3月10日の朝一便で東京に戻って来た。目的は、新宿でのミニ写真展と確定申告。3月16日から31日まで、ミニ写真展「遠い記憶 上海」を新宿ゴールデン街のバー「十月」開催。申し訳ありませんが、写真展の告知はこのブログでのみで、案内状はあるのだが郵送はしません。
上海での1年は、他の国の都市の5年と同じと言われるくらい都市開発のスピードがはやい。なので、上海に住んでいる私にとっては、今世紀に入ってすぐに立った最新のビルでさえ遠い昔の事のように思える。万博が終わり都市開発のスピードは、かなり落ちたが、それでも現在進行形で続けられている。このおもちゃ箱をひっくり返したような都市のビル群は、中国の都市開発実験場であり、ビルのデザインや規模を他のビルと競い合いながら出来てしまった為に調和が無い。しかし、それが上海らしいのかもしれない。
2年ほど前に、この同じ「十月」で、ピンホールカメラで撮影した上海の街の写真展をやったのだが、その後フィルムの感材などの問題でピンホールは打ち止め。ピンホールカメラで撮影していた時の後半、デジカメを使用しピンホールのような描写をするレンズ探しが始まった。もちろん、そんなレンズは無い事はわかっていたのだが、キャノン5D2のボディを使用し、本来のレンズ性能を落とす方法を模索していた時に見つけたのが、補正レンズ入りマウントアダプターだった。
この補正レンズ(性能が悪い)入りマウントアダプターに行き着く前に、メイヤーやアンジェニューなど色々なヨーロッパの古いレンズを購入しテストしたが、結局は旧キャノンFDやキャノンFLなど明るいレンズと性能の悪い補正レンズ付きマウントアダプターの描写が気に入りFD35mm f2、FD50mm f1.4 FD85mm f1.8をメインに使用。この性能の悪いマウントアダプターは、オリジナルの焦点距離X1.5倍となるので、50mmの焦点距離は、約75mmほどになる。
これらのレンズ描写は、ピンホールの描写とは違うが、開放付近で撮影すると球面収差やコマ収差やコントラストが低くなり周辺光量が足りないので昔の雰囲気に写るのが魅力だ。
良いレンズの定義は曖昧だ。最新のデジタル専用レンズは、限りなくレンズ収差を取り除き非常にシャープな画像を提供してくれるが、それらのレンズが決して良いレンズとは言えないと思う。私にとっての理想のレンズは、1970年代以前のライカレンズなどが理想のレンズと思っている。幸いキャノンボディのフランジバックは他社ボディと比べて短いので、様々な旧レンズの描写を楽しめる理想のカメラボディだ。