元秘書判決 許されぬ首相の逃げ切り
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100423/plc1004230259002-n1.htm
鳩山由紀夫首相は臭いものにふたをしようとしている。
首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金事件で元公設秘書の勝場啓二被告が禁固2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。
事件は、勝場被告が架空名義などを用いて個人献金や政治資金パーティー収入を約4億円分水増しし、収支報告書に虚偽記入した。
判決は、実態とかけ離れた収支報告により「国民の信頼は著しく損なわれた」と指摘した。これに対し、首相は「政治を変えてほしいとの期待に応え、責任を果たしたい」とコメントした。「政治とカネ」の問題をめぐる政治的・道義的責任に加え、国政の最高責任者として厳しい倫理性を求められる立場にあることを、いまもってわかっていない発言である。
判決は資金管理団体が収入の相当部分を首相自身と母親からの提供資金に頼っていたことを挙げた。12億6千万円に上る提供資金はどこへ流れたのか。使途の全容解明が不可欠である。
首相が不誠実な対応を示したのは21日の党首討論だ。公判終了後に関係資料を提出するとしてきたこれまでの国会答弁を翻し「基本的には必要ない」と述べた。勝場被告に、証人喚問に応じるよう促すことも拒否した。
首相は資料提出を拒む理由を、検察捜査を経て決着した事件だからとした。納得できる説明ではない。自らの不起訴処分をもって潔白を主張し、説明責任も果たさないのは、資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件での小沢一郎民主党幹事長と同じ論法ではないか。
首相が母親からの資金を全く知らなかったと主張してきたことが、この事件の前提となっている。内容を知らないのに「プライベートな部分」の公表を嫌がるのはなぜか。不透明な資金の流れが残っている懸念があるなら、自ら明らかにすべきである。
首相の不起訴処分の当否については、検察審査会が審査しており、その結果も注目される。
首相は野党時代に「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と発言したが、自分には当てはまらないという身勝手な理屈を唱えた。巨額な贈与税の脱税行為も後払いで許された形となり、納税者は不公平感を覚えた。いかに自分が国民の信を失う原因を作ってきたかを知る必要がある。