にいるのかを知るための問いだったと思われます。

現に今日、留守中に一度私の家に来ている感じでした。

無職という身なので本来ならしどろもどろになっていた恐れがありますが、今日はたまたまアルバイトに行ってきたのでわりとすんなり「アルバイトです」って答えられました。

学会活動は嫌いなんですが、長いものには巻かれろって気持ちになっています。

自分の意志なんてクソくらえだ、とまではいかなくとも。

はてさて、どこまで巻かれることになるのやら。

「麒麟の翼」 東野圭吾

2013年06月04日 22時39分00秒 | 読書感想
一つの殺人事件が起きて、実はその裏にはもう一つ別の事件が存在する、ってパターンです。

二つの事件は、時も場所も犯人さえも違っているってやつです。

一つの事件を追っていると、その裏にある別の事件の存在を見つける。

裏の事件を解決することで表の事件も真実が見えてくる。

今回の場合、裏の事件に当たる水難事故の真相の方がだいぶ興味深かったですね。

それに、加賀刑事が糸川教師に渇をいれるところなんかは好きです。

「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉

2013年06月03日 22時40分13秒 | 読書感想
安楽椅子探偵ものの短編ミステリー小説です。

とはいえ、なかには執事の影山が事件現場にいあわせる話もあります。

その話は、安楽椅子探偵の形式が崩れたことよりも、風祭警部が出てこないのが残念でした。

そう、この風祭警部がなかなかいい味を出している。

宝生麗子と影山のやりとりよりも、麗子と風祭のやりとりの方が個人的には好きです。

デリカシーと、たっとい

2013年06月02日 20時08分08秒 | Weblog
通常状態73日目。

図書館に行ってきました。

私は図書館をよく利用します。

図書館の本は不特定多数の人が読みます。

古本屋に置いてある本よりも、多くの人に読まれることになるでしょう。

なので、汚れがちです。

でも古本屋の本と違って、図書館の本は手に取る人に「公共の物」という意識があるはずです。

なのに、汚れがちです。

一体みんなどのくらいの意識で図書館の本を読んでいるのでしょう。

人から借りたものを汚したりしないように気をつけるのは当たり前のことです。

それができない大人が多いのか、意外と汚れている。

ページが折れ曲がっていたり、シミがついていたり。

まさか何かものを食べながら読んでたりするのかな。

ひどい場合、何か書きこまれていたり、ページが破れていたり、剥がれそうになっていたり。

私の場合、自分が借りる前と後で、本の状態に何ら変化はありません。

ページをめくる時に折ってしまうこともありませんし、本を開いているときに何らかのシミをそのページにつけることもありません。

日焼けもしないように気をつけるべきだと考えているので、日差しの差し込む電車の中などで、図書館から借りてきた本を読むのにはすら反対です。

みんなが「公共の物」という意識で図書館の本を読めば、一冊の本がより末長くより多くの人に読まれることになるだろうに。

図書館は税金で運営されてるから、強いては税金の節約にもつながる。


今日、図書館で本の貸し借りをする際、受付カウンターの横にあるとある注意書きに目が止まりました。

「ゲリラ豪雨によりカバンの中に入れている本が濡れる恐れがあります」とのこと。

「ビニール袋などでカバーした状態で本をカバンの中に入れてください」とのこと。

今日はまさにそんな状態でした。

ゲリラ豪雨じゃないにしても、途中雨が降る恐れがありました。

なのでカバンの中に、本と一緒にスーパーのビニール袋もしのばせました。

通りを歩いている人はだれも傘を持っていなかったので、傘を持たずに家を出ました。

しかし、しばらくしてポツポツやってきました。

私はひとまず、通りすがりのマンションの駐車場に入って雨をしのぎ、カバンから本を出してビニール袋に入れ、それからまたカバンの中にもどしました。

もう返す本ですし、別に濡れたところで私に支障はないのですが、そうはいきません。

それは「図書館の本は公共の物だ」という意識というよりは、私の本というものに対する敬意です。

本に対してそんな失礼なことはできない。

「新参者」 東野圭吾

2013年06月01日 22時53分42秒 | 読書感想
この小説の本筋となるのは、40代独身女性が絞殺されたという殺人事件です。

主人公の刑事が事件を捜査していると、事件解決には直接関係のない、ちょっとしたいざこざが次々みつかったりします。

そういった「事件の本筋からは少し外れた問題」にも切り込んでいく、といった短編小説の形をとっています。

三章くらいまではホントに事件とは関係のない感じですが、四章くらいからは絞殺殺人事件の解決にも少しずつ切り込んでいく感じです。

個人的には第五章の「洋菓子屋の店員」が好きです。