二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第28回 加賀・三策塾(合同学術研修会)

2010年02月10日 | 鍼灸
今年になって初めての、加賀・三策塾が2月7日(日)、午前10時~午後12時、石川県立盲学校において開催されましたので参加しました。

三策塾が終了したら、金沢市鍼灸マッサージ師会の理事会があり、本日もなかなか忙しい一日になりました。



◎内 容
 ・胸郭出口症候群が疑われた一症例
                   あわ鍼灸治療院  粟 友幸 先生

 ・認知症に東洋医学が挑む ~DVD観賞~

 ・鍼灸・医療最新ニュース


症例報告は「胸郭出口症候群が疑われた一症例」ということで、粟先生に発表して頂きました。酔耀会で何度か練習をしたのもあるかもしれませんが、初発表でしたが落ち着いて発表できていたし、質問にもしっかり受け答えできていて良かったと思いました。症例報告や研究発表をする時は、いろいろ勉強しなければいけませんので、それが自分の臨床能力の肥しになっていくのです。


 発表する 粟先生

胸郭出口症候群とは、頸部や上肢の痛みやシビレを訴える一つの状態です。鎖骨や第一肋骨、その周囲の筋群が原因となり、鎖骨下動脈や腋下動脈の圧迫や牽引により、神経が過敏状態となり症状が出現すると言われております。

さて、症例は65歳、女性。両頸肩部の重だるい感じと左手指のシビレを主訴に来院。さまざまな徒手検査を行い、症状などから斜角筋症候群と判断し、鍼・マッサージ治療を行いました。8回の治療でしたが症状の軽減がみられた。患者の都合で来院はできなくなったが、一定の治療効果はあったと思われる。

頸肩部の重だるい感覚や痛みなどは鍼灸マッサージの得意分野であるが、どんな場合にも、問診、徒手検査を行い、今回の場合のように手指にシビレのある場合はとくに注意して、さまざまな疾病を疑い、鑑別診断していくことが重要であると考察は締めくくられていました。これが実はプライマリーケアの場合は重要なことで、そこで鍼灸マッサージに適応なのか、どれだけくらい治療期間がかかるのか、患者さまに説明し、理解し、納得して頂くために欠かせないことです。

質疑応答では、「身体を診ていく中で、このツボがこんな変化をしていた、ここはポイントの治療点だ、という部分があれば教えてほしい」「モーリーテストの左右差、検査の精度について」「期外収縮や心拍異常はあったか(高血圧、脂質異常症が存在したため)」「発汗異常はあったか」「知覚障害だけで、なぜ筋力低下など運動神経障害が出ていないのか」「本当に絞扼性神経障害というものがあるのか、トリガーポイントなどが実は多いのではないのか」など多くの質疑応答があり、いろいろ勉強になるところが多かったです。

その後、以前、「認知症に東洋医学が挑む」というシンポジウムが行われ、それをNHKで放送されたものを観賞しました。その中でも、脳血管障害や認知症に関する鍼治療の取り組みの部分を15分ほど観ました。中国の天津中医薬大学 鍼灸科での鍼治療についてだったのですが、データ的にも回復率が高く、何よりも少しでも症状が改善することによって、患者さまの意欲が向上してくるということでした。鍼治療の効果と意欲の向上で、患者さまにとってより良い予後を提供できているようでした。



これはDVDの内容ではありませんが、中国で研修してきた先生の話を聞くと、中国では脳梗塞による片麻痺の患者さまが少ないそうです。それは超早期の治療の一つとして鍼治療を行っているからだというお話でした。

フロアからは「いつもテレビで放送される時は、中国の何々大学、アメリカの何々大学の研究結果ということで、鍼治療のエビデンスなどが放送されるが、日本にも鍼灸大学がたくさんできているのだから、もうちょっと頑張ってほしい」との意見もありました。ごもっともなことだと思います。広い視野にたって国際的な研究結果を出していってほしいと思いますね。それが鍼灸大学にいることの使命の一つだと感じます。ただ、その分、私たちの資質もあげていかなければ、国や他の医療者への信頼や、鍼灸の必要性などが理解されないのだと思いますね。

本日は雪。盲学校周辺は、台地ですから、雪の積もっている量も多かったのですが、多くの先生方が参加されていました。医療を行うものは常に勉強です。私がこの職業を引退するとしたら、この”学ぶ心”がなくなった時でしょうね…ということは、一生辞められないということですね。

いい研修会でした 

二葉鍼灸療院 田中良和
コメント
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