二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

帯状疱疹後神経痛(PHN)とサプリメント

2008年12月02日 | 鍼灸
11月30日(日)、第2回中央学術研修会に参加しました。題名が紛らわしかったと思いますが、午前中は帯状疱疹後神経痛(PHN)、午後からサプリメントの講演を聴講させて頂きました。

◎内 容

 講演1:「帯状疱疹後神経痛の病態と鍼灸治療」
 講 師:菅原正秋 先生
     東京大学医学部付属病院 麻酔科・痛みセンター
     筑波大学理療科教員養成施設
 時 間:午前10時半~12時

 講演2:「日常診療に役立つサプリメントの知識」
 講 師:鈴木信孝 先生
     金沢大学大学院医学系研究科 特任教授
 時 間:午後1時~2時

 実 技:帯状疱疹後神経痛の低周波通電療法
 講 師:菅原正秋 先生
 時 間:午後2時~3時



 菅原先生です。

帯状疱疹後神経痛のお話では、帯状疱疹とはどういうものなのか。疫学、発生機序、症状の推移、ラムゼイ・ハント症候群の対応、診断、治療目的など基礎的な話がありました。その後、帯状疱疹後神経痛とはどういうものか、その発症条件、発生機序、症状、アロディニアの病態、治療の目的、低周波通電療法について、簡単な症例報告がありました。

午後からは、その低周波通電療法の三叉神経第一枝の神経パルスと、肋間神経のパルスの実際の治療について実技をして頂きました。



 実技の様子

帯状疱疹にかかる人は、年間人口10万人あたり300~500人にのぼります。過労、ストレス、冷え、などが要因となり免疫力が低下することで発症するとされています。神経節という場所に眠っていた水痘ウイルス(自分では覚えはありませんが、幼少のころにかかった水痘のウイルス)が起きだし(再活性化)、神経に悪さ(炎症)をする病気です。

神経に眠ってるから、どこでも出る可能性があります。肋間神経(横腹)や三叉神経(顔)などになる人も多いです。はじめ痒く、徐々に痛みに変化し、皮疹が出て(目立たない場合や出ない場合もある)、水膨れになり、かさぶた(痂皮)ができて2~3週間で治癒に至ります。全経過において耐えがたい痛みが伴います。

これに関しては、早急に抗ウイルス薬などの適切な処置を行えば治っていきますし、免疫力を上げるように疲れを取ってあげれば、さらに、その後の経過も順調に推移します。

しかし、我慢しすぎたりして処置が遅れると、ウイルスたちが炎症に乗じて、神経を傷つけます。それもジクジクと疼くような痛みを伝える太い神経を傷つけると、痛みが長引き、長期間、痛みを抱えることがあります。これが帯状疱疹後神経痛です。

痛みは長引くと、記憶されるようになり、情動(大脳辺縁系)に影響を及ぼします。また末梢の交感神経も関与するようになり、脳幹にも影響を与え、さらに複雑な痛み(慢性疼痛)になっていきますので、まずは痛みを取り去る(ペインコントロール)ことを行うことが大切だということです。

現在、西洋医学的には決定的な治療方法はありません。この治療には鍼灸治療が効果的なことも多いように感じます。東洋医学研究所で行っている全身の統合的制御機構を活性化する(大脳、脳幹、内蔵、筋肉など)治療を行い、さらに局所の疼痛閾値(痛みの感じ方)をあげ循環を改善すれば、神経痛の治りが早くなると考えられます。

非常に勉強になりました。


 鈴木先生です



午後からは、日本補完代替医療学会の理事長でもあります、鈴木信孝先生のお話で、ピクノジェノールという健康機能食品の話を中心に、世界の補完代替医療のとらえ方、米国の国をあげての研究、莫大な研究予算の投入などの興味深い話がありました。

ピクノジェノールというのは、フランス海岸の松の樹皮に含まれる成分を特殊な方法で抽出したものを、他の鉱物ミネラルや乳酸菌、ビタミンなどと組み合わせた食品(カプセル)です。

その研究において、活性酸素を抑える働きがあることが分かったそうです。多くの病の原因とされているものです。このピクノジェノールを飲むと余剰な活性酸素が除去され、多くの症状や病の改善につながるというものでした。

このサプリの話を聴いて思ったこと、成分を見て思ったことは、腸内細菌叢を良好にして、腸管機能(免疫、造血、物質転換)を高めることにより、体に栄養素(糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルほか)が効率よく吸収され、細胞レベルでも栄養(酵素、コエンザイムQ10などの補酵素も一つ)が満たされ、エネルギー産生、熱産生という体の重要な活力を維持するミトコンドリアが活性されるんだろうな~と思いました(思いこみ)。

両講演ともに、非常に勉強になった一日でした。

ちなみに、前日、29日午後7時半から、いつもの勉強会(酔耀会)のメンバーで忘年会をしてました…朝まで討論会 ということで朝4時まで。活性酸素いっぱいの体で学術研修会に出ていたわけです。体を労わらないといけませんね(体さん、ゴメンナサイ)。

二葉鍼灸療院 田中良和
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三冊の本より ~12月1日~ の言葉

2008年12月02日 | 言葉のちから 心のちから
◎気高く生きよう
よく考えなさい。人生は、たとえ何百年生きていても、仮に百年生きたとしても、この大宇宙の生命に比べれば、夢一瞬の短い世界。この短い人生に生きている以上は、一瞬、一刻を価値高く生きようじゃないか。

『中村天風 一日一話』 中村天風財団 編

◎私が歩いてきた人生
私が歩いてきた人生をひと言で言うならば、「誰にでもできる簡単なことを、誰にもできないくらい続けてきた」ということに尽きると思います。

何一つ難しいことはやっておりません。人ができないことをやったこともありません。いや、やってこなかったというよりも、やる能力が私にはなかったというのが、正直な気持ちです。

『鍵山秀三郎 一日一話』 鍵山秀三郎 著

◎智は禍(わざわい)を免(まぬが)るるを貴(たっと)ぶ 
                          『三国志』
智謀、智略など、「智」という言葉から連想されるのは、すばらしい頭の冴えであり、切れる人物のイメージである。たしかに、そうには違いないのだが、しかし、ほんものの「智」とは、派手に目立つようなものではないようだ。たとえば、倒産しそうな会社を建て直したというような誰にでもそれとわかる「智」は、智は智でも、まだレベルの低い「智」であるらしい。

それを語っているのが、表題の言葉である。「智」の重要な働きは、禍を免れることにあるというのだ。つまり、倒産会社を建て直すよりも、会社を倒産の危機に至らしめないように経営する、これこそが、ほんものの「智」なのだという。

だから、こういう「智」は大向こうをうならせるようなものではなく、ありようとしてはきわめて地味なのだ。組織のリーダーに必要とされるのは、じつはこういう「智」なのである。

『中国古典 一日一言』 守屋 洋 著


長いようで短い人生。地球の、生物の歴史から比べれば、人の人生は一瞬。だから、今の環境で自分ができることを、とくに派手ではなくてもいい、自分が楽しい、これだと思えることを継続して行うことが大切なのだと思いました。 

自分にできることを、人ができないくらい継続していくことが努力です。努力して歩む人生の旅、そこには様々な環境の変化やハプニングがつきものですが、それに対しどう対処し、どうの乗り切って、さらに継続していくことができるか、この状況判断の材料が「智」であり、それを積み重ねていくことが”道の探究”なのかもしれません。

さて、今年ものこり1か月、一瞬を大切に、楽しく、そして、自分の道を探し、創っていきましょう

二葉鍼灸療院 田中良和
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