
★フリートーク
野辺燃ゆる 涅槃の里に 分け入れば 待ち人も無き 曼珠沙華かな
詩子
上掲の写真は近所の八幡さんの境内を彩る曼珠沙華です。この花の特徴は群れなして咲くことです。緋色の燃えるような赤が鮮やかです。この赤をどうとらえるか・・・人それぞれです。もちろん、同じ人間でも年令の違いで感じ方も違います。今の詩子は還暦前の人生としては下り坂ですが・・・緋色の赤が今は涅槃に近く感じてしまうのです。特に彼岸のこの時期ですし。どんな「待ち人」かは難しいですが、懐かしい逝きし人かもしれませんし、そうではないかも・・それは読む人の心が感じとれば良いものだと思っています。
詩子17歳のときにはこの赤は青春の赤でした。
野辺匂う 赤き血潮の 彼岸花・・・・・
と詠んだものでした。
私の友人で数年前に最愛の息子さんを亡くされた人がいるのですが、さすがにこの曼珠沙華も息子に会いたさに駆られてしまうという・・・哀しいほどのものがあります。
亡き吾子に 会える気がして 来し川辺 百万本の 彼岸花燃ゆ KUMIKO S.
何故、気楽に生きられなかったのかと・・・悔やんでも悔やんでも悔やみきれない母の思いも数年の月日という時間は「彼岸花燃ゆ」というふうに心の落ち着きと時間が諭してくれたのか・・息子の死を受け入れつつあることがわかります。
英語ではスパイダーリリーというのですが、興がない表現ですね。先日、英会話でたまたま出たのですが・・・私は「曼珠沙華」という呼び名が一番好きです。漢字からして仏教っぽいですし・・・余談でした。