二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

環境適応車(エコカー)補助金制度

2010年02月04日 | 社会
昨日の読売新聞に、日本の環境適応車(エコカー)補助金制度についての米国政府とのやりとりが載っていました。

≪日本の環境適応車(エコカー)補助金制度を巡って米通商代表部(USTR)が日本に追加措置を要請したのは、米国内で高まる保護主義圧力を無視できないためだ。米国車の多くが燃費性能の面でエコカー補助の対象とならず、米政府は補助効果を享受する国産車との「格差」にいらだちを募らせる。日本の消費刺激策としてスタートした制度が思わぬ「日米摩擦」に発展しかねない情勢だ。

1日の日米実務者協議で米通商代表部のマランティス次席代表が問題にしたのは、燃費の測定手法だった。今回の補助金制度では、日本に輸入される米国車は1台も対象とならなかったため、日本は1月19日に米側に配慮する形で条件緩和策を打ち出し、米国で燃費測定を受けた車でも補助対象にした。

この際、市街地走行(シティー)、高速走行(ハイウエー)、市街地と高速走行の組み合わせ(コンバイン)という三つの米国基準のうち、日本と近い市街地走行の手法で測定することにした。

ところが、米国は高速走行を求め、日本側が拒否すると次は市街地・高速組み合わせ走行を要求。組み合わせ走行の手法だと補助対象が拡大するためだ。~中略~

米国車だけに緩い燃費基準を認めれば、国産車や欧州車が不平等になるため、日本側は当初予定通りに市街地走行しか認めない方針だ。
米政府が強硬姿勢を崩さないのは、エコカー補助の日米格差是正を米フォード・モーターが強く後押しし、米自動車大手3社をかかえるミシガン州選出議員が中心となって米政府に強く働きかけていることも影響している。しかも一部の先鋭的な議員にとどまっていた保護主義圧力が次第に拡大しつつある。米議会で審議中の追加雇用対策には、再び米製品購入を促進する条項を盛り込む動きも出ている。≫

2010年2月3日 読売新聞 経済面


どう考えてもおかしな話です。エコカー補助金制度で一定の基準を満たす車を対象とするわけです。これは景気刺激策でもあり、地球環境悪化(車をたくさん作ること自体、環境破壊を招いてるわけですが…)に配慮した政策なわけです。それを米国の車が1台も対象にならないから基準を緩やかにしろ、ということ自体が筋が通らない話です。それなら、そのような基準に適応する車をつくりなさいという話になります。国益、自国の産業のことだけを考えれば筋の通った話なのかもしれません。

米国も「今」まだまだたいへんな時期です。フォードは実質、国営企業になっています。他の米国自動車大手もたいへんな状況です。大企業に頼りきっていた都市は、工場や店が多数閉鎖され、失業者は増加の一途をたどっています。地方の銀行もどんどん破綻しています。サブプライム問題ではありませんが、家のローンが払えず、車で生活したり、ホームレスも増加しています。約5000万人の人たちが医療保険に加入できない状況に陥っています。

今までの米国は、99%の人が真面目に働き、1%の人が莫大な富を得る社会でした。その他、様々な要因があると思いますが、そのツケが米国社会にまわってきています。その影響下にある日本は今の米国の本当の状況を把握しておかないと、その大きな波をかぶることになるんではないでしょうか。

上記の記事に出てくる、米国通商代表部(USTR)は、毎年、日本に、米国が有利に利益を獲得できるような政策の促進をすすめる意見書(年次改革要望書)を作成し日本に要求する機関でもあります。小泉内閣の時代であれば、何となく、いつの間にか要求が通ってしまったかもしれませんが、現在はそう簡単にはいかないのです。政権与党、政府の考え方が違うのですから。

普天間基地の問題にしても、郵政民営化の問題にしても、エコカー補助金制度のような小さな要求一つにしても、今までのよう「ハイハイ」と通されるようなことはないということです。小沢政権になり、何でもかんでも米国の言うことを聞き、国民が何も知らない間にいつの間にか米国(一部の富裕者層)が利益を得るような事柄が決まってしまうことはないと思うからです。

米国の経済状況は、各報道機関が報じているより深刻な状況のようです。そういう意味で、今までドラえもんのポケットのような無限の貯金箱だと思い、お金を都合してもらっていた日本から、苦しいからさらにお金をもらおうとしているのかもしれません。日本も一つの国であり、国民の生活を守る義務が政府にはあります(今まではどうだったか…)し、今の社会の状況も「米国の思い通り」という時代ではなくなってきましたし、経済は厳しい状況をさらに進んでいます。

この経済や社会を考えると米国の無謀なごり押しも自国(一部の富裕層)のために必要なことなのかもしれません。日本はどうでしょう。「今」小沢幹事長の問題で騒いでいますが、そんな場合ではないのです。オリンピック後に徐々にあらわれてくると言われる不況や、米国中間選挙前に起こるかもしれないと言われている経済のさらなる悪化(二番底…恐慌の始まり)に備え、「今」から早急の経済刺激策や景気回復、あるいは、最悪の場合の対応など、経済政策を勢いよくやっていくべき時だと思います。
鳩山首相や小沢幹事長のお金の問題がそれより重要な問題なら「今」それやっていればいいのですが、そんな時期ではありません。また、小沢さんの資金問題を検察が行うなら、その後に、自民党の議員にもすべてやって欲しいものです。それが公平というものです。企業献金を民主党の献金をはるかにしのいで大きな資金になっていたのは自民党なんですから。

今回の自動車の問題からも、視えてくるのは米国は強力な保護主義になっていくだろうということです。その要求がこれからどんどんエスカレートしていくだろうということだと思います。それほど米国経済は深刻なのでしょう。米国の「今」の経済・社会状況は人事ではありません。情報の表だけ見ていては事の本質が視えてこないのだろうと思うのです。ですからメディアから流れる情報の裏にある真実を視て、これからは判断していくことが大切だと思うのです。

真実は何なんだろうか~と考えつつ、その社会で起こる事柄に対して、自分の心や生活と照らし合わせ、「それじゃ~自分はこうやって行こう」「こういう心を持って一日を過ごして行こう」と思うので、すべて自分の勉強材料になるんですよね。
世の中、「意識」と「気づき」さえあれば、どこにでも「学ぶ」材料が発見できるんですね。

二葉鍼灸療院 田中良和
コメント
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